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最初の仲間

 

~~~side リリアル~~~



「また迷宮が制覇されていたの?」


「はい。王国南部にある“巨人の家”が制覇され、もぬけの殻になっていたとの報告が先ほど入りました。」


「…………もしかして先週の“地竜の住処”と関係ありそう?」


「いえ……なにせ文字通りもぬけの殻ですからね。証拠は何も残っていません。ですが……」


「?……どんな些細なことでもいいから教えてくれないかしら?」


「……わかりました。先週の件と今回の件は、どちらも迷宮に争った形跡が一つも残ってないそうです。さすがに他の攻略者たちが付けた傷は残っているようですが、主がいたであろう部屋には傷一つないようなのです。」

 

「………………やっぱり……。」


「?……リリアル様?」


「あ、いえ!なんでもないわ!……ご苦労様、メイア。私の方でも探ってみるわね。」


「はっ!……あの、質問があります。」


「許可するわ。なにかしら?」


「……功一はどこに?」


「今日はギルドに登録すると言っていたわね。どういうわけか召喚組の中で唯一、功一だけが登録していなかったのよ。……というか、何故私に聞くの?功一はいつも私の側にいるわけではないのだけれど?」


「いえ、その……失礼しますっ!」



 ――バタン!



「まったく……メイアも結構根に持つタイプなのね……。手合わせで負けて以来、ずっとあんな感じだし……。」 

 

 

 でもメイアってかなり強いのに、それに余裕で勝った功一は凄いと思う。

 試合中はずっとアドバイスしてたし、息一つ乱れてなかったし、汗もかいてなかった。

 ……あれ?もしかして功一って剣も(・)デキるのかな?


 功一の世界だと普通なのかな……。でも他の使徒の人達は、ステータスは高いけど技術がないってメイアが言ってたし……。

 それに、向こうで魔法は一般的じゃないって、むしろ淘汰されて極々一部の人以外は知らないって、功一が言ってたし……。



「功一って何者なんだろう?」

 

 

 よく考えると私は功一と魔法についてしか話していない気が……。

 ヒルダさんのことだって吸血姫だと言うことしか聞いてないし……。



「もしかして、誘導されてる?…………考え過ぎか。」



 ま、まぁ、次から聞けばいいしね。



 ……それよりも迷宮が何者かに制覇されていたこと。これは、信じられないけど功一が怪しいと思う。


 “地竜の住処”と“巨人の家”制覇された報告が来た日。つまり七日前と今日。その二回とも前日の夜に功一が両方の迷宮に行っていたのを、私は感知(・・)していた。


 ――魔力追跡マジック・チェイス。私の固有魔法陣(・・・・・)

 これの効果は単純。他者の魔力をずっと追跡して術者にその場所や状態、量を知らせてくれる魔法。

 迷宮内は魔物の魔力が濃くて感知出来ないけど、それ以外でなら少なくともクライス王国で感知出来ない場所はない。


 固有魔法陣っていうのは、その人にしか使えないか、他の人も使えるけど効果が変化してしまう魔法陣のことの総称なの。

 私のは後者で、普通は街中で使うのが限界の魔法だけど私が使うとその感知範囲が増えるんだ。



「功一……貴方は一体、何者なの……?」



 迷宮の主は一人じゃ倒せない。何故なら獸人含め、人類のステータスはS+以上に育つことがないからだ。

 主は平均SSの化け物で、人類の低いステータスでは討伐の為に最低でも一流の攻略者が20人は必要らしい。


 だけど功一は一人だったと思う。今日初めて街に出た功一には、制覇目的で連れて行ける人がメイアとヒルダさんしかいない。

 でもメイアはありえない。私に嘘を吐くとは思えない。

 ヒルダさんはわからないけど、功一はあまりヒルダさんに頼っていないと思う。



「たぶん、聞いても教えてくれない……。すごく怪しい……だけど不可能だし……でも功一には常識なんて通用しないし……。」



 でも魔法………剣も…………使徒………………



「んぁぁあああ!絶対に、絶対に真実を暴いてやるんだからーーー!!!」




~~~side out~~~




「迷宮制覇のお知らせ?」


「あぁ、今回は中級クラスの迷宮がもぬけの殻になっていて大騒ぎだろうな。」



 功一たちはまだ会議室にいた。

 そこで功一は楽しそうに何が来るのかを説明していた。



「えっ!また制覇されたの!?……あれ?なんでお兄ちゃんはそのことを……?」


「ん?そりゃあ俺がやったからな。先週のやつも、今回のやつも。」


「………………ええぇぇぇぇ!!??」



 何故こいつはこんなにも軽いのだろうか?



