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ギルド

テンプレですね。

自分はこんな王道(?)が好きです。

 初心者向けの地下迷宮が何者かに制覇されてから一週間。クライス王国は迷宮跡地を埋めるのに大忙しだった。

 制覇したからといって、突然迷宮が無くなるわけではないのだ。


 国民も久々の迷宮制覇と、謎の制覇者という話のタネで大いに盛りあがっていた。


 そんな王都『クライシア』で、ある目的の為に功一はその建物を探していた。


(たしかここを曲がれば……おっ!あれっぽいな。)


 視線の先にある建物の白い壁には、剣をクロスさせた紋章が描かれていた。


「おぉ~ここが戦闘職ギルドか。イメージと全然違うな!もっと荒れてるのを想像してたんだけど……なんか役所みたいだな。」


 戦闘職ギルド――ユピテルでは職業ごとに分けられたギルドがある。

 戦闘職ギルドは所謂冒険者や傭兵、魔術師が所属している。

 他には、裏でチンピラなんかを統率して治安維持に貢献している盗賊ギルド。

 商いに関して手助けをしたり、情報のやり取りが出来る商業ギルド。

 日々切磋琢磨して、武具や家具、芸術品などの出来を競う職人ギルド。


 この複数のギルドが国の枠を越えて協力している。

 特に仲の悪い国があるわけではないし、今は五国が同盟を結んでまでやらなければいけないこともある。

 それ故、他国とは睨み合うだけで戦争なんて起こる気配もない。

 戦争なんかより、人材の確保でどの国も忙しいのだ。



「ま、綺麗だし俺のイメージなんてどうでもいいわな。」


 そんなことを言いながらギルドに入ると――


『……………………』


(なんだこの重苦しい空気は……)


 ――ギルドの中にいる男衆が殺気を出して互いを牽制していて、空気が非常にピリピリしていた。

 何か切欠があれば暴動が起こりそうである。


(……まぁ、俺には関係ないな。ちゃっちゃと登録済ませて帰るか。)


 だがこの緊張感皆無の男がそんな空気を気にするはずがなかった。


(受付は……おぉ、すげぇ美人だな。)

「すみま――」


「おい坊主。ウルさんに話し掛けるとは、いい度胸だな?」


「――はぁ?」

 

 一人しかいない受付に話し掛けようとしたら、いかにも傭兵な感じのおっさんに肩を掴まれ、若干不機嫌になる功一。

 更におっさんは、待ち合いの為であろうテーブルとイスがある場所(つまり男衆がいる場所)の近くに引っ張っていく。

 この時点で功一は空気の重さの原因に薄々気づいた。


(俺の考え通りなら……)


 チラッと、受付の人を見る功一。


(やっぱりか、まったく……面倒な。)

「んだよ、おっさん。俺は登録する為に来たんだ。早く済ませたいから離してくれないか?」


 一応、話し合いでの解決を試みるが、


「駄目だ。ギルドにはギルドのルールがある。まだ部外者の坊主でも先輩のっ!?」 ニヤニヤしながら話すおっさんを見て、不可能と判断し――


 パキッ!ドムッ!!バガン!!!


 ――躊躇いなく実力行使にでた。

 一瞬で顎を打たれ鳩尾に拳を食らって、意識が飛んでしまったおっさん。そのまま物理的に飛んで壁にめり込んだ。

 なお、おっさんのハーフプレートらしき防具は蜘蛛の巣状にひび割れて、使い物にならなくなってしまった。


『……………………』


 先ほどとは別種の重い空気がギルド内に充満する。そんな中、功一は、


「ったく、これくらい防ぐなり捌くなりしないと生きていけないぞ?先輩(・・)


 吹っ飛んだおっさんを完全にバカにしていた。

 言ってることは正しい。だが、ユピテル最速の男の動きなんて、一介の傭兵に見えるわけないだろうに。


 そんな挑発的な発言をした功一を睨み付ける、ギルド内の男衆。


 しかしそれはするべきではなかった。


『…………っ!?』


「あんたらバカなのか?さっきのを見て俺に勝てると、本当に思ったのか?」


 しっかりと制御された、まるで重力のような、絶大な殺気が男衆を襲う。


「まったく、何が先輩だよ。周りを見てみろ。女性陣から避難殺到じゃねぇか。ウルさん……だっけ?あの人のことが好きなのはいいが、それで業務妨害なんて三流しかいないのかここは?」


