表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自称魔王の、魔王を倒すまでの道  作者: 刺身こんにゃく
PR
16/18

勇者アル

強張った表情でぎくしゃくとする勇者達、そしてやけに楽しそうな悪人共を、ゼノは王座の間へと案内した。

本来ならばレオーネかケリーあたりが罵声を浴びせそうなものだが、やはりアギスとルーツィアが、邪悪の根源が揃った状態では、反抗もなく魔王に従うしかないようだ。


「えっ!?魔王様、何で勇者達を招き入れてるんっ...!?あ、うわああああああ!」


物憂げに玉座に鎮座していたリールが悪人共に気付き飛び降り、その勢いのまま土下座する。


「ほう、なかなかいい反応じゃねえか。悪くねえな」


「ほれみたか、こやつ超悪趣味じゃろ?」


「そう言われても...」


アギスがにやりと笑うと、ここぞとばかりにルーツィアは同意を求めようとまくし立てる。


愛し子アルは、そのルーツィアを背負いながらも、無言だった。


「...まあ、仕方ないよなぁ...」


何といっても、アギスとルーツィアは別格だ。両方揃っていたら、普通の人間なら同じ空間にいるだけで発狂する。

そう考えると、やはり彼らは勇者なのだなあと思わざるを得なかった。


ゼノは丸くなっているリールの背中を労るようにぽんと叩いてから、玉座にいそいそと座ると、声を張り上げた。


「ふははははは!!よくぞここまで来たな、勇者達よ!冥土の土産に色々と教えてやろう!」


「おいゼノ。てめえ客に水の一つも出さねえのかよ」


「わらわはお菓子を食べたいぞ!」


「いや食べられませんよね?そもそも私魔王でそっちは勇者側ですし...」


「器の小せえ野郎だな」


「ぶーぶー!」


外野がうるさい。


ゼノは騒音を静めることを諦め、改めて勇者達に向き直った。


「さて...貴様達は今困惑しているところであろう。そこの悪に...お兄さんお姉さんは誰なのか、何故二人を見ると恐怖するのか...」


ゼノはたっぷりと間を置いた後、仰々しく問いかける。


「勇者アルを知っているか?」


レオーネは小さく頷き、ケリーとサラは顔を見合わせた。


「勇者アルとは、おとぎ話に出てくる主人公の名前だ。彼の者は、世に蔓延っていた邪悪な魔物を蹴散らし、悪辣非道なる魔王を打ち倒し、世界を救った。そんなありきたりな話の主だ。だが、それは本当にあったことであり...あくまで後世に伝えられた美談。真相はもっと残酷だった」


ゼノはつっかえる様子もなく、すらすらと話を進めていく。


「魔王と呼ばれたその魔物は、冷酷でも外道でもなかった。ただ、世界...いや、世界の創造主に嫌われて、見た者全てに恐怖を与える、その他にも、様々な悪影響を与える呪いを生まれつき持っていたのだ。それを知る由もない勇者アルは、根も葉もない魔王の噂を信じ、恐怖に耐えながら魔王を倒した。するとどうしたことか。魔王の呪いが、勇者アルに移ってしまったのだ」


アギスはわざとらしく涙を流し、ルーツィアはそわそわし始める。


「勇者アルは呪いによって、不老不死の体となった。そして、誰からも恐怖されるようになってしまった。そして、勇者アルは今も、死ぬことなく世界を放浪している...ここまで言えば、分かるだろう?」


その瞬間。

アギスとルーツィアが息ぴったりに「そう!我々こそ!」と叫び、


「アギスヴェール・ジンエルド!」


「ルーツィア・リンク!」


「「二人合わせて勇者アル!!」」


決めポーズと共に、二人は高らかに自己紹介を終えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