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白い彼岸花  作者: ばるる
17/42

二人っきりになり、改めて静を目の前にすると、

俺はこみ上げる怒りをどうしていいか解らなかった。


「静…ごめんな…怖かっただろう…」


俺は、アイツが危険だって解ってたのに…。

うつむく哲也に、静は動揺する。


(そんな…てつが気に病む必要なんてどこにもない…)


「…てつ…、てつは何にも悪くない…、本当に…僕、本当にてつに感謝してるんだ。僕なんかを…いつも…助けてくれる…」


口を動かすと、頬や喉が痛いが…静は必死で哲也に訴えた。


「こうやって、今ここに…こうして居てくれるだけで…どれだけ救われてるか…本当に…てつは謝る必要なんか…何処にもない…むしろ…」


言いながら、静は青ざめた。


「てつが来なくて良かった…もし…アイツが…哲に何か…したら…僕は…」


ガタガタと身体が震えだす


(…怖い…)


(哲が傷つくのが怖い…アイツがまた来て哲に何かしたら…どうしよう…)



ガタガタと震える静、哲也は静の手をとった…震えが止まらない。


「静…、俺は大丈夫だ、信じろ。あんな奴に負けねぇ。絶対、大丈夫だぜ…な、安心しろ」



ぶんぶんと首を振る、静。


(…そんなの、解らない。アイツが包丁もって来たり、急に飛び出てくるかもしれない…)


(安心なんかできない…僕を刺してくれるならいい…でも…哲が…もしも…)



ユイみたいに…シンデシマッタラ…



不安が不安を呼んで恐怖になる。静は暗闇に落ちて行くような感覚に襲われた。


「怖い…てつ…アイツが来たら、どうしようっ!!…怖い…」


涙があふれ出る。


(神様、どうかお願いします…哲を護って…何でもする…何でもするから…)


「しずっ、しっかりしろ!!大丈夫だっ…俺が守るからっ!!」


俺は、急に号泣しだした静を必死でなだめた。


静はワンワン泣き続ける…「怖い…嫌だ…ユイ…てつ…」




「どうしたんですかっ!?」看護婦が、駆け付けた。


「楠木さんっ、大丈夫ですよ…ここは病院ですよっ!」


誰の声も聞こえない…静は深い闇に落ちてしまっていた。



「先生、至急来てください。患者さんが興奮されてます」無線で連絡をとる。


バタバタと数名が駆け付け


静の腕に鎮静剤が打たれる。静は次第に力をなくし…深い眠りについた。




















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