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気になる関係

オフ会パートです!

「ほれ、ゆめにはこれだぞー」


 ぼちぼち会の開始から1時間くらい。

 酒はそこそこだけど、会話としては十二分に盛り上がってるだろう中、ぴょんが先にゆめに袋を渡す。


「渡し方雑だな~……てっ、えっ、綺麗っ!」


 その様子をみんなで見守る中、無造作にプレゼントを渡されたゆめが苦笑いを浮かべるも、ガサゴソとその袋を開けて上から覗くや、すぐに声と表情が弾んだ。

 

 うん、俺の時とは段違いだね!


「まさかぴょんがこんな素敵なのくれるとは思わなかった~」

「おいおい、あたしのことなんだと思ってんだよー?」


 ゆめがまだ中身を取り出してくれないから何をあげたのか分からないけど、喜びと驚きが半々なゆめに、照れ笑いとどや顔が半々の様子を見せるぴょんの姿は、やっぱりこの二人仲いいよなって、印象を改めて感じさせてくれた。

 しかしゆめはなにをもらったんだ?


「じゃじゃーんっ」

「お~~、綺麗だね~~」

「うん、素敵」

「おお……見とれてしまいますね」

「まさかこんな乙女チックなプレゼントを選ぶ力があったとは……!」

「おい、馬鹿にしてんのか?」


 ゆめが取り出したぴょんのプレゼントに、女性陣を中心に目を奪われる中、それを送ったのがぴょんだという事実に大和が大げさに驚いて見せて、安定の肩パンをくらうが、いやぁ、俺もちょっとびっくりだわ。


