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氷の聖女はあたたかい

作者: 蒼乃ロゼ

「ローザ! 君との婚約を破棄する!」


(ですよねー)


 どこか他人事のように感じるのも、無理はないというもの。

 王や周りの諸侯たちは、一様にざわめく。




 本来絶命する予定であった子供を庇ったことを理由に、神様より転生特典をもらった日本生まれ日本育ちの私。


 FPSゲームやアクションゲームが得意なガチゲーマーだったこともあり、「転生するなら最強主人公で!」と注文をつけ、神様も了承。


 そうして私は、氷魔法が得意な青髪の女の子、ブラウローザとしてこの世界に再び生を受けた。

 ……のはいいんだけど。


(乙女ゲーの世界とは聞いてないが!)


 自分はプレイしないジャンル。

 代わりに妹がよくプレイしていた『光の聖女と勇者たち』というゲームに、この世界は酷似している。


 火・水・風・地に光と闇。


 それぞれに勇者と聖女というペア制度が設けられていて。

 この世界を襲う、魔物の脅威から人類を守る役目……らしい。


 光の聖女にあたるフィリアがヒロインで、彼女は恋愛的な意味でも、戦闘的な意味でも無双の存在。

 ふわふわとした金の髪が可愛らしい、たしかに美少女である。

 私ふくむ他の聖女は……いわゆるモブ。

 特別きれいに整った顔をしている訳ではない。


 そして私は本来、回復魔法が得意なはずの水の聖女。


 なのだけれど、神様がどう間違ったのかゴリゴリの戦闘特化の氷魔法しか使えない聖女になってしまった。

 確かに。

 ……確かに最強主人公でとは言ったけども!


 百歩譲って乙女ゲーの世界はいいとして。

 なにも、わざわざ水の聖女じゃなくても!

 他属性で、良かったのでは? 


「聞いているのか!?」

「あ、はい。聞いてます」


 私に怒り心頭といったご様子の水の勇者、サリオン。

 まぁ、私のペア。


 おまけにこの世界では、勇者と聖女に選ばれた者同士、婚約するそうな。

 なんで?

 

 これは妹情報だが、フィリアとの好感度が一番高い勇者が、ペアの聖女との婚約破棄をすると好感度MAXエンディング確定の合図らしい。

 なんで?


 サリオンは家柄も……子爵、だったかな。

 恋愛する気ゼロの私はサリオンにそこまで興味を持てず成長してきたけど、良いところの坊ちゃん。


 私はといえば、侯爵家の傍流ながら両親は他界。

 本家の人には「回復魔法が使えない? 無能だ」とのことで、聖女としてサリオンと婚約してからは彼の家にお世話になり。


 彼の身の回りの世話という、使用人同然の生活をしながらも魔物はバンバン倒して世界平和に尽力。

 唯一の救いは、その成果で出身国の王の覚えがめでたいことだけか。

 だから、サリオンは私を人前ではぞんざいに扱えない。


 そう、多少の驕りがあったのかもしれない。


(どうして急に……?)


 悲しい、だとか。

 悔しい、だとか。


 そういう気持ちは一切ない。  


 変な話、この世界をどこか自分の人生としては捉えていなくて。

 誰かの人生を、なぞっている。

 そんな不思議な感覚。


 それに恋愛といえば、いい思い出がない。

 前世での友達からのあだ名は『ヒモ量産機』だ。


 だから、この世界での目標は『自分の力を試したい』っていうゲーマー目線のものだった。


「お前のように、誰も信頼せず、思いやりの心も持たない。……冷たい氷の聖女の世話係は、もううんざりだ!」

「はぁ」


 こっちのセリフだが?


