旅の少年
ある夜、こんな夢を見た
あるところに旅の少年がいた。
土埃にまみれたポンチョを羽織った少年は、長い長い旅を続けていた。擦り切れた靴で砂塵の舞う砂漠を幾つも越える、辛い旅だ。何年かかるかわからない、少年が大人になっても終わるかわからない、長い長い道のりだった。
何年かの旅の末、少年は目的の一つである幼なじみの少女との再会を果たした。少年の長く辛い旅の話を聞いた彼女は、少年の旅についていきたいと言い出した。
少年は大喜びで少女の申し出を快諾した。
だが僅か数日の旅路で、少女はすっかり疲れきってしまった。少年の旅がこんなにも肉体と精神をすり減らすものだとは思わなかったのだ。
もう一歩たりとも動けなくなった少女は、旅をやめると言った。居たところに戻してくれ、と涙した。そして、こんなにも辛い旅に連れ出した少年を責めた。
少年は反論することもなく
そっか
とだけ言い、少しだけ寂しそうな笑顔をして、少女を負ぶさり居たところに帰す旅を始めたのだった。