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オフ会前夜は決戦前夜

リアルパートです!

 同日20時20分頃。俺んちにて。


「いやぁ、楽な展開でよかったわ」

「そうね。みんな今日は絶好調だったわね」

「まぁ誤算は、明日のトーナメントの山かぁ」

「うん……江戸川東は、ちょっと怖いわね……」

「ちょっとどころじゃねーわ」


 2試合目に勝利した後、終始和やかなミーティングを終えて、俺と赤城は大会本部で明日の組み合わせ抽選を行った。

 前も言った通り、予選1位通過の学校は1勝すれば都大会に行ける山に入れる。その確率は4/6。

 そして無事に赤城は1勝でいい山を引き当てた。

 ここまではよかった。


 問題は、1勝を挙げねばならぬ相手なのだ。


 今言った通り、1勝すれば都大会の山に入れるのは、予選1位通過の学校のみ。

 つまり今日2勝した強い学校と必然的に試合することになる。

 これは大会が始まる前から分かっていたことなので不服はないのだが……。


 俺らの相手に決まったのは、8年連続東東京の公立校大会優勝校、都立江戸川東。

 年々競技人口が減る中、女子ソフトのスポーツ推薦もやっている、単独で部員20名を超える強豪校だ。

 公立校大会の都大会でも基本的に優勝か準優勝だし、高体連主催の私学が混ざった大会でも支部予選突破は当たり前。本当の意味での都大会にも当然のように駒を進める名門なのである。


 相手が江戸川東って聞いた時、市原すら不安そうな顔してたくらいだからな。


 ちなみに江戸川東の今日の試合は2試合とも綺麗に15対0の3回コールド。

 スコアを見せてもらったけど、まさに王者の風格を見せる試合運びだった。


『戦う前から気持ちで負けてたら、本番は絶対負けるぞ』


 抽選の結果を伝えた時、俺は選手たちにそう言った。でも、やっぱり俺にも不安はある。

 せっかくみんな見に来てくれるし、勝ちたい気持ちは強いのだが……。


「みんなを信じましょ」

「それっきゃないか」


 そんな会話をだいが作ってくれた夕飯をいただきつつ話す。


 ちなみに大会初日を終えて、いったん自宅へと帰宅しただいは、今日は土曜日だからという理由で明日の準備を持った上で我が家にやってきた。


 さすがに今日は泊まらなくていいんじゃないかとは思ったんだけど「ダメ?」って言われて俺に断る力があるわけもなく。

 今に至るわけである。


 そばにいれるだけで、嬉しいからいいんだけどね。




 そして20時50分。


〈Zero〉『よっ!』

〈Daikon〉『こんばんは』

〈Jack〉『お!おつかれーーーーw』

〈Pyonkichi〉『勝ったか!?』

〈Yume〉『ドキドキ~』


 活動日へのログイン直後、ぴょんとゆめからの質問。

 今日の結果次第じゃ大会応援オフはできなくなってたんだし、そりゃドキドキだよな。


 もったいぶった俺は、少しだけ返事に間を置いてから質問に答えた。


〈Zero〉『余裕』

〈Jack〉『おおーーーーwおめーーーーw』

〈Yukimura〉『おめでとうございます』

〈Earth〉『さっすがー☆おめでとっ☆』

〈Pyonkichi〉『これで無事オフ会だな!おめ!』

〈Yume〉『やったねー』

〈Senkan〉『おめでとう!』

〈Soulking〉『よかったよかったー』

〈Gen〉『余裕って、戦ったのは生徒だろw』

〈Jack〉『たしかにゼロやんのセリフじゃないねーーーーw』

〈Zero〉『まぁそうなんだけどw』


 リダにツッコまれたけど、みんなの称賛はやっぱり嬉しい。

 勝てた喜びと、無事オフ会を開催できる安心。

 せんかんにも会えるし、楽しみだなぁ。


 ちらっと振り返ると、だいも嬉しそうに笑顔だった。


〈Daikon〉『明日は13時にプレイボールになりました』

〈Pyonkichi〉『場所は一緒かー?』

〈Daikon〉『うん。江戸川東』

〈Yume〉『最寄りどこー?』

〈Zero〉『新小岩』

〈Yukimura〉『どこでしょうか・・・』

〈Zero〉『大人なんだから行き方は自分で調べろw』

〈Senkan〉『試合終わったら何時くらいになるんだ?』

〈Zero〉『試合自体は80分制だから、15時前には終わるよ』

〈Pyonkichi〉『おお、昼から飲めるか!』

〈Zero〉『俺らはミーティングとか、色々あっから!w』

〈Pyonkichi〉『えー。すぐこないの?』


 こいつはほんと……ぴょんの言葉にモニターの前で俺は苦笑い。

 たぶん、だいも同じ顔してる気がする。


〈Daikon〉『私はさすがに1回帰るわよ・・・』

〈Zero〉『同じく』

〈Pyonkichi〉『ユニフォームで来いよwww』

〈Yukimura〉『お二人のユニフォーム姿見たいです』

〈Gen〉『いや、お前ら試合見るんだったら見れるだろw』

〈Yukimura〉『あ』

〈Jack〉『ゆっきーは相変わらず天然だねーーーーw』

〈Earth〉『天然可愛いっ☆』

〈Yukimura〉『あーすさんに言われると、ちょっとイラっとしました』

〈Earth〉『なんでーーーー!?;;』

〈Soulking〉『あーすジャックになってるww』

〈Jack〉『マネされたーーーーw』


 ゆきむらのログに、だいがくすくす笑う声が聞こえる。

 俺も、あのぽーっとした顔でイラっとしましたって言ってるのを想像して少しだけ笑った。


〈Yume〉『じゃあまた新宿に移動するのがいいかな~』

〈Pyonkichi〉『そうなー。ま、あたしら4人で先に飲んでるかw』

〈Senkan〉『え、男俺一人!?』

〈Jack〉『そうだろねーーーーw』

〈Zero〉『心から応援する』

〈Pyonkichi〉『どういう意味かなー?ゼロくーん?』

〈Yume〉『んー?』

〈Zero〉『イエ、ナンデモナイデス・・・』

〈Yukimura〉『お待ちしてますね』


「頑張らないといけないね」


 背後から聞こえるは、優しかった。


「そうだな」

 

 ゲーム内ではみんながわいわい喋りながら、今日も今日とて武器取りが行われる。

 もうすっかりおしゃべりしながらでも倒せるくらい、戦闘は安定してきた。

 残念ながら今日は武器のドロップはなかったけれど、それでもギルドの空気は和やか。


 明日で3年たちの部活を終わりにしないために。

 勝ってみんなで笑うために。


 できること、やりたいと思う。

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