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もっかい、やってみようかな

 ぼうっとした頭でも自分が死んだという事くらいは分かった。

 霊魂となり、最後の姿を見たかのように思い出せる。


 まごうことなき深緑の皮膚、産毛程度の頭に1メートルも無い身長。

 ついでにフルチン。

 死因は出血と叩きつけられた事による脳挫傷(適当)と頭蓋骨陥没、後は胸に刺された剣での内臓損傷とか?

 これでもかってぐらいにボロボロだ。


 それを何で冷静に分析しているかって?

 答えは簡単。


「おお、転生者よ。死んでしまうとは情けない」

「ゴブリンにしておいてそれは無くない?」

「選べないって最初に言ったでしょ」

「まぁ…それはね」


 目の前の少年はたぶん、恐らく、神様…か何か。

 人間としての僕が死んだときも出会っている。

 今は暇なのか茶番に付き合う余裕ぐらいは有るらしい。


「で、何で僕はまたここに居るの?」

「違う世界の魂だから」

「…もうちょっと詳しく」

「はぁー……君は地球世界の命な訳。こっちは別世界なのね。君ら風に言うならね…」

「はいはい」

「燃えるゴミの中に不燃ごみを入れるようなもんなのよ」

「せめてオブラートに包めやぁ!」


 僕は異物だと。

 燃えないゴミだから一緒に処分できませーんと。

 ちょっと待てよ?

 言葉はあれだが、目の前のアレが本当に神様なら自分の世界で死ぬ=輪廻転生ってこと…かな?

 じゃあ別世界に来た僕は…?


「この世界では死んで、ここに戻ってを繰り返すだけの存在だな。死んだ個体には戻れないけどな」


 テレパシー!?


「神様だもん。そのくらい使えなくてどうするよ」

「心は読まないでよ…」

「ちなみにゴブリンの姿で乳に吸い付いて、若干ながらも興奮していたことも知っている」


 ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!

 てめぇこの野郎!

 それは知っていても口にしちゃいけないやつだろうがぁぁぁ!!!


「まぁ、温情でそれは口外しないとしても…だ。これからどうするね?」

「いや、ほんとに口外したら許さんぞ」

「…君、神様に対して気安くない?」

「なら煽らずに褒め称えられる様な振る舞いをしてよ」

「…疲れるから嫌」

「で、どうするって具体的にどういうこと?」

「不燃ごみとしてもう一回転生するか、燃えるゴミとして元の地球世界で生まれ変わるか」

「だからオブラートによぉ!!」

「次の選別作業が始まる前に決めてねー」


 それだけ言って神(自称)は去って行った。

 例え方は糞に等しいけど理解は出来た。


「輪廻転生か…生まれ変わっても人間になれるってわけじゃないって偉大な漫画の神様で読んだ気がするし…それはこっちの世界も一緒か。ゴブリンだし」


 細胞とか微生物、菌なども選択肢に入ってしまえば『人間』になれる可能性など星を掴むようなものだ。

 それならばまだ人型で人間に近い方がマシともいえる。

 だが思い出せよ僕。

 ゴブリンになれば必然的に、人間と殺し合う事になる。


「待てよ? 何で殺し合うのが前提なんだ?」


 僕は悪いスライムじゃないよって格言?名言?だってあるじゃないか。

 なら平和に暮らすゴブリンが居たっていんじゃね?

 ゴブリンス〇イヤーならぬ…ならぬ……こうね、平和的な…スローライフとか?

 そうだよ!

 ゴブリンで平和に暮らせばいいんだよ!

 人間と関わらなければきっと幸せに暮らせるはずだ!



「こっちの世界で転生ってことで決まりね」

「はい」

「んじゃ、燃えないゴミ1丁、出荷よー」


 だからオブラートに包めってんだろうがぁ!


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