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コウ(11日目)

翌日…コウと待ち合わせ。

アオイとじゃないのはちと残念ではあるけど、まあ仲間と会えるのはちと楽しみ。

やっぱりどんな奴か興味はあるよな…。


いつもは結構時間に対してはアバウトな俺も今日ばかりは時間厳守。

なにせ相手がコウだ。

1分1秒でも遅れたら帰っちゃいそうな気がする。

それでなくても無理矢理呼び出してるしな。


10分前には吉祥寺の改札につく。

そして周りをグルっと見回す。

って…嘘だろっ!もしかしてあれかっ?!!


都内屈指の名門進学校海陽学園の制服きっちり着こなした、しかもマジあのありえんくらいの美形キャラのままのツラした男が立ってる。


もうなんつ~か、モデルかアイドルかって感じのその顔と名門高校の制服のおかげで目立ちまくってて、通りがかりの女子高生とかが指さしてキャアキャア騒いでるよ。


俺がそっちへコソっと移動すると

「碓井さんっ」

と、そいつと同じ制服来た奴がそいつに声かけてる。


「今日は彼女さんと一緒じゃないんですか?」


…って…女慣れしてない感じだったからてっきり女に縁がないのかと思ってたら彼女いんのか…。

まあ…これだけの奴ならいるだろうな…てか周りが放っておかなさそうだ…。


「相田~お前か、和に余計な事言ったの」

とそいつはため息まじりに答える。

んでもって話しかけた方はアハハっと頭を掻いた。


「えと…今度の剣道部の練習試合に生徒会のよしみで和さんに助っ人頼もうと思ったら碓井さん有段者なんだから碓井さんに頼めって言われて…彼女さんできて忙しそうだから悪いしって言ったら何だそれはって話に……」


一般のレベルをはるか超えたイケメンで、名門進学校の生徒会役員で…剣道有段者っすか…そうっすか…もうひがむ気にもならんわ。

まあ…ただ者じゃなかったのは壮絶に理解した。


俺が呆れてる間も進む会話。


「和からわざわざからかいの電話きたぞ…」

「まあいいじゃないっすか。聖星女学院なんてお嬢様学校なだけじゃなくて、あんな超美少女の彼女さんなんだしっ。

自慢にこそなれ、困る事全然ないじゃないっすか。」


彼女も名門ミッション系女子校のお嬢様なわけね…。おまけに超美少女~?

なんだよ、この出来過ぎ男は…。


「とにかく、これ以上言いふらすなよっ、いいなっ!」

と、念を押して話は終わりとばかりにクルっと振り向くと、そいつはすぐ後ろに立っていた俺を見てぽか~んと目を丸くした。


「ユート…か?」


まあ…俺もまんまだ。

でも…まあそこら歩いててもおかしくない程度の人間なはず。


だけどこいつは絶対におかしいって!あんな美形キャラがそこらを一般人のように歩いてたら絶対おかしい!


「本気で…まんまじゃん。

マジありえなくね?

おまけに何よ、その制服…」

思わず俺が言うと、

「制服?何かおかしいか?」

コウは自分の身なりを確認する。

この全然わかってない見事なボケっぷりは…確かにコウだ。


「ありえんでしょ~!

これだけイケメンでおまけに超有名進学校?!

で?生徒会役員やってて剣道有段者で名門お嬢様学校の美少女彼女つき?

出来過ぎっしょ」


もう我ながら一般人のひがみにしか聞こえないけど言わずにはいられずに列挙すると、コウは言われ慣れてるのかなんだかわからんけど、小さく息をついた。


「別に…できすぎてないから…

いいから、行くぞ。

とりあえずどうする?」

コウが言う。


ま、確かにここで立ち話もなんだしな~。

もう昼だし腹も減ってる気が…。


「ん~俺飯まだだから腹減った。

昼、マックでいい?」


言ってハッと気付いた.

ミッション達成金があるんだから何もファーストフードに行く事なかったんだよな…。


まあ…質より量にならざるを得ない男子高校生の悲しい習性だよなって思ってると、コウの言葉。


「好き嫌いはとりあえずないから、俺はなんでも。

テレビでは見た事あるが行った事ないから任せる」


はあ????

テレビでは見た事あるけど行った事ないって……


「ちょっと待った…行った事ないって…

マックの事言ってる?」

一応確認してみると、コウはうなづいた。


「ええ~~!!!ありえなくね?!!!」

もう思わず叫ぶ俺。


マジありえね~!!

