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仮の面はどう足掻いても。  作者: 月乃宮 夜見
第二章 その日の難逃れ
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「こちらは、『邪気除去型変換機』です」


と畢宿さんは、わたしたちが渡された巾着袋を受け取ったのを確認すると次は真っ黒な立方体を出す。高さはさっきの吸着型(丸いの)と同じくらいだった。


「『除去』の名称の通り、穢れを除去します」


除去?良くわからなくてどういうことかな、と考えていると。


「分かりやすく言えば、穢れや負の魔力を()()()()()()()()()()()


そう、畢宿さんが説明する。……消しちゃうの?


「そして、これがその断面です」


と、半分に切られたものをわたしたちに見せる。


外側の黒い物体は中心に空洞があって、その中に薄い金属の層、それの中に白くてすべすべ、ピカピカした石が一個入ってた。石の大きさは指でつまめるくらいに小さい。


「これは『正の魔力が込められた石』です。……『正の魔力石』と簡潔に呼ぶ方も言います」


と、半分の模型に入って居た白い石を指した。


「妖精の国の周囲でよく出土するもので、酉様の率いる昴宿(すばるぼし)の皆様が調査や採掘を行ない、持ち帰ってきます」


そうなんだ。また新しく上級戦闘員の星官のお名前がでた。……星官って何人くらい居るのかな。


「あと、両替屋が売りに来る事もありますが……」


結構高いんですよね、と畢宿さんは零した。『両替屋』?わたしたちの顔を見て、ハッと短く息を吐いてから


「善悪関係無く、対価を払う相手にだけ平等に商売や両替等を行なってくれる商人です」


そう、教えてくれた。(なんか答える時にバカにした溜息吐いたっすよね?)気にしちゃ負けだから気にしないの。ちょっともぞもぞしてる同期の子の袖を軽く引っ張った。


「話は戻りますが……正の魔力石(これ)の周囲にある金属の層は魔力を増幅させるための回路で、少量でも結構な量の正の魔力を放出してくれます」


除去型(四角いの)は置いて使うから立方体で、周囲の黒いのは薬品を混ぜた魔力なんだって。それで、使うひとが魔力を込めて中の石を刺激したら、あとは周囲の魔力を消費しながら正の魔力を吐き出すみたい。


それで、周囲の魔力を使い切ったら中身の回路と石を回収する。


「因みに、これは簡易版です」と、小さな黒い立方体の入った紙製の箱を見せた。一箱には12個入っていて、なんだかキャラメルみたい。これは中には回路と石は入ってないんだって。


「……最高幹部の方々はあまり使用しないんですが」


と言いつつ、実演して見せてくれた。一回だけ、ちょっと魔力を当てたら周囲からほろほろとゆっくり崩れて、空中に溶けていった。(なんだか入浴剤っぽいっす!)わたしはお線香みたいって思った。


「除去型は主に我々の証拠隠滅や、野良のバケモノ避けに使われます」


証拠隠滅……なんだか、悪っぽいかも。


「バケモノって何すか?」


すっと手を上げて同期の少女が聞くと、


「とにかく強い、穢れの塊の事ですよ」


畢宿さんは簡潔にいった。穢れって色々な大きさがあるけど、どのくらい大きいんだろう……お家くらい?


「証拠隠滅に使用する理由は、我が組織の構成員達は負の魔力や穢れを体内に所持し、それを自然と外部へ放出してしまう為です」


言いながら、簡易版の入った箱を外套の中にしまう。


私達(『仮の面』構成員)は、長期間その場にいると周囲を負の魔力で汚染してしまうのです」


汚染、しちゃうんだ。知らなかった。……じゃあ、酉さんや卯さんみたいな、最高幹部の人たちは?


「あの方々は所持している負の魔力や穢れの強さが桁違いで、漏れてしまうと周囲に多大な悪影響を与えてしまいます」


酉さんとしばらく一緒だったけど、気が付かなかった。(あたしもっす)


「なので自身の負の魔力を周囲に放出させないよう、特別な衣服を着ています」


あの真っ黒い服のことかな? 同期の少女がわたしと似たようなことを畢宿さんに聞くと、「そうです」と、何故だか自慢げに頷いた。


「星官、中級戦闘員にも一応、周囲に負の魔力を放出させないように為の衣装は配られますが、一等戦闘員、二等戦闘員には配布されません」


と、真っ黒い外套を示した。


「量産し難く材料が高い、というのもありますが、魔力の流れを()き止めてしまう為に身体に負担がかかってしまうのです」


「除去型は簡単に量産できるので、申請すれば簡単に受け取れますよ。お二人には一箱ずつプレゼント致します」と、高い机の天板に置いてたらしい簡易版の箱を二つ手にとって、わたしたちにくれた。


それから組織から特定の拠点に移動したり、組織に帰ったりするのに必要な、黒い石の付いた腕輪をもらった。(ただでいっぱい物もらったっすね)そうだね。


まだまだ勉強することがあるみたいだけれど、お昼ご飯食べたらお勉強は一旦お休み。お昼ご飯を食べたら次は、この組織で過ごすためのお部屋をもらいに行くんだって。



因みに畢宿さん含む、上位戦闘員以下組織の構成員は申、酉、戌がバケモノである事、未、亥が妖精である事を知りません。


また、バケモノが『意思を持った穢れの塊』である事も知りません。


組織の周辺に湧く、野良のバケモノが理性的でないが強い穢れの塊故に、


バケモノ=とにかく強い、穢れの塊の事


だと思ってます。


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