「あ、他のやつには内緒な。」


「言っても誰も信じてくれないよ……。」


「?……あぁ、人類のステータスの限界ってやつか?」


「……?私は短時間で制覇したから誰も信じてくれないと思ったんだよ?」


「は?おま、もしかして知らないのか?」


「え、なにを?」


「獸人含め人類はS+以上には育たないってやつ。」



 心底不思議そうな顔をしながらズレた認識を修正していく二人。



「それはないよ~。私の魔防はS+だし、敏捷はSSだよ?」


「…………ちょっと見せてくれるか?」


「じゃあお兄ちゃんのも見せて!」


「いいぞ。……これどうやって見せるんだ?」



 若干引き籠もり気味だった功一は、ステータスプレートを誰かに見せる機会がなかった為に使い方がわからなかった。



「もぅ、なんでそんなことも知らないの?……持ち主と見せたい相手の魔力を混ぜて注げばいいんだよ。」


「へぇ、本当に便利だなこの金属板。」


「ねぇ、そんなこといいから早く~。」


「わかった、わかった。」



 早速、お互いの魔力を混ぜてプレートに注いでみた。



―――――――――――――――――――


名前:ウルティリス・ララシリア

Lv:49


体力:D+

魔力:S


物攻:D

物防:C

魔攻:S

魔防:S+


敏捷:SS

運 :B-


―――――――――――――――――――



(レベル高ぇ!?ってか10歳でこのステータスって……。)


「お兄ちゃん?このステータスおかしくない?さっき言ってたことに当てはまらないよ?」



 功一のステータスを見たウルが、驚きながらも問いかける。



「俺は人類卒業しちゃったんだよ……。」


「あっ、なるほど。」


「納得すんなよ……なんか悲しくなるから……。」



 本人たちは実に緩い会話をしているが、これは身体の構造的に本当におかしいことだとわかっているのだろうか?



「というか、なんでお兄ちゃんの名前が不明なの?またレベルの横に(1)ってでてるし。」


「あ~……俺に対して功一だけは(・・・・・)当てはめることが出来ないんだよ。」


「……?よくわかんないや。」

 

「……まぁ、名前については今度な。レベルの横のやつも心当たりはあるが確証がないから、今は気にすんな。てかステータスプレートにも書いてあんのか。」



 気になったようで、功一は自らのステータスを確認する。



―――――――――――――――――――

名前:???

Lv:1(1)


体力:S-

魔力:SS


物攻:SSS-

物防:C

魔攻:SS+

魔防:B-


敏捷:SSS+

運 :F


―――――――――――――――――――


(たしかに表示されてんな……ん?運が下がってるだと!?)

「な……なんでだ?俺ってなんか悪いことしたか?」


「ねぇねぇ、もう戻ろうよ。お知らせ来るんでしょ?」 

 

「あ、あぁ……そうだな。……あ、待て。ウルは幻系の魔法ってどうやって使ってる?」



 功一は魔力を限界まで抑えた。



「え?こう、想像すれば使えるよ?」



 そう言って、姿を変えて見せるウル。



(やっぱりか……。)

「魔法陣は使わないのか?」


「うん。書くのに時間かかるから全然使ったことないよ。」


「……そうか。よし、じゃあ出るか。」


「……?うん、わかった。」



 やっと会議室を出た二人は、ギルド内の異変に気づく。



「……騒がしいな。」


「……騒がしいね。」

 

 

 功一たちは防音性の高い会議室の中にいたから気づかなかったが、ギルドは再度の迷宮制覇でお祭り騒ぎになっていた。



「……ウル。受付は行かなくていいのか?」


「あそこに入って行くのは無理だよ。それに私はもう10歳の子どもだよ?受付なんて出来るわけないじゃん。」


「……これからどうするつもりだ?」


「お兄ちゃんに着いてく。今、この世界で私を知っているのはお兄ちゃんだけだから。」


「……………………はぁ、わかった。でも、ちゃんとギルドは退職しろよ?」


「んふふ、じゃあちょっと行ってくるね。」

 ウルは姿を変えて事務室に向かって歩いて行った。




 こうして功一の初めての仲間(?)はウルという少女に決定したのであった。

ウルは功一が大好きです。

だから基本的に疑ったりしません。

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