卑弥呼の末裔
「王たるもの、神と一体化せねばならない!」
とばかり、卑弥呼はキチガイのごとく、戦争の鬼と化す。
戦争が減ったのではなく、ことごとくねじ伏せたのではないのだろうか?
やっぱ、おてんば?(汗。
神への祈りを行うことで、不作も減ったという。
いわゆる鬼道とは、中国の道教・儒教を取り入れたもの、と表記されることが多い。
たとえば、創世記のはじめに、『太占』とよばれるものがでてくるが、これは風水がもととされる。
『ふとまに』は、動物、鹿や亀の骨に火を当てて、そのひび割れで行う方法だ。
くがたち、というのも蘇我馬子の時代あたりから登場するが、実は北欧神話にも登場する。
一般的だったのかなー^^;
「卑弥呼様」
後ろで髪の毛をひとつに結った、おさげの少女が現れた。
名を、壱与と言った。
「壱与か」
卑弥呼はとりわけ、この壱与をかわいがっており、壱与もまた期待に応えようとつとめていた。
「壱与はわたしのあとを、継ぐ気はないか?」
壱与は尋ねられて、少し迷った。
「私などにつとまるでしょうか」
卑弥呼は、ふ、と笑いながらこう答えた。
「それはお前自身が決めればいいこと。私も昔は、王の器にふさわしいなどとは想わなかったが・・・・・・」
卑弥呼は壱与に微笑みを向ける。
「だが、王にふさわしいかどうかなど、関係ない。それを決めるのは神ではなく、自分なのだから・・・・・・」
「卑弥呼様・・・・・・」
入り口の前にある窓へ立つ卑弥呼は、空を見上げて、涙を流した。
「私がもし、ふつうの娘だったら・・・・・・」
下を見下ろすと、若い男女が逢瀬をしている姿が見えた。
「あんなふうに、誰かを好きになれたのだろうか」
壱与は卑弥呼と逢瀬をする恋人らを交互に見つめるばかりであった。
「おまえも、あんなふうに恋愛をしてみたいと想うだろう?」
「いえ、それは」
壱与はためらいがちに言った。
「私は卑弥呼様のもとで働くことの方が、楽しいですから・・・・・・」
卑弥呼は、そうか、とだけいって、祈祷部屋のほうまで引っ込んでしまう。
壱与の心中は・・・・・・切なかった、と表現すべきだろうか・・・・・・。
正直なところ、男とつきあうことも、夢見ている少女ではあった。
しかし、鬼道、すなわちシャーマニズムの道を選んでしまった壱与にとっては、神こそが恋愛対象!
当時のシャーマンも、修道院の尼僧と同じ感覚だったのだろう。
神との結婚生活!
卑弥呼はその道の先輩だ。
とはいえ、ときどき食事を運ばせる青年があって、壱与の勘だが、卑弥呼とこの男は、通じている、と気づいた。
食事係というのはようするに口実で、卑弥呼は――。
――なにを、バカなことを。
きっと、疲れているのだわ、と壱与は苦笑した。
「妄想にすぎない、こんなコト」
そう思いたかったのもまた、事実ではあったが・・・・・・。
卑弥呼という存在は、統治者、カリスマである。
けっして、汚れてはならなかった。
だが、とうの卑弥呼にとっては、性的なことも含めておおざっぱであると推測できたら・・・・・・。
国民との意見の食い違いから、卑弥呼は殺されてしまったのだろうか・・・・・・。
壱与ちゃんが登場です。
これから波乱がおきますぞ、ぐふふ・・