魔境に置き去り
さて、最初に[獅子は我が子を千尋の谷に落とす]と言う言葉を知っているか?
親が子に試練を与える意味があるらしい。
何故こんな話始めたのか、疑問に思うだろう。
俺の最初の苦労話に関係あるからだ。
そう、あれは20年前の...
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魔界の住人である魔人は生後すぐに歩けるようになり、2日から3日後には喋ったり走れるようになる。
30〜40㎏の岩を持ち上げ、投げることも出来る様になる。
物理法則、何それと言ったところだ。
まさしく、化物と言える存在だ。
まあ、俺は日本と言う異世界の知識が少しあり、幼いながら疑問に思っていたが、出来るのだからこれが当然だと考えるのに、そう時間はかからなかった。
さて、我が家は魔界の中でも上から数えた方が早い侯爵家である。
上と言っても居るのは魔王様しかいないのだが。
我が家と同等な爵位の家は他に5つほどある、
嫉妬、色欲、暴食、怠惰、強欲そして我が憤怒がこの魔界で侯爵家として存在している。
其々が、その家名通りの力を持っている。
因みに、侯爵家だけに家名が入っているだけで、それ以外の爵位には家名が無く、爵位だけしかない。
まあ、これらが始まったのも、200年前の話なので、その当時最も力を持った魔人が選ばれたに過ぎない。
それに、どっちにしろこの世界では力こそが絶対なのだ。
さて、我が家の力とは、暴力だ。
家名通り、怒れば怒るほどに身体力が増していくが、代わりに代償として思考力が低下していくらしい。
特に我が家族は、怒りやすく、直ぐに周りの事を考えずに、馬鹿力を振るうのだ。
しかし、魔界で我が家は人気があるらしい。
まあ、分かりやすい力だし、力を使っている際に助けられたと思っているのが複数いる。
本人は何も考えていないと思うが。
話が長くなったが、何故こんな話しをしたかと言うと、現実逃避をしていたからだ。
頭の中を整理する事で冷静になれると、異世界の知識にあった。
俺は目の前に広がる森林を見廻しながら、何故こんな状況になったのか思い出していく。