こいつどこのボンボンだよっ?!


「今時マックも行った事ない高校生っているん?

マジ?!

普段友達同士とかだとどこ行ってるんだよ?!」


もうマックなくなったら生きて行けないくらい入り浸ってるんですけど?俺ら。



単純に思い切り驚いただけだったんだけど、その一般ピープルの驚きはこの何不自由ない、人生上々な気のするスーパー高校生を何故かひどく傷つけたらしい。

怒るでもなく笑うでもなく、コウはただ少しうなだれて黙り込んだ。


奴が小さい頃から勉強と武道の詰め込みで友人関係なんて作る暇与えられずに育ったってことを知ったのはもっと後の事で…まあそれ知ってから思い返せば随分俺も無神経で残酷な事言ってたなと後悔したわけだが、この時はそんな事は知る由もない。


ただなんとなく少し滅入ってるコウの様子に悪い事を言った気分にはなって

「ごめん、俺ちょっと言い過ぎた」

とだけ謝罪した。


それに対してコウは

「いや、ちょっと色々考え事してた。

悪い。行こう」

と少し寂しそうな笑みを浮かべる。


やばいよな…なんか触れちゃいけない部分に触れた気がするよな…と、悲しいほど空気読めちゃう俺は思ったわけで…


何か他の明るい話題探さんと…と、思いついたのがさっきのコウに話しかけてた奴の話…

そうだ!彼女だっ!


「彼女とはやっぱりお嬢様だとオシャレな店とか行くん?」


高校生の男にとってこれ以上明るい話題は他にないだろう!

少なくとも俺だったらめっちゃ明るい話題だっ。


俺が言うと、コウは苦笑した。

見抜かれたか?とちょっと焦ったけど、それでものってくれる。


「ん~、夏休みの間、学校と自宅の間の送迎してそのまま相手の自宅で過ごすから、昼食は彼女ん家」

「へ~親公認なんだ。」

と聞くと当たり前にうなづくコウ。


なんか…同情して損した気分になってきたぞ…。

めっちゃ明るい人生じゃないかっ!


「いいな~。俺も彼女ほし~」

もう思い切り心からの叫び。

もうさ…彼女できるなら友達いなくても良いかもくらいの勢いで欲しいんだけど?


「ユートなら…その気になればいくらでも作れるだろ」

コウの言葉に下りエスカレータに乗った俺はクルリと振り返った。


どの口でそれ言ってますかね?この男は。

もう俺も思い切り傷ついた顔でうなだれちゃいますよ?

彼女いない歴イコール年齢の俺にそれ言っちゃいます?


「コウ…何を根拠にそれ言ってるわけ?」

「俺と違って空気読めるし。

人当たり良いし、話題も豊富だしな…。

女友達も多そうだから」

「そ、それが問題。

良い人どまりなんよ、俺って。

女友達多いのは否定しないけどさっ」


そう言ってまたクルリと前を振り返ってピョンとエスカレータから飛び降りる。


「ま、俺の方も…面倒な事苦手で…。

好みにドンピシャじゃないとなかなか行動に出れない。

で…完全好みだとそれはそれで行動に出れないと言う…」

と、苦笑すると、コウも小さく吹き出した。


「そこ笑うとこじゃないって。マジ深刻よ?」

と、それでもおどけた口調で言うとまた笑う。

とりあえず…話題すり替えは成功かっ。



しっかし目立つな~、こいつ。

マックについて席についても周り振り返るよ。

それこそその気になればいくらでも彼女くらい作れるのはこいつの方だよな。


「コウみたいにさ、出来過ぎ君にはわからんよなぁ…」

俺がポテトをくわえつつ言うと、コウは苦笑した。


「俺は逆にお前の方が羨ましいけどな。

勉強と武道は子供の頃から叩き込まれてきたからできるが、人間関係が致命的に駄目だから。」


あ~確かに若干空気読めんかもだけど、頭良くて身体能力高くて…学歴あって顔良くてって言ったら、多少空気読めんでも世間では充分歓迎されると思うんだが…。


実際生徒会役員なんてやってるくらいだからつまはじきとかではなさげだし。

ようは…たぶん親しい友人ができにくい程度の読めなさ加減て感じだろうな。

それでも…彼女いるわけだしさ。

しつこいようだけど、彼女いるわけだしなっ!


