余裕綽綽な奴って大抵こっ酷くやられるよね。
とりあえず、『試し』みたいな感じで上げました。反応良ければ続くと思いますけど、そうじゃなければ続きません多分。
本編や下級戦闘員の話と文章の書き方が違うので、ご注意ください。
「これはこれは皆様お揃いで」
上空から忌々しい声が降ってきた。
「何かオレに用事でもあるのかい?」
鳥を模した仮面の長身の男だ。鳥男はクロークの裾をはためかせ、軽薄な笑みを浮かべた。
「っ、アイツ!」
あいの荒げた声に顔を上げると、
「りんどう?!」
鳥男の腕には、りんどうがグッタリと力無く抱えられていた。
「もしかして、この子を返して欲しかったりするのかなぁ?」
何が楽しいのか、笑いを含んだ声で腕に抱えたりんどうを見せるように掲げた。
「そうに決まってる!」
みかんは悔しげに顔を顰め、
「りんどうちゃんを返してよ!」
鳥男に叫ぶ。
「いいよ」
鳥男は実にあっさりと承諾をした。
「「「えっ?!」」」
それに戸惑う魔法少女達だったが、
「ほら、返すよ」
ぽい、と鳥男はりんどうを放り投げた。
宙に投げ出され、りんどうの紫髪が風を受けてふわりと広がる。
「りんどう!」
なでしこは着地地点に駆け寄り、りんどうを受け止め
「なでしこっ!それは罠よ!」
「りんどうちゃん?!」
その声が聞こえた時、鳥男がにやりと意地悪く笑うのが見えた。
なでしこがりんどうを受け止めようとした瞬間、それは爆発した。
「あっはっは、たーまやー」
鳥男は両の手を拡げ、盛大に笑った。
「敵が差し出すものなんて、本物かどうか怪しいのに確かめもせずに『仲間だから』それだけの理由で自身を顧みず助けに行くなんて」
鳥男はわざとらしく目元にハンカチを充て
「健気だよねぇ、泣けてきちゃった」
そう宣った。
「殺す、絶対殺す!」
怒り心頭のあいは、緑の槍を関節が白くなるほど強く握りしめ、今にも刺し殺さんばかりの様子だった。
「いいねいいね、その表情」
にや、と尖った歯を見せた鳥男は
「ほんっと魔法少女には見えないよ」
更に笑みを深くした。
と、
「ん?」
ちら、と鳥男が横を気にする素振りをした瞬間、鳥男は斜め下に吹っ飛ばされた。
「あんた達何ボーっとしちゃってんの!早くなでしこを治しなさい!」
それは蒼く煌めく髪、空を思わせる爽やかな衣装の魔法少女だった。
「つゆ!来てくれたのか!」
あいの声にはっと顔を上げたりんどうとみかんは、なでしこに駆け寄る。
「なでしこ、大丈夫?」
「今治したげるね」
りんどうが紫のドーム状のガードを張り、その中でみかんの手から発せられるオレンジ色の光が、なでしこの怪我を治していく。
「みんな……ありがとう」
治癒を受けたなでしこは立ち上がる。と、
「いやぁ、流石に顔面殴られると堪えるよ」
まいったまいった、と言いながら余裕そうな様子で、立ち上る砂煙の中から鳥男が出てきた。
「くっそ、しつこいぞアイツ!」
あいは悪態を吐く。
「どうするの、なでしこ」
「なでしこちゃん!」
「みんな揃ってるんだから、あの技も使えるわ!」
りんどうとみかん、つゆの声に、なでしこは応える。
「みんな、いくよ!」
「「「「うん!」」」」
その声を合図に、魔法少女達は輝き出す。
撫子、山藍、蜜柑、竜胆、露草の花が大きく背後に現れ、魔法少女達はステッキをなでしこに向ける。
みんなからの力を受け取ったなでしこは、ピンクのステッキを掲げた。
「「「「「『プリズム・フラワーバースト』!」」」」」
そこから放たれた、純白の光線が鳥男の全身を貫く。
「まさか、お前ら如き、に」
憎々しげに呻いた鳥男は、跡形も無く消滅した。
×
「――どう? 面白かっただろう?」
満身創痍の鳥面の男は、自身を担ぎ上げる猿面の男に言葉を投げた。
「お前、本当にそういうの好きだよな」
演出を徹底する所、そんけーするぜーと、猿面の男は呆れつつ答えた。
個人的には余裕ぶっこいてる奴がそのまま実力伴ってるのが好き。
今回の魔法少女達のお名前は『和名の色』『植物であること』がキーワードです。
▼以下考えたけど出せなかった子達(と理由
ぼたん→色濃ゆいかなぁと思った
ちぐさ→花の演出が出来なかった
るり →そもそも花じゃない
はな →花色が一発で青だと判るのは難しい