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悪役令嬢の冷静分析録〜ババ抜き系乙女ゲームの世界で〜  作者: にんじんうまい
第2章:冷静に竜人国へ駆け落ちする
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32:冷静にライバル現る


ファイ様は年下の女の子におモテです…



「ティオ、あなたはファイ様とはどういうご関係でして?」



私の額からゆっくりと汗が流れ落ちた。



「シエルの遠い親戚だかなんだか知らないですけど、それを利用してファイ様に近づこうなどと…ごまかしたってそうはいきませんわよ。あなたからはファイ様の匂いがそれはもう〜プンプンしますわよ、プンプン!!」



(→今プンプンなされているのは皐月姫さまご自分自身では?)



「早く何かいったらどうなの?本当に嫌になってしまうわ。よりにもよってあなたと私が同い年だなんて…感情を読みたくてももさっぱりだし。ほらほら、答えなさい、プンプン?」



どうしよう、エフィス。ファイ様にはバレないようにって言われてるけど、皐月さんには匂いでバレてるみたい。隠せないよ!



(→思い出してください、あなたは先ほどファイ様から鱗の首飾りをもらいました。それを皐月姫様にお見せし、弁解しましょう。)



「皐月姫様。そのう、もしかしたら、この鱗のせいかもしれません。」



私は襟で隠していた首飾りをそっと取り出した。

皐月様は飛び切り大きな目をしその鱗に飛びついた。



「こ、これはファイ様の鱗…!!なんであなたがこのようなものを持っているのですか!竜人にとって鱗は一度剥がれれば二度と生え変わらない鎧。それも、この鱗は首筋の最も失ってはいけない大切な部位、生命線そのもの!!あなたは一体なんなんですか?ファイ様にとって命に近い存在とでもいうのですか…私は一体どう太刀打ちすれば…」



エフィス、なんだか火に油を注いでしまった気がするんだけど…


(→…)


そういうと皐月様は泣き崩れた。



「あぁ、私は。私は。

ただでさえ、霧月国の王子と勝手に婚約させられそうだというのに、突然人間の国の王子までもが婚約を持ちかけてきて…

私は、最初からファイ様と結婚したかった。私が初めて好きになったのも、これから先もずっと、お慕いできるのはファイ様だけ。それだけなのに…なぜ…」



彼女の気持ちは痛いほどわかる。

私もファイ様のことが好きで、でも彼はそんなことにちっとも気づいてくれないし、私は彼を相手に一人芝居をする哀れな女だ。

皐月様に同情するし、彼女の思いが本物であることもなぜかなんとなくわかった。



(→美琴、今彼女が気になることを言ったのを聞きましたか?突然人間の国の王子から婚約を打診されたと。それってもしかしてジュノー殿下では?)



ゾッと血の気が引いた。


もしかして、それって私のせい?

それとも、あの時の支配人が軌道修正を図っている証拠?


ファイ様が男性だとわかったジュノー殿下が、もし彼に親戚がいてその子が女の子だとわかれば求婚する可能性は十分にある。あの人はなんて言ったってドラゴン大好き王子なのだから。

それで困るのは、ヒロインそして転生者である私、美琴。

あの支配人、何がなんでも私たちの恋路を邪魔しようって魂胆なのね。



これが、私のせいでも支配人のせいでもどちらにしろ、人ごとではない。

皐月様に何か、私は早く言ってあげないと…



「皐月様。私も、私もでございます。ファイ様をお慕いしているのは。」



皐月様が顔をあげる。



(→美琴!何をいうのですか?)



「でもファイ様は何もわかってはくれません。

ファイ様はいつもあくまで深い意味もなく優しくしてくれるのです。そういう人なのです。そんなファイ様に私はいつも一人で勝手に期待し毎回裏切られます。恋愛は一人じゃできません。皐月様。あなたに王子たちが勝手に求婚に来ますね。それに対して何か思いますか?彼らの一人芝居に見えませんか?それと同じです。私はファイ様が好きでもファイ様は私のことを振り回すばかりで振り向いてはくれません。だからファイ様と私は何もありません!」



私は思いの丈をそのまま吐き出した。

冷静さを失っていた私の言ったことはきっとあまり意味がないようなことかもしれない。でも言いたかった。悔しかった。皐月様だけじゃない、私だって苦しい。それだけ理解して欲しかった。



皐月様は私をしばらくじっとみた後、窓の外をみた。



「あなたも大変なのね。

気づけば、私に求婚する王子たちも私たちと似たようなものね。

一方的に想っていてもそれは恋愛ではなくてただの夢物語。

その想いをファイ様に一方的に理解して欲しいと想っても無駄なんだわ。

でも、たとえファイ様に対する夢物語だとしても、それを他人(ライバル)にどうこう言われる筋合いはないけれど?」



そういうと少しだけ皐月様は笑った。



私たちの留まりを知らない心のもやを新緑の風が洗い流していった。





読んでいただきありがとうございました。

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