 そう言って殺気を収める功一。

 男衆は殺気を直接浴びて全員が虫の息で、誰も答えられない。


「ちっ、情けない。業務妨害したり新人いじめたりしてないで少しは鍛えろよ。」


『……………………』


 今度は誰も答えない(・・・・)。


「はぁ……次はだんまりかよ。……登録済ませて帰るか。」






~~~side ウル~~~



『おい坊主。ウルさんに話し掛けるとは、いい度胸だな?』


『――はぁ?』


 また始まりましたね……。

 カインズさん(おっさん)たちは何をしたいのでしょうか?


 誰が私と喋るかで争っているのは、別にいいのです。こ、これは自惚れではないですよ?誰が見てもわかる事実ですから。本当ですよ?……私は誰に言い訳をしているのでしょうか……。


 で、ですが、あんな風に新人をいじめたり、お仕事の邪魔をしてきても私はそんな人たちとは仲良くできないのです。


 しかし、今入って来た子は災難ですね。カインズさんに絡まれて、二度と来ないかも知れません。


 私が困った顔をしながら、カインズさんたちを見ていると、


――チラッ


 絡まれている子が一瞬こちらを見てきました。どうやら助けを求めているわけではないようですが……?



『んだよ、おっさん。俺は登録する為に来たんだ。早く済ませたいから離してくれないか?』


 怯えたそぶりも見せずに穏便に解決しようとしていて驚きましたが、


『駄目だ。ギルドにはギルドのルールがある。まだ部外者の坊主でも先輩のっ!?』


 パキッ!ドムッ!!バガン!!!


 カインズさんを殴り飛ばして(・・・・・・)しまったことは更に驚きでした。

 カインズさんは、ああ見えても平均ステータスA+の実力者なのです。


『……………………』


 ギルド内の皆さんは絶句しています。

 私だってカインズさんが壁にめり込むなんて予想していませんでした。

 そんな重い空気の中、


『ったく、これくらい防ぐなり捌くなりしないと生きていけないぞ?先輩(・・)


 新人君は嘲るような口調で挑発とも取れることを言ったのです。

 当然、周囲の冒険者や傭兵の皆さんは立ち上がり、新人君を睨み付けます。


 ですが――


『…………っ!?』


 ――新人君を睨み付けていた全ての人が床に膝を着いてしまいました。冷や汗を流しながら、歯を食いしばって何かに耐えているように見えますが、いきなりどうしたのでしょうか?


『あんたらバカなのか?さっきのを見て俺に勝てると、本当に思ったのか?』


 新人君が問いかけています。たしかにあれを見ても勝てると思ったのなら、バカにされても仕方ないと思います。


『まったく、何が先輩だよ。周りを見てみろ。女性陣から避難殺到じゃねぇか。ウルさん……だっけ?あの人のことが好きなのはいいが、それで業務妨害なんて三流しかいないのかここは?』


 新人君の言うとおりです。少し辛辣ですが、的確に事実を突いていますね。

 というか、名前覚えてくれたんですね。えへへ…………はっ!?べ、別に嬉し……いですけど!これは違……ってだから私は誰に言い訳を……。


『ちっ、情けない。業務妨害したり新人いじめたりしてないで少しは鍛えろよ。』


 新人君は、誰も答えないことに失望したようですね……。相変わらず辛辣ですが。


『はぁ……次はだんまりかよ。……登録済ませて帰るか。』


 ……?先ほどもだんまりだったような?

 って、そんなことはいいのです!新人君がこちらに歩いてきているのですから。


 新人君はまさに期待の新人です。ギルドに好印象を持ってもらうためにも、しっかり仕事をこなさなければいけませんね。



「こんにちは!戦闘職ギルドへようこしょ!」



 ……泣いていいですか?






~~~side out~~~



当事者と傍観者の違う視点から見た一連の出来事。を書きたかった。

……同じ話を二回書いただけな気がします。

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