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第9話 LJK

「おっ、生き返ったみたいだね、かーくん!」


 ギャルの声で目を開くと、視界に七瀬のしかめっ面が映った。


 地面が柔らかい。

 ここは天国だろうか?


「気がついたのならさっさと頭を上げてくれないかしら?」

「うおっ!?」


 柔らかい地面がゴッと動いて、上半身が強制的に起こされる。

 どうやら七瀬に膝枕をされていたらしい。


 頭が追いついていない。

 両足はいつの間にか湯から上がっていた。


「いきなり気を失うからびっくりしたよー」


 そう言うギャルはちっちゃい扇風機(ハンディファンだったけな?)を俺に当ててくれていた。


 あー涼しい。のぼせた頭に最高だ……じゃなくて。


「どれくらい気を失ってた?」

「10分くらいよ。足湯でのぼせるなんて、帰宅部もびっくりな軟弱っぷりね」


 のぼせた理由は確実に足湯以外にもあるだろうが口が裂けても言うまい。


 ふやふやになった足にソックスを通して、靴を履く。


「いやー、ごめんねかーくん! せっかくの旅行にお邪魔しちゃって」

「かーくん?」

「翔くんだからかーくん! りっちゃんから聞いたの!」


 なるほど、涼帆=りっちゃん、か。

 初対面で早くもあだ名呼びとか、恐るべしギャルのコミュ力。

 

 あだ名呼びはバカップルのする事だとか宣ってた誰かさんも見習って欲しい。


「馴れ馴れしいにも程があるわね」


 腕を組み、すんとした顔で誰かさんが言う。


 相変わらず言葉に棘があるが、寝ている間にギャルとは和解したらしい。


「それで、君は?」

月乃つきの 瑠花るか! 熱海最公高校に通うハタチのLJKでーす!」


 きゃぴん☆と効果音が付きそうなポーズをビシッと決めるギャル改め瑠花さん。


「えるじぇーけー?」

「あり、知らない? LASTさいごの女子高生でLJK! つまり高校3年生!」

「あっ、なるほど……」


 陽の国の言葉か……って、あれ?


「20歳で高校3年生……?」


 俺が17歳で高校2年生。

 20歳と言うことは3歳差で高校3年生というのは……。


「かーくんみたいに勘のいいガキは嫌いだよ」

「あっ……」

「察し、みたいな反応しないでよー!」


 瑠花さんがぷくーと頬を膨らませぽかぽか叩いてくる。


 シンプルに俺は驚いていた。

 まさか、3つも年上でこの精神ねんれ……ごほん、子供っぽさは予想外だった。


「むむっ、かーくん今、3つも上でなんでこんなガキンチョなんだって思ってるでしょ?」

 

 勘の良いガキはどっちだ。


「まあ、平日の昼間から学校サボって足湯に来るようだと、3回留年するのも無理ないわ」

「りっちゃんもひどい! 自分が臨時休校だからって、ズルいよ!」


 むっきーと地団駄を踏む瑠花さん。

 その傍で俺は「……んん?」と首を傾げた。


「(臨時休校、って?)」


 七瀬に耳打ちする。


「(そういう事にしたのよ。面倒事は避けるに越したことはないでしょう?)」

「(ああ、確かに……)」


 機転が効くなあ、ほんと。


「まっ、そういうわけで!」


 えっへんと、瑠花さんが腰に手を当て胸を張る。


「ふたりより歳は上だけど、畏まらないでタメ口でいいからね! あっ、でも、一応年上のお姉さんとしての威厳は保ちたいから、呼び名はルカねえさんでよろしく!」

「じゃあ、そろそろ行きましょうか高橋くん」

「待って待って行かないでよりっちゃんんんん!」


 七瀬に抱きついていやいやと頭を振る瑠花さん。

 年上お姉さんの威厳どこ行った。


「暑苦しい、今すぐ離しなさい、足湯に沈めるわよ」

「全身浴になっちゃうよ!? お願い! 出会ったよしみで私の話を聞いて欲しいの!」


 瑠花さんが涙目で懇願する。


「話?」


 七瀬が、魂ごと抜けそうなほど大きなため息をついた。


【恐れ入りますが、下記をどうかお願いいたします】


「面白そう」

「続きが気になる」

「3留ギャル……これはこれでアリ……」


と少しでも思ってくださった方は、ブクマや画面下の『☆☆☆☆☆』からポイントを入れていただけると幸いです。


皆さんの応援が執筆の原動力となりますので、何卒よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 旅行で出会った最初の人は、ちょっと残念なギャルでした。この出会いが二人に何をもたらすのか。 [一言] 残念さに関しては、二人もそこまで変わらない気もしますけど。
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