決戦!神祖竜vsタキツ1
短めです。またもや前振りなので。
読んでくださり、ありがとうございます!
―――ブォン!ガチン!シャッ!ビュオッ!
「ほっ、よっ、はっ、……っと。」
常人なら掠るだけでバラバラになる威力の、尾や、顎や、腕や、翼。それらをキツは素手で捌いていた。上下左右前後から迫る攻撃を、だ。
『『グルルルルルル……』』
「仲いいなお前ら。随分上手い連携じゃないか。」
一度距離をとって感心したように言った。事実、小さな人間相手に波状攻撃なんて滅茶苦茶凄いのだが。
「……ふぅ……しっかし、凄まじい回復力だな。殺しても殺しても向かってくるとは。まぁ、面倒だが……?」
―――クイックイッ
神祖竜と戦っているこんな状況でコートの裾が引っ張られた。
一体誰だ、と振り向くとそこにいたのは――
「…………ご主人様、終わった。」
「カルマか。早かったな。……あ、カルマならこんな相手楽勝か。」
――カルマだった。カルマはやはり他の二人より早く終わったので、キツの魔力を頼りにここに転移してきたのだ。
「…………?ご主人様がタキツ様になってる。」
「あ~……想定外だけどな。……そういえば神祖竜にちゃんと名乗ってなかったな。」
そう言って神祖竜に向き直る。どうでもいいが律儀に待っている神祖竜はなんなのだろうか?
「さて、自己紹介をしようか。
俺は“センジン”橘キツだ。タキツでいい。
……お前らに言ってもわからないだろうが、これは俺が絶対にすると決めていることでな。未来を奪うことに対しての最低限の礼儀だと思ってるんだ。」
キツ改めタキツがそう宣言すると――
『そうか。我は天祖竜だ。人間は勝手に神祖竜と呼んでいるが。』
――竜が人語で返してきた。
「……喋れんのかよ!?」
「…………喋った!?」
二人はビックリである。特にカルマは。何故なら――
『無論、我らほど高位の魔物なら人語程度理解出来る。』
「じゃあなんでギャアギャア鳴いてたんだよ!?」
「…………(コクコク)」
――というわけだ。タキツは「こいつ頭があれなのか?千年とか経つとおかしくなるのか?」なんて考えていたし、カルマは「ただの迷惑なやつだったんだ……」とか考えていた。
使い魔は主人に似るのだろうか?
『ふん。我らが何故、獣の如く襲い来る人間風情に話しかけねばならんのだ?』
「……あぁ、なるほど。それは少しわかるわ。相手が話を全く聞かないとどうでもよくなるよな。」
『そういうことだ。だがお前は礼儀を示したからな。我も応えなければ獣になってしまう。だからこうして話しているのだ。』
「…………ボクは神祖竜を殺したよ?」
『だからなんだ?我らは家族でもなければ仲間でもない。一応、主の意思に従って今は共闘してはいるが本来は友好的ではない。』
「なるほどな。主が同じなだけで仲良くなるわけじゃないもんな。……ところで、えーと……獄祖竜?でいいのか?」
『ああ、合っているぞ。』
ドゥローレンの迷宮“獄竜の檻”の竜は、やはりというか獄祖竜というらしい。
「じゃあ二人?に質問があるんだが……。」
『なんだ?』
「お前らの主ってなんだ?」
これはタキツが一番気になっていたものだ。もう人造竜だと言うことはわかっている。それを造った者のことが知りたいのだ。
『フッ……それは言えないな。あぁ、違うぞ?言いたくないのではなく言えないのだ。主との契約でな。……恐らく消滅間際なら解除されると思うんだがな。』
「そうか。ま、当たり前だな。人類を何回掃除してるか知らないが――」
『――11回目だ。』
「……ああ?」
『我らがこうして人々を減らしたのは、今回で11回目だ。』
少し苦しそうに天祖竜が言う。
衝撃の事実である。つまりユピテルは――
「嘘だろ!?じゃあなんだ?この世界は一万年前から一歩も進化していないのか!?いや、それよりも退化している……?」
――そういうことになる。ユピテルは千年毎に歴史がリセットされていた。
『そうだ。我らが存在すると、この世界は永遠に停止したまま動かないのだ。……そこでだ、タキツよ。』
「……それじゃあ……でも……?あ、あぁ、なんだ?」
『動揺しているところ悪いが頼みがある。そろそろ我らの理性も保ちそうになくてな。簡潔に言う。
どうか、我らを消してほしい。
頼んだ……ぞ、タキ、ツ……。』
ピリッ、と空気が変わった。二人の竜が臨戦態勢に入ったからだ。
「……承った。必ず、お前らを消してやろう。」
「…………(グスッ)」
「カルマ。……わかっているだろ?」
「…………うん!……ちゃんと、消す!……造ったやつは絶対、絶対に許さない……!必ず殺してやる!!」
「賛成だ。……どこの世界にも似たようなゴミはいるんだな。……………こいつら(・・・・)も絶対に救ってやる……!」
どうやらこの主従二人にも過去に何かあったようだ。
普段は口数の少ないあのカルマが、激昂して怒鳴ったのだ。更にその体からは“死”が具現化したオーラが滲み出ている。
身内のこと以外では滅多に怒らないタキツも今だけは激怒し、これまでとは比べものにならない殺気を放っている。
タキツの凄まじい殺気で周囲の風が止み、生き物が逃げていなくなった。
「「…………消す。」」
本当の意味で殺し合いが始まった。
なかなか進まず、しかもほとんど戦わず、申し訳ありません。
次回はかなり暴れる予定です。
ですが少し遅れると思われます。そこはご容赦下さい……
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