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憂鬱な転生

鬱な描写を含んでおります。

ご注意ください。

これ以上の描写書くとBANされそう。


──あなたに新しい生を授けに参りました



ここは世界の狭間。

彼岸(あのよ)でも此岸(このよ)でもない、その境目。

ごく僅かな者に与えられた【機会の間】。

ここに来た霊魂は天国でも地獄でもなく、すぐに次の人生を始められる。今の記憶と知識を持ったままというおまけ付き。子供の頃は神童と持て囃されても次第に平々凡々となるのがヲチではあるのが玉に瑕であるが。


しかしこの国ではここ数十年以上、転生した先で成り上がるのがブームとなっている。

全くもって滑稽である。

異次元異世界ならともかく、他者の創造した物語のなかにまで転生したがるというのだから、滑稽を通り越して傲慢とも云える。



それはさておき、目の前の人物は深い深い深い溜め息をついた。


「死因は?」


聴かれて、数ヵ月前に転んだ際に強く頭を打っていたことを説明する。当時病院へ行っていれば処置はかなっただろうに。

それを説明すると、大層喜んでるではないか。


あ、転生できるから喜んでくれてるのかな?

でもそれを告げたら「冗談じゃない」って怒られた。


なんでどうして?

まだ人生これからじゃない。

普通は悔やむもんじゃないですか?


「それは生き甲斐があるからでしょ。

世の中にはね、生きたくても生きれない人も居れば、

その真逆も居るんですよ。

死にたくても死ぬ勇気がない人間がね」


氏いわく、

自殺できる人間はそれだけ追い詰められているか、後先考えていないだけという。

自殺に失敗すればその分敗北感がつくか、

下手すれば一生背負わなければならない障害がついてしまうかもしれない。

一番いいのは事故に巻き込まれるか、突然死だ。

それが適ったというのに喜ばずにはいられないのだろう。


十数年ほど前から情緒不安定を抱えており、

数年前に世界規模の感染症が原因で退職に追われ。

親も亡くし友人知人とも疎遠になり兄弟は借金を残して蒸発。

病院や行政に頼ってもマニュアル通りというよりそれ以下の対応のみ。

厭世家(ペシミスト)になって独り過ごして、、、、、



聴いてる方が鬱になりそうだ。

それでもまだ割愛してるという生い立ちなのだから、

いったいどれ程物悲しい人生を過ごしてきたのやら。


でもだからこそ、来世を生きて幸せを実感して欲しいと思う。

いや、そういう特典つけるからさ。


しかし一刀両断に断られた。

もう無になって消滅したいと言い出した。

でもごめんよ。

完全に消滅することって滅多にないんだよ、

記憶を消去してからのリサイクルなんだよ。

ごめんね。

謝って説明したら不満げではあったけど、納得してくれた。ふぅ。


では、氏の来世に少なからず否、多大なる幸あらんことを。



  ◇ ◇◇◇◇ ◇



先程の某氏の魂を解析したところ。

ナニコレってくらいの不幸気質が付与されていたことを記しておく。


普通なら正負のバランスは、6:4~4:6となっているところ、負が8割強ってナニさ。しかも【根性(強)】と【忍耐(強)】のスキル持ち。

これじゃどれだけ死にたいって思ってもブレーキかかっちゃうよ。事故死とか願っちゃうよ。


ほんとごめんね。

今度の人生おまけして8割の幸運気質つけておくから

9割以上にしちゃうと、ガチの愛児か、酸いも甘いも知らないうちに死んじゃうかのどっちかになるから、なかなかできないんだけどね。


はぁ、それにしても今回の転生作業はほんと憂鬱だったわー。









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