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仮の面はどう足掻いても。  作者: 月乃宮 夜見
第二章 その日の難逃れ
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「さて、卯さん。仮に認識阻害の魔法がかかっているとはいえ、安易に下位の戦闘員達に話しかけてはいけませんよ」


仮面の仕組みについて話したあと、午さんは卯さんに微笑みかける。


「最高幹部がなめられてしまいますからね」


「本当はその注意をしようと思っていたのですが」そう呟いて、


「御相手が例のお二人でしたから思わず、ちょっかいをかけてみたくなったのですよ」


と、わたしたちの方を一瞬だけ目線を向けて再び卯さんの方を向く。


卯さん(ひと)の事を言えなくなってしまったので今回は注意しませんが、以後気を付けてください」


というと、卯さんは「……わかってるわよ」と、ぷい、と身体ごと午さんから逸らす。それを微笑し「処で」と午さんはわたしたちの方、特に、同期の少女の方をみた。


「結構プレッシャーを掛けたのですが、意外と平気そうですね」


「ただの一般戦闘員なら潰れてしまうくらいの、結構重めのプレッシャーだったんですよ」と、にこ、と微笑むその爽やかな笑顔がちょっと、怖かった。



×



「お腹いっぱいっす!」


食事処のご飯はとってもおいしかった。……例え、さっきの午さんのプレッシャーのあとだったとしても、勝手に食べちゃうくらいに。


時計をみると指摘された時間に近かったから、食事処を出て『午の移動ポート』まで向かうと。


「おや、早い行動ですね。評価に値しますよ」


すでに畢宿(あめふりぼし)さんが立ってた。



×



「次は、『子』の方へ行きます」


朱っぽい色の移動ポートに入ると、畢宿さんは光る本を手に取り、黒く、というよりは黒っぽい紫のような色に光る文字を浮かび上がらせる。


そして、その文字を宣言して、朱っぽい色の木製の引き戸みたいな扉が静かに閉じ、朱っぽい色の金属でできたアコーディオンシャッターがガシャンと閉まった。


「そこで何するんすか?」


同期の少女が畢宿さんに聞いた直後、チン、と音がした後に扉が開く。……さっきと音が違う?


「一応、最終目標は『中級戦闘員になる事』なので、先に服の採寸を行います」


出ると、さっき浮かび上がらせた文字みたいな、黒っぽい紫色に光る紋様と文字の場所に出た。どうにか見えた、目安の紋様は……波線?


「中級戦闘員だと、動き易さや見栄えが必要になってくるので服はオーダーメイドになるのです」


さっさと歩いて行く畢宿さんについて行くように、くい、と同期の少女に腕をひっぱられてその空間から出た。ちなみに、成績が良いと、服のデザインもある程度は自由にできるようになるみたい。


「採寸が終わり次第、住居領の説明を行います」


目的地まで徒歩で移動しながら、畢宿さんは告げる。


「そして住居領の説明終了と同時に、貴女達の今日のレクリエーションは終了いたします」


住居領、ってことは、わたしたちが今日から泊まる場所だから……直帰?(ちょっと違うと思うっす)


「採寸の間は私ではなく、別の星官が担当します」


「なので、採寸時に質問があればその方にお願いします」と、畢宿さんはいう。さっきも気になってたけれど『星官』ってどのくらいいるのかな、って思っていると、


「星官って何人居るんすか?」


そう、同期の少女が畢宿さんに聞いた。おんなじこと考えてたみたい。それが、ちょっぴり嬉しかった。


「私のように『宿』の付く星官ならば私を含め、28名います」


ちなみに、今からお世話になる星官のひとは、虚宿(とみてぼし)さん、だって。


「それぞれ、『子』『卯』『午』『酉』の最上位幹部の方々は3名ずつ、他の最上位幹部の方々は各2名ずつ……」


といったところで、「あ、未様と申様、戌様の方には付いていないんだったか…」そう、ぼそりという。


「何でなんすか?」


そう聞いてみると、


「分かりませんね…『恐らく、午様、酉様、亥様各御方がお忙しいからだ』と言われています」


少し残念そうに、畢宿さんは答えた。酉さんたちの次に偉い畢宿さんでも、よくわかってないことが多いみたい?


「未様の星官は午様に、申様の星官は酉様に、戌様の星官は亥様の方に付いているので、その噂は(あなが)ち間違いではないのかもしれません」



×



組織内を歩いていると、まっさらな仮面を付けた人達が集団で歩いてるのが見えた。一般的な戦闘員と同じような背丈で、みんな同じように腰くらいまでの丈の黒い外套を纏ってる。


身に付けているグローブとブーツは黒くて、中に着ているぴったりしたスーツは青黒い色と赤黒い色を混ぜた、不思議な模様。みんな白く短い髪をしていて、長さもおんなじ。……変なの。


操られているみたいに一糸乱れず、綺麗に足音を揃えて通り過ぎていった。……変な感じがして、すごく不気味。


「どうしたんすか?」


何でも、ないの。思わず握りしめた服を、そっと離した。


「あぁ、あれは『人形』ですよ」


わたしたちの視線の先を見て、畢宿さんは教えてくれた。……あれが、移動ポートが使えない『人形』。


「指示通りに動く、意思を持たない戦闘員です」


なんてことはない、と畢宿さんは気にした風もない様子だったけれど。あの『人形』は意思を持たない、っていうよりは…


と、少し考えていると、その集団のうちの1人の外套が翻って、背中がよく見えた。


「……」


背中側から、黒い骨みたいな防具のような、拘束具のようなものが生えて、身体を包み込んでた。



『人形』について。


ピッタリしたスーツの青黒い色は、一部省略した筋肉のような模様をしてます。


デザインのイメージは


青ー筋肉

赤ー血液

黄ー肌

白ー髪

黒ー骨



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