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仮の面はどう足掻いても。  作者: 月乃宮 夜見
第一章 仮の面
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考える量産品。


 食糧の攻撃は、意外と効いていなかった。上層部に効かないだろう事はなんとなく分かっていたが、下位の戦闘員達にも殆ど効果が無かったように思えた。


 きっと、何処からか食糧を奪っていたに違いない。『仮の面(アイツら)』は、悪の組織(悪い奴)なのだから。


 書類改変のその後、送る食糧に関係のある妖精達や、その周辺に調査が入ったことも、知っている。 普通の妖精(無能な奴ら)達の記憶は既に改竄(かいざん)しているので、直接的に漏れることはないだろう。


 原因の解明や調査をすると知って、少しだけ安堵を覚えた。強かでは無いと、妖精から魔法少女の粉(キラキラ)を盗もうだなんて思いつく訳がないのだから。


 自分は、間違えていない。



×



 食事が無くなるだけでは、『仮の面』は弱らない。予想通りだったけれど、予想以上に効果が無かった作戦。効果のない作戦は、続ける必要はない。


「それじゃあ、次はどうする」


 次はなにをしようか。なにをすれば、どうやったら、『仮の面(アイツら)』を倒せるだろうか。妖精の魔法は。


「魔法少女達の力を上げてみる、とか」


 確かに、そうだ。パワーアップすれば、『仮の面』の連中を倒す事ができる。そうすればそのあと、『仮の面』以外も、たおせるし。


 けど、どうやって魔法少女たちの力を上げよう。


敵対組織(アイツら)の力を借りるのは、いやだな」


その言葉に、頷く。敵対組織に借り(弱み)なんて作ったら(握らせたら)、一体何を請求されるか分からない。 気がかりは、少ないほうがいい。


「それじゃあ、自分で魔法少女達の力を上げないと」


誰か の声が 聞こえる。 



 なにか、あったような 。 


 

じぶん(妖精)の力だけで、魔法少女を強くするやり方が。


 確か


「リミッターを、はずす」


 それだっけ



「リミッターを外せば、強くなる」


 なんだか



 思考が




 溶けていく



×



 魔法少女達のリミッターを外してみる事にした。


 契約している夢を持つ少女(可哀想な生贄)達には、内緒にしておこう。これは、妖精の国と『仮の面』だけの問題だ。余計なことは伝えないままの方が、魔法少女達は安心して戦える(言う事を聞いてくれる)だろう。


 眠る魔法少女を起こさないように、静かに手を(かざ)す。そうすれば、薄らと契約時に結んだ魔法陣が現れる。魔法陣の一部に触れ、文字を書き換える。 


「っ、」


 ぱきり、小さく何かが割れる音がした。これで、魔法少女に掛かっているリミッターは外れた筈だ。痛みはないはずなのに、魔法少女は小さく呻いた。


 何故だろう。身体の中心がきゅう、と締まる感覚がした。


 まとめて契約内容の変更は出来ないので、できるだけ素早く済ます。


「おやすみ、魔法少女」


 他の魔法少女達も、リミッターを解除する。その度に、何故か身体の中心(こころ)が痛んだ。



×



 他の、魔法少女との契約の書き換え(リミッター解除)を済ませた。何故だろう。あたまがいたい。


 じぶん(妖精)の不調はそこまで問題ではない。魔法少女達は強くなったはず、なのだから。



 魔法少女達を守るリミッターの解除。



 それは、魔法少女達の力を上げるために必要なものだ。そのはずだ。


 『仮の面(悪い奴)』を倒すためには必要な処置だ。教科書にも載っていた、方法。



 そういえば、『リミッター解除』だなんて、だれが思いついたんだっけ?


「なにを言ってるの」


《》はさいしょからひとりでしょ?


「ひとりごとが大きいのはよくないよね」 疲れてるんだ、きっと。



 なにか、たいへんな事をしてしまった気がする。 だいじょうぶだよ。



成功すればいい(後には引けない)んだから」


 なんのために、仮の面を倒そうなんて(こんな)ことをしようとしてるんだっけ。








 思いだした。



「これで褒めて(認めて)もらえる、かな」


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