「ん~でも彼女いるならもうそれでいいじゃん。

コウの彼女ってどんな子?

可愛い?」


こんな出来過ぎ男の彼女ってちょっと見てみたいよな。やっぱり出来過ぎ女なのかね?と思って聞くと、コウはちょっと悩む。


「そう…だな。よく笑う。

無邪気でふわふわしてて…

いつも楽しそうに笑ってる」


およ…。

なんつ~か…こいつ整いすぎててキツい印象与える顔立ちな上になんとなく硬いというかキツイ感じの表情だったんだけど、その瞬間なんだかすごぃ表情が柔らかくなった。


無邪気でふわふわしてて楽しそうに笑う…かぁ。

出来過ぎ女ってより癒し系美少女なわけね。


ま、自分が出来過ぎ男だから相手は別に出来なくてもいいのか…。


なんか…ネット内でお姫様を大事に大事に守ってるコウの姿がなんとなく浮かんだ。

もしかしてリアルでもあんな感じなのか…。


「あ~もしかして姫みたいなタイプ?」

と聞いてみるとコウは

「そうかもな…」

と案の定うなづく。


「だからか~、コウが姫に甘いの。

愛しの彼女に似てるから強く出れんわけね」

なんか…一気に微笑ましい気分になってきたぞ。


「ま、俺の事は良いから、アオイの事だろ、話さないとならんのは」

こっちはからかいたい気分がフツフツと湧いてきたんだが、それを察したのかこれ以上突っ込まれる前にとコウは話題を変えた。



「とりあえずな…リアル明かすなって言ったのは俺なんだが…アオイに関してはもう無駄っていうか…犯人に面が割れてるわけだし、少しリアルで連絡取れる様にした方がいいのかもな…。」


あ~…どうすっかなぁ…でも言うしかないよな…。

俺は勝手な事してキレられるかな?と思いつつ、恐る恐る切り出した。

「コウ、ごめん。

俺さ、あのなりすましメールのあとさ、アオイに携帯教えちゃった。

で、アオイの方も一方的じゃ悪いからって教えてくれてさ、お互い電話はしてる」

「あ~、そうなのか。んじゃ、少しは安心だな。」

コウが意外にも怒らず冷静に返してきた。


それにちょっと安心した俺は

「コウのは…教えちゃまずい?」

と聞いてみた。

するとコウは一瞬考え込んで、やがて口をひらいた。


「えと…な、正直に言う。

俺、実は警察関係者の息子なんだ。

んでな、今回の一連の事件て三葉商事の圧力かかってて、三葉商事のゲームと殺人結びつけちゃまずいって事になってて…俺のリアルがあまり前面にでると、俺は最悪ゲームから離される事になる。

だから…ユートまでならいいが、暴走しやすいアオイに正体明かすのは今の段階ではまずい。」


うあ…そんなすごい事になってんのか~


「そう…なんだ…」

とりあえずそれ以上の言葉は出ない。

でもまあコウが異様に犯罪対策とかに詳しい理由はわかった。


「だからな、アオイとの連絡はユートが取り続けてくれ。

何か有事には俺呼び出してくれて構わんから。

んで、俺はもうとにかく魔王に近づいて、なるべくゲーム内で自分にターゲット向く様に努力してみる。

できればまあ早く魔王倒す方向で。とにかく当座はレベル上げとミッションクリアにはげもう」


これでコウ公認でアオイに近づける事になったわけね。

まあそれだけでも来た甲斐はあった。


「まあ…ヤバい場面になったら助けを求めて叫ぶから、その時は棒っきれ持って勇者のように駆けつけてくれ、剣道有段者」

俺が若干浮かれて言うと、コウはきっぱり

「安心しろ。

棒っきれなくても一応柔道と空手も有段者だから。」

と嫌みなまでの完璧ぶりを披露してくれた。



名門進学校の生徒会役員で頭良くて身体能力高くてイケメンで柔道空手剣道の有段者…こいつ彼女持ちでマジ良かったよ。

多少の空気の読めなさ考慮してもアオイも女の子だからやっぱりこいつに流れちゃうかもだしな。


まあこんな感じでコウとのファーストコンタクトは終了。

この後はマメに電話とかで連絡を取り合う事になる。




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