表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白い彼岸花  作者: ばるる
6/42

ノート

大学生ってのは遊んでばかりなイメージが多少あったが、一、二年のうちは、かなり忙しい。


卒業単位を取る為に、朝から晩(は言い過ぎか)まで授業をみっちり受けなくちゃならん。

そう思って、2年目の前期試験までは、俺も一生懸命早起きして大学へ通っていた。

しかし、テストにノートが持ち込める事を知り、そして試験はそんなに難しくない事を知って、やがて、ダレはじめた。


授業に出るより、人にノートを借りる方が多くなった。

授業にでても、広い教室はいつもがらんとしていて、先生もきっちり時間通りにこない。

授業中、前の方に座ってしっかり勉強してるやつと、

後ろに座って寝てるやつ半々くらいで(大学生って、楽だ)と堕落を知った。



しかし、楠木静ってやろうは、嫌味なくらい、勉強熱心だった。いつも最前列にいて授業が終わった後は先生に質問しに行ったりしてやがる。

(つくづく、目立つやつだ)本人に自覚がないとしたら問題だろう。


俺が日当たりのいい窓際でヌクヌクと、そんな事を考えていると堂々と遅刻してきた中西が俺の横に座った。座った拍子に、日当たりが悪くなり一気に俺の心の雲行きは悪くなった。


「せっかく、温かかったのによ」と文句を言うと


大して悪びれもせず

「あ、ごめんごめん、それよりさっ」と軽く無視しやがる。


「統計学のノートはだいたい集まったんだけど、歴史が微妙でさ~哲っちゃん何とかしてよ」


「無理」


「そんな、政経は貸すから」


「う~でも俺もあんま出てないし」


困ったなとふと、前をみると、楠木が目に入った。


「あいつに頼んだら?」


「静ちゃんね~ノート取らない主義なんだって」


「まじっ!?」


「うん。さすがだよね~」


大学でノート取らない奴なんて初めて見た。流石ってか、もう奇妙とすら思える。


「あいつは、学者にでもなるつもりかねぇ」


「さぁ?そう言う訳で、歴史頼むよ」


「お前、友達に頼めよ」


「それが、歴史だけいないんよ~」


「ま、でも、政経あるんだったら、歴史落としても良いんじゃねぇ?」


「いや~安全な道を行きたいのだよ」


「だったら、ちゃんと授業でろよ」


「それは、言いっこなしでしょ^^、じゃ、よろぴく」と云うなり席をたつ。


「おい、もう帰るのかよ」


「おいらを待ってる女子が外にいるのよ、ごめんね~」と風のように去って行った。


楠木を楽しい道へ導くなんて、たいそうな事を言ってたくせに中西は、すぐ彼女をつくりやがった。

ま、厄介な計画が進行しなくてよかったぜ。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