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仮の面はどう足掻いても。  作者: 月乃宮 夜見
第二章 その日の難逃れ
64/86

見習い2人の幹部生活。

アルファポリスに転載始めました。内容はほぼ一緒。


https://www.alphapolis.co.jp/novel/229904699/970434223


他の文章を読んで見たい方は是非。

(そんなないと思うけど)


 わたしたちが今まで仮住まいとしていた場所は『拠点C』と呼ばれる場所で、侵略予定の地域に、構成員たちの衣食住を保証するために組織が用意している。


 『拠点“C”』ということは、『拠点A』や『拠点B』もあるわけで。『拠点A』は、最終局面で魔法少女達が乗り込んでくる敵の拠点の大元となる場所で、『拠点B』は、組織に所属している中級以上の幹部達が寝泊りする場所、って仮面の人が教えてくれた。


「君達、忘れ物はないかな?」


遠足の引率の先生みたいな事をいい、仮面の人はわたしたちを振り返る。


「だいじょぶっすよー、元からそんな荷物持ってないっす」


同期の子は背負った少し大きめのリュックサックを見せるように突き出した。わたしも同じように、背負った同期の子とお揃いのリュックサックのショルダーを握り、大丈夫だと頷いた。


 魔術師の少女との(3人だけの)お別れ会も終わり、魔術師の少女は自身で作った移動用の魔法陣で、故郷に帰ってしまった。思い出すと悲しくて、心臓の辺りがきゅうと痛んだ。お別れ会に参加しなかった()()()()()()()()、わたしたちを本部に連れて行くための手続きの書類を書いてたみたい。(逆にお礼を言うべきところっすかね?)


「じゃあ、本部に戻るから、きちんとその羽から手を離さないようにね」


と、仮面の人は、拠点Cから出る時に手渡した不思議な色の羽を指した。それは手のひらぐらいの大きさで、紫や緑の色の光沢を持った羽だった。因みに、魔術師の少女も同じ羽を持ってる。仮面の人が、「手紙を届ける時に大変に役に立つと思うよ」と、気を利かせてくれたのかも。


 壊さないようにそっと羽を握り、空いたもう片方の手で、同期の子の手をきゅっと握った。同期の子も同じように握り返してくれて、おんなじ気持ちなんだと、場違いかもしれないけれど少し嬉しくなる。


 仮面の人は、いつのまにか持っていた黒い少し大きな鍵を空中に挿し込み、軽く捻った。すると、カシャ、と軽い金属の音を立て、大きな暗い穴が現れる。


「さ、こっちだよ」


わたしたちに行く先を示して、仮面の人は穴の向こうへ歩いて行く。少し怖かったけれど、わたしたちは仮面の人の後に続いて穴をくぐった。



×



「広いっすねー」


 呆けたように、同期の子は呟いた。


「あと天井が高いっす」


私もおんなじ感想だったので、同期の少女に頷く。


「まあ、こっちには身体が大きい()()とか荷物とか運ばれてくるからねぇ」


 仮面の人の格好が、少し変わっていた。ただの仮面の鼻先が伸びて、まるで鳥のくちばしみたいな形になっている。おまけに、いつの間にか黒い布で身体を包み込んでいた。その裾は細く分かれていて、まるで鳥の翼みたい。


「……あら、酉。帰ってたのね」


「また小さな女の子侍らせてるんですかー?」


 周囲の環境の変化に戸惑っていると、鈴を転がすような高く澄んだ声と、ハキハキとした元気な声が聞こえた。声のした方向を見ると、兎のような仮面を付けた女の人と、犬の耳と尻尾が生えた背の高い人がわたしたちの方(というか、仮面の人の方)に向かっているのが見えた。


「あれ、卯クンに戌クン。君達、今日は休みだったかな?」


 足を止め、仮面の人がふたりの方を見て首を傾げた。仮面の人はわたしたちに「先に紹介しておくよ。小動物みたいな方が卯クン」と、止まるよう指示する。……もうひとりの紹介は?


「たまたま()()、通り掛かっただけよ」


「これまた可愛らしい子を拾って来ましたね」


仮面の人の問いかけに『卯クン』と呼ばれた兎の仮面の人はぷい、と顔を逸らし、『戌クン』と呼ばれた犬みたいな人は質問には答えずにわたしたちの方に駆け寄った。


「な、何すか?」


 じぃっと見つめるその強い視線に耐えきれずに、同期の少女は聞き返す。その時に、すっと前に出てわたしを庇ってくれた。……頼もしい……!


「……ほほう、そうきましたか」


そう呟く、『戌クン』と呼ばれた人は徐にメモ帳とペンを出して、何かを書き込み始めた。


「……うへへ、ネタが思い浮かびそうですよ。滾る!」


じぃっとわたしたちを見ていたかと思えば、次は周りを一切気にすることなく、書き込むことに夢中になり始めた。


「なんかこの人キモチワルイっす」


 同期の子は少し顔を引きつらせて『戌クン』と呼ばれた人から距離を取る。わたしも、いつのまにか握っていた同期の少女の服の裾を、きゅっと握り込む。


「戌クンのことはいつも通りだから放って置いて」


そう、仮面の人はにこ、と胡散臭い笑みを浮かべていった。



実はあまり使われない拠点C。


そして拠点Cは最上位幹部以外は主に倉庫とかもの置き場に使ってます。(最上位幹部達は、使わないか、自分用の拠点に使う)


拠点A→拠点Cの順に、建物が大きく、豪華。


【目安】

A→城〜洋館

B→屋敷〜高級住宅

C→一般家屋〜物置


みたいな。

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