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猫又族と竜

あと少しで……!

進行も更新も遅く申し訳ないです。

「……と、言うわけだ。」



 功一はウルと出会った経緯を説明した。もちろん、ウルの過去は言わずに。

 ちなみに、ウルは食事に夢中で話には参加していない。



「なるほどね。あまり言いたくない事情があるのはわかった。」


「……悪いな。」


「ううん。……でも、なんで“お兄ちゃん”って呼ばせてるの?趣味?」


「んなわけあるか!!……こいつの過去に関係しててな。最初は呼び方を変えさせようと思ってたんだが、こいつには家族が必要だと思ったんでな。俺はウルの兄代わりになれるみたいだしそれでいいかな、と。」


「ふぅん……?随分優しいのね?」



 なんだか微妙に言葉が刺々しい。



(なんだ?嫉妬か?俺のことは何とも思ってないだろうに。)

「もはや身内だからな。俺にとってもウルは家族だ。他のやつらがどうなろうと関係ないが、身内くらいは守るさ。」


「……じゃあ、ちゃんと守ってあげなよ?」


「あぁ、しっかりやるさ。」



 こうして、もう夜だったこともあり特に何かをすることもなく一日を終えた。




―――翌日



「たしか、ここいらで見た気がするんだけどな……。」



 功一は王城の書庫であることを調べていた。……無断で。



「お、これか?……あったあった。“猫又族”は……へぇ、やっぱりか。」 

 

 

 そう功一はウルの種族について調べていた。ウルも図書館で調べたことがあったが詳しいことが載ってなかったらしい。



「約800年前に滅んだ(・・・)種族か。この国が建国して500年ちょっとだったか?よく資料が残ってんな。…………!?これ、滅んだ原因って――」


「――功一!ここにいたの!?ちゃんと許可取った!?」


「……はぁ。」



 いいところでリリアルに見つかってしまった。



「なにその態度!ここに入るの大変だったんだよ!?」



 実は今朝、リリアルは功一と廊下でバッタリ遭遇してどこに行くのか聞いたのだ。 それで返ってきた答えが“調べたいことがあるから本を見てくる”だったのだ。  その時は街の図書館へ行くのだと思っていた。だがリリアルは急に不安になった。


 相手はあの(・・)功一である。万が一、城の書庫に侵入していたら?普通の人には無理だが、あいつならやりかねない!と急ぎ書庫の入室許可を取りここへ来たのだった。



「別に誰にも迷惑かけてないだろ。俺がここに入ったのは誰も知らないんだから。というか、よくここがわかったな。」


「規則を守りなよ!迷惑云々以前に!」


「……はいはい、わかりましたよ。」


 

 そう言いながら本を棚に戻すと――



「それじゃあ、また後で。あ、ここにはリリアルしか来てないからな?」



 ――功一は徐々に薄くなり、完全に消えた。



「……………………えぇ!?」



 終始、功一に振り回されたリリアルであった。






「ただいま~。」


「あ、おかえり、お兄ちゃん。」



 功一は自らにあてがわれた部屋に帰ってくると、早速調べた結果を話し出した。



「ウル、猫又族についていろいろわかったぞ。」


「え、もう?」



 功一が部屋を出てから1時間しか経っていない。



「あぁ……猫又族は約800年前に――」


「――こ~う~い~ち~……。」

 

「り、リリアル様?」


「お、どうしたリリアル。そんな疲れた顔をして。」



 ウルに猫又族について話そうとしていたところにリリアルが現れた。



「なんで他人事なの!?あの後“勘違いで走り回った王女”って笑われたんだからね!?」


「はっはっは。」


「このっ!…………はぁ、もういいや。疲れた……。」


「あの……、大丈夫ですか?」


「大丈夫よ。ありがとう、ウルちゃん。……それより調べてたことはわかったの?」


「わかったんだが……。」


「……?まだ何かあるの?」


「……これを見てくれ。」



 そう言ってリリアルに一冊の古書を渡す。



「これがどうかしたの?」 

 

「それの最後に“神祖竜”ってやつが載ってるだろ?」


「えーと……、うん。この白い竜だよね?」


「あぁ……そいつはな、千年に一度人を喰うために(・・・・・・・)起きるらしい。」


「へぇ、でもそれはおとぎ話でしょ?」



 そう聞かれた功一はいつものように、軽く言い放った。



「いや、実在する。猫又族を始め、多くの種族が滅んだ原因がその神祖竜だからな。」


「「…………え?」」


「千年前。神祖竜が世界で暴れまわりユピテルの総人口は激減した。土地も荒れて作物が実らず、次々死に絶えていった。そして200年ほどかけて緩やかに絶滅したのだと考えている。」

 

「そ、そんな……。じゃあ私の同族は……。」


「残念だが生き残ってる可能性は低いだろうな。」



 この功一の推論は的を射ている。

 だが、惜しむらくは猫又族だけは滅んだ理由と時期が違うということだろう。

 まぁ、これは情報源の問題だから功一にはどうしようもないのだが。



「で、でも作り話の可能性だって――」


「――それはない。」


「……なんで?」


「おかしいと思わないのか?この国は建国してから500年程度しか経っていないんだぞ?いくらなんでも短すぎる(・・・・)。

 考えてもみろ。少なくとも千年前の時点で人類は神祖竜の腹を満たす程度には増えていたんだぞ?」

 

「それは……。その情報自体が間違いってことはないの?」


「そうだよお兄ちゃん。千年も前のことなんて正しいかわからないでしょ?」



 二人は功一の話が信じられない、いや信じたくないからどうにか反論する。



「それもない。ウルがいるからな。」


「ウルちゃんが?」


「……私?」


「……ウルと猫又族の特徴が一致するんだよ。薄い色素や獸人なのに魔法が、特に幻系が得意だってことがな。」


「それだけじゃ――」


「――それにウルは魔法陣を使わずに魔法を行使出来るからな。」


「「……え?」」



 二人は同じ言葉を呟いたが、その意味合いは全く違う。

 ウルはそんな当たり(・・・・)のことが理由になる意味がわからないから。

 リリアルはそんな非常識(・・・)なことをウルが出来ると知って驚いたから。



「千年前に滅んだ人類は魔法陣が必要なかったようだ。だが今の人類は魔法陣無しじゃ魔法を行使出来ない。つまり、ウルは千年前に存在した猫又族と同一種族だ。」


「じゃあ……。」


「……本に書かれてたことはほぼ正しいだろうな。だから正確な時間はわからんが、10年以内には神祖竜が起きるだろうな。」


「なら!父上に知らせないと!」



 そう。神祖竜が本当に来るなら、国全体で対策しなくてはならない。だが、



「それは出来ない。」



 功一はそれを否定する。



「神祖竜のことを説明するには、絶対にウルのことも言わないといけない。魔法陣が要らないなんて話したらなにをされるかわからん。そんなことにウルを巻き込むつもりは毛頭ない。」


「お兄ちゃん……ぇへへ……。」


「…………はぁぁぁ。」



 ブレない功一と、世界の危機を話しているのに照れるウル。二人を見てリリアルは大きな溜め息を吐くのであった。



どうせ功一のワンマンプレイ……にはしたくないなぁ……。


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