表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/16

プロローグ

 空は澄み渡り、雲は遥か高みをゆっくりと流れて行く。まだ日差しは夏の色を留め、空気は秋の到来を予感させた。だけど、僕は知っている。この時期は、往々(おうおう)にしてして不思議な事が起こる事を。これは、そんな狭間(はざま)の季節の話。

 夏の間は忙しかった仕事も落ち着きを取り戻し、少しだけ(まと)まった休みが取れた僕は、ここぞとばかりに、旅に出る計画を立てた。

 計画を立てた、とは言っても、行き先だけを決めて、後は自由気ままな一人旅だ。気負(けお)う事も無ければ、誰かに気兼ねする必要も無い。そんな自由を満喫する旅。

 出発前夜、荷物を纏める僕の心は弾んでいた。

 忘れ物が無いか、チェックリストを使い、確認をする。もっとも、忘れても困らない物も有るには有るのだけれど……。でも、それでは旅先で余計な出費をしてしまうし、そんな事で気を揉むなんてしたくない。だから、チェックは入念に、だ。

 何も忘れ物が無い事を確認して、僕は眠りに着く。ただし、すぐに寝付けるかは別問題だ。風に吹かれ漂うタンポポの綿毛みたいに、気持ちは浮かれているから。

 心の何処かに、何か予感が有った訳じゃない。でも、少しばかり何かを期待していた。

 それがあんな形で実現するなんて思いもしなかった。それも、あんな出会いが有るとも知らずに、そして、あんな別れ方も有ると知らないままに。

 そんな狭間の季節に、僕は旅に出た。たった三日だけの旅に。

 行き先は、子供の頃、一度だけ両親と行った場所。そして、僕はあの子に出会った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