 貴族だから仕方ないのかもしれないが……。


 朝、目が覚めたならカーテンを開け。

 なかなか起きないぐずる彼をたしなめ、目覚めの飲み物と朝食を部屋に用意し。


 着替えを手伝い、その日のスケジュールを確認し。

 一番ベストな戦術をたて、勝利に貢献。


 帰れば彼の剣や防具を職人と共に手入れして、「疲れた」と言われればマッサージ。

 翌日のスケジュールの確認と、各所連絡を入れて、ようやく私は自分の時間を持つことができる。


(秘書……?)


 プライベートもお世話してたんだから、秘書どころの話じゃない。


 こっちこそ、世話係はうんざりだ。


「お前の心を映すかのように、回復魔法が使えないんだろう? 役立たずめ!」

「お言葉ですが、それで困ったことがおありですか?」

「っ口の減らない!」

 

 どうやら、彼や仲間の実力というものは、自分基準で考えると相当低いらしい。


 私はといえば回復魔法が使えない代わりに、魔法の連発は余裕。

 一撃で仕留める魔法? 余裕。

 まさに戦闘特化で、本来戦闘の花形である勇者の立場がない。


 それに加え、原作でいえばほかの仲間が負傷した際は、私の回復魔法で状況を立て直すのだろう。

 ……今のところ状況が悪くなる前に私が蹴散らしてるんだけど。


 まぁ、他の仲間からも大した信頼を得ていないわけだ。


(ヒモ量産機……ねぇ?)


 前世と違うのは、サリオンにはきっと勇者としてのプライドがあるということだ。

 聖女は勇者をたて、一歩引いた貞淑な女を求めている……ということ。


 でなければ、人々から崇められないのだから。

 私は若干、効率厨な面もあるから誰もケガせず、素早く魔物を倒せたらそれでいいのでは?

 と考えていた。


 ……でもどうやら、恋愛要素もあるゲームの世界ではダメらしい。

 女ってムズい。


「それで? 婚約を破棄したところで、フィリア様は振り向かないと思いますけれど」

「なっ!?」

「はぁ……。気付かなかったとでもお思いですか?」

「う、うるさいっ!」

 

 カマをかけてみたのだが、当たっていたようだ。


 様々な地域に出向いて魔物を退治する私達だが、今日は私とサリオンの出身国であるディールにて勇者と聖女が一同に会す。


 定期的にこういう会があって、原作ではここで好感度を深めるパートがあり、それによって遠征するペアも変わるんだろう。

 知らんけど。


 ……そこで、サリオンとしてはこれを好機ととらえ、フィリアといい感じにお近づきになりたいのだろうな。


 力を維持したい国としては勇者と聖女さえ婚約していれば、別に他の属性同士のペアでも構わないはず。


 私とサリオンは先に王へと帰還の謁見を行い、……さきほどの婚約破棄に至る。

 フィリアがサリオンを攻略した様子もないのに、だ。

 もしや、それ以外にトリガーがあるのか?

 未プレイなのが悔やまれる。


「サリオン、突然どうしたのだ……?」


 ごもっともなディール国王の疑問に、サリオンはとんでもないことを言いだす。


「陛下! 私は、これまでずっと家の後ろ盾を失った彼女の面倒を見てきました! ですが、彼女は自分に回復魔法が使えないことを理由に、ずっと卑屈な心と態度で私へと接してきました! 私にはもう、耐えられません!」


(ちょ、勝手なこと言ってんじゃないわよ!)


 これは……あれか?

 乙女ゲーでいうところの、ヒロインと親睦を深めるためのきっかけとして、自分の聖女との絆を失った……的なことにしたいのか?


