表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

日 食

 ――でも・・・・・・。

 

 壱与は決意した。

 ・・・・・・イサハヤと、駆け落ちすることを。


「それでいいなら、決めなさい、壱与」


 卑弥呼は独り言をつぶやいたあと、年老いた我が身を、中国の皇帝からいただいた銅鏡でのぞき見る。


「壱与・・・・・・若いお前にこの国を、譲りたかったけれど・・・・・・」


 時刻はちょうど、民が夕餉の支度をする頃。外が急に騒がしくなった。

 卑弥呼は悟っていたかのように、どやどやと神殿に踏み入ってきた兵士らの前へと進み出た。


「卑弥呼! これ以上民衆を巻き込んだら承知しねえぞ!」


 卑弥呼は瞼を閉じた。

 そして、最後の神懸かりを行う。


「聞け。つわものども! 私は王として、当然の行いをしたまで。私を王と認めたのは、お前たちではないか。私に王たる資格がないものだと決めつけるなら、それはお前たちにも責任があると言うことだぞ」


「ぬぬ・・・・・・」


 赤ひげの兵士が両手で槍を持ち、顔をしかめた。

 卑弥呼は余裕を持った笑みを浮かべ、苦笑した。


「せ、責任とは何だ。王は民衆のすべてを背負っているものぞ。貴様こそ責任転嫁するつもりで入ると・・・・・・」


「そんなことはしない」


 と、卑弥呼は含み笑いした。


「私を殺すなら殺せ。だが、おぼえておくがいい。オオツネヒコ、お前の父は、私が女王になることを猛反対した。お前は今、私を殺すことに喜びしている。これは、さだめだ。そして壱与もいない。つまり、私を殺したあと、王になるのは――」


 ほかの兵士らもオオツネヒコと呼ばれた、ひげの兵士長を見る。


「な、何が言いたい」


「・・・・・・おめでとう、とひとことだけ」


 卑弥呼はかがり火の前に正座し、兵士たちに背中を向けた。


「私には、思い残すことがない。だから・・・・・・殺れ!」


 オオツネヒコは、図星を指され半狂乱で、卑弥呼の身体に槍を突き刺した。

 

「ぐふっ」


 卑弥呼は大量の血を吐いて、前のめりに倒れ、するとにわかに日食が起こり、太陽は月の陰に隠れてしまった。


「これで気が済んだか、オオツネヒコ・・・・・・!」


 卑弥呼は大切にしていた勾玉の首飾りを握りしめて、息絶えた・・・・・・。


 卑弥呼の亡骸は、裏庭の墓地へと埋葬された。

とうとう卑弥呼ちゃんが・・・・・・。

このあと、壱与を襲うものが現れる!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] にじそうさく します。しょうせつかになろう の きてい に したかいます。あなた の さくひん は わるいとは おもいません。かりにもし ひょうか されなくても がんばって じぶん の ほう…
2019/11/25 07:29 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