転生したら豚の貯金箱だった
貯金箱……それはお金を貯金するもの。
貯金箱には様々種類がある。
あるものはお金をカウントすることができ、またあるものは小銭を分別することができる。
俺、郵貯住友は貯金箱を愛している。
〜〜〜
チャリン
今日も俺の中で小銭の音が響く。
「お、今日は500€か、随分と高額な貯金だな。」
俺は、自分に入れられた500€を身に感じながらそう心の中で呟く。
一月前、俺は異世界に貯金箱として転生した。
何故、貯金箱に転生したかって? ふん、そんなものクソみたいな神共に聞いてくれ。
俺は貯金箱に転生したくてしたわけじゃない。
そしてどうやらこの世界の貯金箱には価値にかなり差があるようである。
一番階級の高いものは、この国で人気のある動物などを象ったオシャレな貯金箱。
その次がユニークな機能を持っている貯金箱。
そして、最後に普通の貯金箱。
大まかにはこの三段階だ。
そして、普通の貯金箱である俺は、貧乏なある家で使われている。
この家は、母と息子の2人暮らしで生計がかなり苦しいようだ。
そんな中で俺は貯金箱としてしっかり役目を果たしている。
〜〜〜
ある日、貯金箱が満たされた。
それと同時に、息子の方が新しいおしゃれな貯金箱を買ってきた。
最近になって、この家は大変豊かな生活になったようなのだ。
と言うのも、息子の方がどうやら勇者に選ばれたようなのだ。
たかが普通の貯金箱の俺だが、昔からこの家にいたので、貧乏だったこの家族が裕福になったのは少なからず感慨深いものだ。
〜〜〜
俺は、満たされて以降この家族に触れられることがなくなった。
と言うのもこの家族、裕福になったことで俺に貯金をしていたことを忘れたようなのだ。
正直、貯金箱に転生した俺としては、しっかり貯金箱として俺を扱って欲しいとそう思う。
だからお願いだ。
俺からお金を取り出してもう一度俺のことを使ってくれ。
〜〜〜
ある日、この家からおしゃれな貯金箱が消えた。
それと同時に、母親は朝から家を空けるようになり、息子の方は部屋から出てこなくなった。
俺は、その場にいた貯金箱として2人の会話を聞いていたのだが、どうやら勇者の息子が、パーティーメンバーの男を追放してしまい、その復讐にあったそうなのだ。
それを聞いた時、俺は思った。
「その男、絶対転生者だ。それもなろう読者だ。」
と。
何故そんなことが言えるのかと言うと、どうやらこの勇者、取り巻きの女にも裏切られたらしいからである。
要するに、この勇者の周りで起こった出来事は、ハーレム勇者が男を追放し、その結果男に復讐され、女全員を奪われた、と言うことである。
何ともまぁ、可哀想な勇者である。
〜〜〜
それから暫くして、勇者はモノに当たるようになった。