「陛下、そのような事実はございません」

「お前は黙っていろ!」

「ぬぅ……」


 ディール国王は、この世界において割と私を評価してくれている数少ないお方。

 かといって、勇者であるサリオンの言い分を無下にもできず悩んでおられる。

 なんだか申し訳ない……。


 ヒートアップするサリオンとは対照的に、周りの空気はドン引き。

 どっちの言い分が正しくても、これだけ険悪な勇者と聖女のペアが国の代表であれば当然だろう。

 すいませんね……。


「──では、こういうのはいかがでしょう?」

「っヴァイス!」


 謁見の間に前触れもなく入ってこれる人物は数少ない。

 その内のひとりである、光の勇者ヴァイスが入ってきた。

 金の髪が輝かしい、いわゆる美形の王道ヒーロー。


「今回はせっかくディールにご招待頂いたのです。お二人の仕事ぶりを、私が拝見するというのは」

「それはいい! 我らが魔物の巣窟に行くわけにもいかんからのぉ」

「……チッ」

「ご不満ですか? サリオン」

「……い、いや」

「ブラウローザ嬢もそれでよろしいか?」

「え、あ……はい」


(笑顔が……ま、眩しい……けど。こういうイケメンが実は腹黒かったりするのよね)


 有無を言わせない笑顔というものは、圧がつよい。


 彼は勇者と聖女達のいわゆるまとめ役。

 ヒロインと同様に、一番強い存在。

 さすがのサリオンも逆らえず、彼の言うことには従うが……。


 サリオンは、ヴァイスのペアであるフィリアを狙っている。


 ……なにも起きないといいのだが。


 

 ◇



「もう終わりか?」

「ま、まだ……はぁ、まだぁっ!」


(けっこう鬼だわ……)


 フィリアは用事があるらしく、ヴァイスと私、サリオンの三人でディール近郊の魔物を討伐に向かう。

 こういうところはゲームっぽくて、都合よく魔物が湧くのよね。


 で、まずはサリオンの実力をヴァイスがチェックしているんだけど。

 ……まぁ、よくも勇者と名乗れるなと。


 そもそも装備に体が順応していない。

 振りかざす剣はやけに重そうだし、半分ほど体を覆う装甲の重さにも動きが付いていけていない。


 自主練はしているところ見たことがないけど。

 まぁ、私がね。

 普段倒し過ぎてるのかもしれないね。

 なにせヒモ量産機だからね。

 うん……。


「ふむ。水の魔法剣もそこそこ……か」


 特性上、聖女の方が勇者より魔力が多い。

 剣技に優れ、水魔法にも精通した者が水の勇者になる訳だが。


 サリオンは、両方ともに『ふつう』といった感じだ。


(私が最強を願ったから、調整されたとかじゃないよね……?)


 それだったら非常に申し訳ないのだが。

 さすがにそれは無いと思いたい。


「では、ブラウローザ嬢」

「ローザで構いませんよ。共に闘う仲間ですし。私もヴァイスと呼ばせてください」

「む。そうか、では……ローザ」

「はい」


 蒼銀の髪を肩上で切り揃えるサリオンとちがって、動きのある金の髪が陽の光に照らされてより一層輝いて見える。


 さすがはメインヒーロー。

 ビジュアルも強い。


 苦戦しながらもなんとか熊っぽい魔物を一体退けたサリオンは、汗だくになりながら木陰で休んでいる。


「次、いきます」


 その奥には同じく熊っぽい魔物が控え、同時に三体でてきた。

 眼が妖しく赤く光り、口元は唾液をまき散らす。

 まさに理性のなくなった危険生物だ。


「氷よ──!」


 私は迷いなく頭でイメージした鋭いつららを頭上に沢山出現させ、そのまま魔物へ一直線に撃ち込む。

 被弾した魔物たちは低いうなり声をあげ、一様に地に伏した。

 塵となって消えるのはゲームの仕様らしい。


「! やるな」

「ありがとうございます。……だれも怪我をしないのですから、回復魔法がなくとも仲間として認めてもらえる。……そう考えていた私が、甘いのでしょうか?」

「いや。今のを見る限り、その言葉に偽りがあるとは思えないな。大した腕だ」

「ヴァ、ヴァイス! その女は、同情を引こうと──!」

「あなたこそ、水の勇者なのですから。多少は回復魔法を使えるでしょう。ローザとはペアなのですから、互いに不足しているものを補い合えばいいのではないですか?」

「ぐっ……!」


(あー、正論で返しちゃったか)


