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届かぬ想い
うずくまって震え続ける僕に、おばさんは叫び続けた。
「楽になんてさせない、苦しんで苦しんで…血の涙で真っ赤に染まってしまえばいい」
僕は、顔を上げる事もできず目の前のコンクリのカケラをじっと見つめていた。
「でも…ユイが泣くのよ…あんたを許してと夢で泣くのよ」
僕はユイの名前に反応して顔をあげた。
おばさんは、両手で目を覆い、髪を振り乱して泣いていた。
「ユイは…あんたが好きだった。いつも、いつもあんたと遊んだ話ばっかり私に聞かせた。ユイは幸せだったのよ…あんたに逢って、あんたと過ごせて幸せだった…だから、夢で言うのよ…静を許してと。
ユイはあんたを憎まない、あんたを責める私を憎む…ごめんね…静くん…どうしても憎まねばいれない私で…」
僕は頭をふる
「違う、おばさんは憎んで良いんだ、僕が…全部悪いんだから…憎んでくだ…さ…」
最後の言葉を口に出す前に、おばさんに抱きしめられた。
僕は今、初めて……涙を流した。
僕たちの嗚咽は天高くまで響くだろうか
天国にいる、ユイは残された僕達をみてどう思うだろう