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白い彼岸花  作者: ばるる
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混迷

釈然としないまま、静は帰宅した。





自分の気持ちばかりを押しつけて…

哲の気持ちをないがしろにした事に心が揺れる。


好きな気持ちは同じなのに…

誰よりも大事な気持ちは同じなのに…

違いは…はっきり言えば…そこに肉欲が混じるかどうかで…


(に…肉欲って…言い方語弊が…えっと…肉体的な接触?…う…)


心の中を誰かに覗かれてないかと

静は顔を赤くしてオロオロと周りを見る。



いや…なんていうか…好きって気持ちに

大した違いはないと思うのに…


哲の想いをうけいれたら

きっと哲は僕を…逃がさない。


身体が…本能が…

哲から…それくらいの覚悟の…熱さを感じた…


逃げたい訳じゃない…

傍に居たいのに…


なんでこんなに迷うんだろう…


哲が望むなら…


好きなようにしていいと…


そう言えば…


哲は喜んでくれるだろうか…






違う…




そんな犠牲的な投げやりな考え…

哲はきっとすぐ見抜く。

見抜いて…僕に失望する…




(友達でいてくれるなら…もうそれで…満足じゃないか…)



でも

なんでこんなに…苦しいんだ…


今までと違う


純粋な想いで…哲と接する事ができない



どうしよう…

このまま…ぎくしゃくして


本当に哲を失ったら…


でも


受け入れようなんて…

傲慢な考え方…絶対嫌だ…


こんなに哲が好きなのに…

抱きしめられたって

キスしたって

気持ち悪いとかそんな感情ちっとも沸かないのに


なんで駄目なんだろう…

自分の気持ちなのに

考えれば考える程…空っぽになるよ。


答えが何処にもない。


(考えたって無駄)蓮の言葉が浮かぶ。

無駄だとしても…考えないでいれないよ。


気にするなって言ったって、一番気になる。



大事だから…



どうするのが一番いいんだろ…



自分の気持ちが解らないなんて



そんな事…普通にあるんだろうか?



僕が変なの?


一人混迷にもがく静。出口のない出口を探して…


右往左往しながら…


それでもその先に…哲との最上の関係を…


見出せる事を信じて…。












哲也もまた一人…冷めない熱に浮かされて…


苦しんでいた。




静から今出る答えは解っていた。



解っていたのに

こんなにもがっかりする


自分を好いてくれているのは解ってる

自分を特別視してくれているのも解ってる


ただ…静は…

きっと…

精神的なつながりさえあれば…満足なんだろう。

有る意味…

ユイへの初恋が完成形になって…

それ以上先なんて

静にとっちゃ不要なんだ


解ってるんだ…

そうなったって…

仕方ないって…


むしろ

俺の方が不純だよな…

あいつの…全部が欲しいなんて…

強欲すぎる…か…


時間がたてば…また…変わるだろうか…



(焦っちまったな…馬鹿だ、俺。)



熱に浮かされて…目の前にあいつが居て…

つい…夢に手が届いたかと錯覚した。

現実は…振りだしだ。



(…しょうがねぇ…我慢もいつか…だな。)




このどうしようもない、暴れ馬みたいな想いを

上手く押えこんで表面上は友達でいるさ…


元々、そうしなきゃいけなかったんだ。



(でもなぁ…静…俺にも限界はあるからな…その時は…勘弁してくれよ…)



哲也は、くしゃっと髪の毛をかき上げ、

立ちあがり、熱っぽい身体を洗う為バスルームに向かった。








































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