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理絵と華蓮

《理絵side》


好きな人とキスしてしまった。

しかも、相手からじゃなくて私から。

おかしいな、今まではこんなに大胆なことできなかったのに。


私は気が弱い性格だから、そんなにアプローチとかも出来なくて。

だから、いつももう1人の私が積極的に行動してくれて、私が踏み出せたい所とかを私の変わりにやってくれたりしていた。

放課後のキスだって、今日の果たし状の件だって。


あのメモ帳にキスしたって書いて合った時は本当に驚いた。

…でも、嬉しかった。

私の精神じゃなくても、私の身体が涼介くんと初めてキス出来たんだから。


「打ち明けられたのね」


私がそんなことを考えながら歩いていると、さっき別れた交差点で華蓮が待っていた。


「うん、ありがとう。華蓮が背中を押してくれたお陰だよ」


「そんな事ないよ、私はただ本当の理絵も知ってもらっておいた方がいいと思っただけ。だって、本来の理絵も凄い魅力的なんだから」


「すっごい嬉しいこと言ってくれるね」


本当に華蓮に出会えて良かった。

私は、もう1人の私と華蓮が居なかったら多分、涼介くんと話す事すら出来なかったはず。

だから、本当に2人には感謝しかないよ。


「もう、本当に大好き!」


そう言って、私は華蓮に思いっきり抱きついた。


《華蓮side》


どうやら、理絵はちゃんと涼介くんに二重人格の事を打ち明けられたようだ。

私も最初は驚いた。だって、普通に生きてたらなかなか出会わないし。

それに、結構長くの時間を過ごしていたはずなのに、性格が豹変するとかもなかったから。


そしたら、全部演技だって。

もう1人の理絵が理絵自身に合わせるんじゃなくて、その逆をしてるって、そんなのなんというかあまりに理絵が不憫な気がした。

だから、涼介くんに打ち明けるように提案したの。

だって、彼女は気弱だけど気遣いが出来てとっても明るい女の子なんだもん。

そんな魅力的な女の子を知らないで、争うなんてなんか不公平でしょ。

どうせなら、ありのままの理絵と戦いたかったしね。


「もう、本当に大好き!」


そう言いながら、理絵は私に抱きついてきた。

本当にこういう所も可愛いんだから。


「私もだよ、理絵と仲良くなれて良かった」


「うん、私もそう思う」


2人はお互いの肩に顔を埋めながら、そう言い合った。

でも、これと涼介くんの争いは別。

私だって、彼のことを好きなんだから流石にそこで手加減する気はない。

けれど、どちらが勝っても祝福できる関係でいたいな。



「でもさ、華蓮」


「うん、なに?」


「貴方は私に立ちはだかる障害物なの。だからさ、私と涼介くんの前から消えてくれないかな」


「えっ…」


今までで1度も聞いた事のないような低い声で、そんな事を言ってきた。

どういうこと…えっ今の何。


私が状況を飲み込む前に理絵は私から離れた。


「じゃあまた明日ね!今日は本当にありがとう!」


そして、いつもの様な無邪気な笑顔を見せて走り去ってしまった。


今のはどっちだったの。

もう1人の理絵…それとも…。


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