 言いたくても我慢していたこと。

 遠回しに言うとそうなるが、要はサリオンから見れば自分が私の引き立て役になるということ。


 自尊心の高い彼からすれば、屈辱だろうなぁ。


 しかし、ヴァイスという人は話が分かる。

 もっとも効率的なことをさらっと提案できるあたり、やはりまとめ役だ。


「そろそろフィリアも終わった頃でしょうし、行きましょうか」

「?」

「な、なにがだ」

「本日のメインイベントですよ」


(立食パーティ的なやつ?)


 こういうゲームにおいて、パーティというものにはイベントがつきものだ。


 本当に、なにもないことを祈る。



 ◇



(おー、馬子にも衣装ってやつ?)


 ディール国が勇者と聖女に歓迎パーティを開いてくれるらしい。

 お呼ばれ用のドレスを身に纏えば、普段白い魔法使いっぽいローブを着ている私でもそれなりに見える。


 大きくフリルの付いた袖。デコルテ部分は大きく開き。

 スカートの真ん中部分には水色の布地。

 その周りには花柄が刺繍された白地の布。

 胸元にはリボンが縦に三つ並び、これだけ見ればふだん魔物退治しているなんて分からない。


 髪は先程までいた城の人に綺麗にまとめてもらい、準備万端だ。


「──ローザ」

「! な、なに?」


 ノックもなしに開いた扉からは、サリオンが入ってくる。

 着替えてたらどうすんの……!


「お前、このパーティの間にヴァイスを誘惑しろ」


(はぁ!?)


 何言ってんの、この人。


「意味が分からないです」

「……ヴァイスは立場上、強さを求める者だ。お前とは気が合うだろう。……そうなれば、フィリアは俺に頼るしかない」


 いや、ヒロインって戦闘でも無双じゃなかったっけ……?

 あれか、ヒーローとの絆で強くなる! みたいなことなのか?


「い、いや。そんな都合よくいくわけ──」

「……お前のせいで。お前のせいで、俺が……どんな風に見られているのか……分かっているのか!?」


(ちょっ!)


 どんな風に見られてるのよ!


 逆ギレと言わんばかりに、サリオンの右手が飛んでくる。

 これが魔物なら、氷を張って跳ね返すのに!

 でも、さすがになぁ。

 腹立つとはいえ、仲間に向かってそうは……できないよなぁ。


 迫りくる衝撃に、ぎゅっと目を閉じた。





(──……?)


 こない。


 左頬に、バチーン! と衝撃がくるものだと思っていたが。

 ……こないな?


「外まで聞こえているぞ、サリオン」

「っヴァ、ヴァイスッ!」

「!」


 そういえば、扉は開けたままだ。

 サリオン、そういうところだぞ。というのは言わないでおいた。

 

「あ、ヴァイス……」

「大丈夫か?」

「っはい。へ、平気です……」


 止められたサリオンの腕は、微動だにしない。


 そんなこと、造作ないことだとでも言う様に問い掛けるヴァイス。

 その真剣な表情に、不覚にも。

 一瞬。

 一瞬だけ、トキめいてしまった。

 不覚。


「それで? 私を、誘惑してくれるのかな?」

「え!?」


 そこも聞こえてた感じ!?


「い、いや、その……。それ以前に、フィリアとペアですし……」

「そのことだが、じきに分かるよ」

「「?」」

「サリオンこそ、もう少し仲間というものを知らないといけないな」

「は……?」

「さぁ、行こうか」


 サリオンの腕をポイッと体ごと投げ捨て、代わりに私の手を乞うかのように掌を上に向け手を差し出した。


(今までサリオンにされたことないから……。ど、どうすればいいか分からん!)