 みんなが見とれたぴょんのプレゼントは、薄いガラスのドームに入った一輪の青バラのブリザードフラワー。

 バラを送るなんてね、男だったらちょっとキザっぽいけど、もらったゆめは嬉しそうだし、ぴょんのやつ、やるなぁ。


「青バラの花言葉は、夢かなうだよね~~。ゆめに送るにはいい花言葉だよね~~」

「ほ~」

「そうなんですか」

「ジャック物知りね」


 その花を見てジャックがさらっと花言葉なんてお洒落な情報を出してきたけど、花言葉かー。俺はそういうの何もわかんねぇや。


「昔は不可能とか、なんかそんなネガティブなやつだったんだよな」

「いや、大和もなんでそんなん知ってんの?」


 だが、予想外にも大和が花言葉トークに乗っかったので、俺は思わずびっくり。

 でもあれだよな、青って自然には生まれない色とか、なんかそんなことは聞いたことあるよな。

 今はある程度普通に作れるようなったみたいだけど。


「可愛い子には、綺麗なものあげる。プレゼントの基本だな!」

「えへへ~。ありがと~」


 そして渾身のどや顔を見せるぴょんに、あざと可愛い笑顔を見せるゆめ。

 元々の仲の良さもあるけど、そこそこ飲み続けてるのもあり、二人ともかなりの上機嫌だな。


 いや、でも花か。

 うん、いつか俺もだいに送ったりしてみようかな。

 やっぱ女性って、花が好きっていうもんな。


 みんながぴょんがあげたプレゼントに視線を送る中、俺はちらっとだいの方に視線を送る。

 俺の視線にだいが気づくことはなかったけど、うん。青バラに羨ましそうな視線を送ってる気がするし、覚えておこっと。


「じゃ、ラストだな。せんかんにはほら、これやるよ!」


 そして長かったプレゼントの時間もいよいよ最後。ぴょんから大和へ袋が渡されると思ったら。


「ぬおっ!?」


 袋の中身を取り出したぴょんが、それをそのまま隣に座る大和の顔の方へダイレクトアタック、ならぬダイレクト装着。


「どーだ!」

「ボディカードみた~い」

「でも似合ってますね」

「うん、海とかにいそう」

「肌も黒いもんね~~」

「えーと、似合ってるか?」


 いきなりぴょんに装着させられたことで驚きはしたものの、みんなの反応を受け、大和はちょっと決め顔を始める。

 いや、うん、こいつこれ似合うんだよなー。


「せんかんはサングラス好きって聞いてたからなー」

「そうなんだ~」


 そう、大和がもらったのはサングラス。黒くて大き目のレンズの下側にフレームがないタイプみたいだけど、うん、大人の男感があって、正直カッコいい。


 でも。


「大和ってサングラス好きだったのか?」

「んー? まぁ仕事の時はつけるわけにゃいかないけど、けっこう好きでいくつか持ってるよ」

「ほほ~~」

「宇都宮に行くときも、つけてらっしゃいましたよね」

「あ~、そういえばそうだね~」


 サングラスをかけたまま答える大和だったが、俺の質問に答え終わるとさすがに屋内じゃ逆に見づらいからかサングラスを外すと、今度はそれをぴょんが奪って自分でかけだしたりと、なんかちょっとイチャイチャしてるようにも見えなくない光景が。


 しかし、そういえば宇都宮行くときかけてたっけかな。

 よく考えたら仕事終わり以外に飲む以外、プライベートで遊ぶとかしたことはないから、知ることもなかったのかもしれないけど……ぴょんがこれを知ってるってのは、やっぱり本人から聞いたのかな?

 と思うと、ちょっとにやにやしてきますなぁ。


「ぴょんさんはいつの間にせんかんさんの情報を?」


 と、俺がにやにやしかけるのを必死に抑えていると、ゆきむらが久々の攻撃力を発揮。

 その質問に、ぱっとだいとゆめもゆきむらへ視線を移したのが見えた。


 今の動き……だいが二人の今の関係を知ってるのは分かってたけど、ゆめも聞いてるのだろうか? 全体的に仲良いギルドの俺らだけど、だい・ぴょん・ゆめの第1回オフ会で出会った3人は、なんだかんだ特に仲良いしなぁ。

 ぴょんが相談しててもおかしくはない、か?


 となると、両方から話を聞いているだいとか、この会話ちょっと気が気じゃないんじゃ……。


「やー、みんな真面目にセンスバトルに参加してくれたんだなー。こっそり欲しかったり好きなもの聞いたりとかさ、するかと思ってたのに」


 だが、ゆきむらの質問に対して当のぴょんは平然とその質問に答える。

 っていうか、何その答え!?


「え~、それずるくない~?」

「その発想はなかったわね……」


 そしてそのぴょんの答えに、少し呆れ顔を浮かべるゆめとだい。

 この反応は合わせたというよりは、素の呆れに見えるけど……。


「昔から言うだろー? 敵を知り欲しいもの知れば憂いなし、って」

「いや、適当すぎんだろその言葉!」


 だが呆れるメンバーなど意にも解せず、ぴょんがまた適当なことを言い出すので反射的に俺はツッコみをいれてしまった。

 というかお前(ぴょん)は国語科なんだから、変な言葉作るなよ!


「誰かと買いに行くのはダメっつっても、本人に聞くのはなしとは言ってないしな!」

「あ~~……たしかにそれは言われた記憶ないね~~」

「そりゃセンスバトルっつー話だったんだから、暗黙でダメって思うよな。まぁ聞かれて俺も答えちゃったけど」


 無理を通せば道理が引っ込むが如く、清々しく開き直るぴょんにまさかのジャックがフォローのようなことを言うが、今度は大和が苦笑い。

 他のメンバーもゆきむら以外苦笑いしてるのはね、言うまでもないね。


「なるほど。そういうことでしたか……」


 だが、何故か納得してしまったのか、聞いたゆきむらは「ふむ」と少し考える仕草を見せたので、ぴょんは誤魔化し成功、か?


