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ゾンビから生き残るための百のルール  作者:
第一章、前提編
10/109

 空白のページ





         ※    ※    ※




 それ(・・)は腹を空かせていた。

 それ(・・)は人を喰った。野犬を喰った。息絶えた同族を喰った。

 喰って、喰って、喰って、喰って――それなのに、それ(・・)の根底にある欲望は満たされなかった。

 何を喰おうとも満たされないそれ(・・)を置いて、摂取した食べ物は栄養だけを満ちさせる。


 行き場のない栄養はそれ(・・)の体を肥大化させた。

 肥大化したそれ(・・)は更なる食べ物を求め彷徨った。

 しかしそんな行いを繰り返せば繰り返すほどに、それ(・・)は飢餓を覚えていった。


 満たされない、満たされない、満たされない――。


 そしてそれ(・・)は、己の体を喰った。

 その欠片たりとも逃すことの無いよう、自ら分解した己の体から滲み出る汁を、それ(・・)は舐めとった。

 満たされるはずもなかった。



 それ(・・)に知能があるのかは分からず、その体を引きずるのは只の本能なのかもしれない。


 ただ、それ(・・)の中にあるのは――紛れもない空虚だった。







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