 なんでこんなことになったのかも分からないまま、恐る恐るヴァイスの手に自分の手を添え、会場までエスコートしてもらった。



 ◇



「おめでとう! フィリア!」

「ルシアス、幸せ者だな!」


「…………へ?」


 パーティこそまだ始まっていないものの、勇者と聖女は勢揃い。


 その輪の中で祝福されるのは…………、光の聖女フィリアと、闇の魔導師ルシアス。


 闇の勇者というのは存在せず、光の勇者を聖女と共に支える……まぁ、メインヒーローのライバル枠? なのだが。


(なんで二人が祝福されてんの?)


 パッケージの立ち絵的に、メインヒーローであるヴァイスがフィリアと結ばれたら、敵対関係になりそうな雰囲気だったルシアス。


 一部のお姉様方には、ヴァイスとルシアスの組み合わせというのが人気で、闇堕ちしたルシアスとの最終決戦は見物らしい。


 もしかして、私が最強転生したことで、色々とバグった?


「フィ、フィリア……! なんで……!」

「彼女がルシアスに好意を抱いているのは知っていたが……、彼女は優秀だからね。なかなか、思う様にいかなかったんだ。……でも、たまたま王の前での君たちの言い争いを聞いてね。フィリアと良く話し合って決めたよ」


 私の隣で、ヴァイスが言う。


「えーっと」


(……うまく、利用された感じ?)


 つまり、この世界のヒロインは元々闇の魔導師ルシアスに好感度が寄っていて。

 それがトリガーなのか、はたまた私への鬱憤がたまっていたのかサリオンが暴走して。


 で、たまたまそれを聞いていたヴァイスが、フィリアと相談して身を引いたと。


(あ、そっか)


 闇の勇者がいない以上、ペア制度を設けるとなると、必然的にヒーロー側は一人余る。

 もしやこのゲームでは誰か一人が闇を抱える仕様なのか……?

 お、恐ろしい……!


「それで、どうだろう?」

「?」

「先程の言葉、現実のものにしてはくれないだろうか?」

「な、なにをでしょう……」

「(誘惑するって話、……私は大歓迎なんだけれども)」


(ギャー!!!!)


 耳元に顔を寄せて、そっと囁かれる。

 顔がいいだけでなく、声もいい。


 恋愛に興味がないとはいえ、これは条件反射で照れる。


「……その方が、効率的だろう?」

「か、からかいましたね?」

「さぁ」


 ヴァイスも私と同じで、どうやら効率厨らしい。

 元々、フィリアとルシアスの関係も分かっていたからこそ、聖女に恋愛的なものを求めていないのだろう。

 丸く収まればそれでよし、というワケだ。


(でもなぁ……)


 私も出来れば、そうしたい。

 ちょっとからかわれるのはアレだけど、自分の力を嫌味も言われず存分に発揮できる環境には興味がある。

 けど。


「……サリオンのことが、気になるかい?」

「まぁ……。一応、ずっと一緒にやってきましたし」


 この際、ヒモ量産機という称号を甘んじて受け入れるとして。

 じゃぁ、サリオンが一人でこの先やっていけるのかというと……。


 プライベートを含めても、まっっっっったく自信がない。


「ふふ。誰が君を氷の聖女だなんて評したんだろうね」

「?」

「彼のことも、見守っていけばいい。……なにも、ペアではなくとも、仲間を助けてはいけないという決まりはない」

「それは、まぁ。そうなんですけど……」

「心配なら、ペア戻してあげてもいいよ?」

「え、いやです」

「それは良かった」


 ……ん?


「あれ、結局……。私たちの実力を見るとかどうとかって話は……」

「うん? だから、ローザが私の聖女にふさわしい実力の持ち主だって進言したよ?」

「そ、そうですか……」


 やっぱり、原作だとフィリア最強! だったのが、ブラウローザ最強!

 になったんだろうか……。


「いやだったら、いつでも言ってくれていいんだよ」

「……イヤじゃないから、困ってるんですよねぇ」


 恋愛には興味ない。

 無双できればそれでいい。


 ……それだけ、だったのになぁ。



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