 まぁ聞いたのは事実とは思うけどね、それはきっとセンスバトルが決まる前の、二人が飲みに行った時とかだと思うけど。

 と、そんなことを考えていると。


「ゼロ様も、誕生日プレゼントに欲しいものがあったら教えてくださいね?」

「へ?」

「敵を知り欲しいものを知れば憂いなし、です」

「いや、その言葉まんま吸収する必要ねーからな?」


 今度は隣からキラーパス。

 いつも通りの目と表情ながら、「教えてくださいね」と少し首を傾げて言ってくるゆめばりのあざとさを感じさせるゆきむらがかなり可愛かったので、一瞬見とれてしまったけど、その後にちょっとどや顔で言ってきたぴょんの受け売りの言葉が改めて聞いても適当すぎて、俺は思わず苦笑い。

 うん、プレゼントする相手を敵って表現するのどうかと思うし。


 しかしゆきむらよ、今の動きはどこで覚えたんだ……?


「相手の喜ぶ顔を想像しながらプレゼント探すのも楽しいんじゃな~い?」

「そだね~~。付き合って何年か経ったら一緒に選ぶデートもいいけど、最初の頃は頑張ってあたしも自分で選んだりしたな~~」

「むむ。……なるほど」


 そんなゆきむらに恋愛経験多めなゆめと既婚者のジャックからも一言入ると、ゆきむらは納得した様子を見せていた。


 そんな相変わらずのゆきむらの様子に、みんなが少し笑って空気が落ち着いた感じ。


 でもあれだなー、だいの誕生日プレゼント選びとか、何あげるかなー。

 あげたいものが色々ありすぎるけど、だいが喜んでくれるものじゃないとだしな。


「おい付き合いたてカップル、初めての誕生日は何あげようかなとか今考えるのはやめろー」

「「えっ!?」」


 俺が12月のだいの誕生日に何をあげるか考え出すと、なぜかだいと合わせてにやにやするぴょんから注意が飛んできた。

 っていうか、だいも同じこと考えてたの!?


「え、マジ……?」

「べ、別に考えてなんかなかったわよ!?」


 いや、その慌てた否定はほぼ認めたようなもんじゃないすかね?


 酒のせいでなく顔を赤くした様子のだいから俺に語気荒めな返事が返ってきて、俺はそれ以上追及できなかったけど。


 ……でも同じこと考えてたなら、俺としてはちょっと嬉しい、かな。


「はいはいイチャイチャする奴らはおいといて、じゃ、もらった側がそれぞれセンス1位だと思った奴を指差して、総合1位を決めるか!」

「お~」

「なるほど、選ぶのは一人か」


 慌てるだいを流しつつ、全員がプレゼントをあげ終わったということで、ついにこの戦いにも決着をつける時がやってきたようである。

 ぴょんがゆめと大和にセンスバトルの決着のつけ方を伝え、二人は少し考え出した様子だけど、たぶんこれ、ぴょんが今決めたルールなんだろうな。

 でも二人とも受け入れてるあたり、やはりぴょんクオリティってことか。


「全員ばらけたちゃったら、今度は2位の奴を選んで、1,2位に選ばれたのが多かった奴が優勝な!」


 ん?

 その決め方だと、大和が1位なりようなくね?

 ぴょんにはみんなより先にあげちゃってるんだから、今日はゆめにしかあげてないし。もらえてもゆめからの1票だぞ?

 そういう意味ではぴょんとゆめも、あげてる相手が少ない分不利か。


 このルールでいいのかなと思いつつ、数学科の目線で考えているであろうだいの方に視線を向けると、まだ少し恥ずかしそうなだいはそれどころではないみたい。

 

 ま、なんでもいっか! 確実に大和が勝てないだけだし! 


「よし、じゃあせーのでいくぞー」

「おっけ~」

「よし、決めた!」


 期待なんかしてないけど、もしかしたらと思うとちょっとドキドキはする。


「せーのっ!」


 俺の方に誰か指向けるかなぁ、そんな自然に青いバラが生えてくる確率程度の思いを抱きつつ、俺は3人の繰り出す手に、注目するのだった。

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