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管理会社スマイル社

作者: 空色の雀
掲載日:2026/05/05

朝8時前、どこからか小鳥の鳴く声がする。

スマイル社社員の八代事務所駐車場にて、社用車点検中の社長高梨を見つけて元気に挨拶。

「社長、おはようございま~す!」

すると社長も朗らかに返事。

「おお、八代さんおはよう!今日も元気に一番乗りだね。」

すると、それに引きつづき田辺、百道、渡辺、岡村とバタバタとやってくる。皆、自家用車での出勤である。

「あ、社長、おはようございます」

「「「おはようございます。」」」

「おおっ!おはようおはおよう、」

「八代さん今日も早かったね~」

「まーね。」

「うー、負けた」

「一足、遅かったかな」

などとワイワイ話していると、おもむろに社長が、

「いいんだけど、いくら早く到着してもタイムカードに記録がなければ何にもならないんだけど。」

とぼそり。其れを聞きつけて社員たちは大慌てで事務所内へ。



□ □ □


タイムカード打刻した社員ら社長と共にデスクの周りに立ち、ラジオ体操を始める。時々左右を間違える百道、左右の渡辺や岡村とぶつかりそうになり、皆クスクス笑いながら体操する。

ラジオ体操終えたら朝礼。

まず、社訓を社長が読む。

「安全第一」

社員が従う

「「「「「安全第一」」」」」

「隅々までも美しく」

「「「「「隅々までも美しく」」」」」

「楽しく元気に」

「「「「「楽しく元気に」」」」」

次に挨拶の練習

『楽しく元気に』を実践するためには、アパートの住民とのコミュニケーションは欠かせないところ。

「おはようございます」

と社長

「「「「「おはようございます」」」」」

と社員たち。

「こんにちは」

「「「「「こんにちは」」」」」

「ありがとうございます」

「「「「「ありがとうございます」」」」」

「失礼します」

「「「「「失礼します」」」」」

「ハイよろしい。本日も一日、ご安全に!行ってらっしやい」

と社長が締めると

「「「「「はい、行ってまいりますッ!!」」」」」

一同礼をして朝礼終わり

社員たちはデスクに腰掛けることなく駐車場へと出ていく。

積み荷の点検を終えたらスマイル号に乗り込んで出発だ。

社長は、もろもろの事務や連絡等々のため事務所へ残る

「「「「「いってきま~す」」」」」

笑顔で発車する社員たちを

「はーい、行っておいで!」

とこれまた笑顔で見送る社長。

スマイル号はぐんぐん会社から遠ざかり緑いっぱいの県道へ。

今日のドライバーは八代。助手席で地図を見るのは百道だ。

「そこの交差点、右折ですね。」

「はーい」

などとやり取りしているなか、

「なんでうちはいまだに地図なんだ?」

「ナビ欲しいですよねぇ。」

「付けてくれないかな、社長」

などと田辺、渡辺、岡村が後部座席でぼそぼそ。

そうこうしているうちに目的の2階建てのアパートに到着。


この会社はアパート管理会社。登録されたアパートの公用部分の清掃をする会社なのだ。

「ほい、とうちゃく!」

と八代が言う。

『物件』の駐車場にわらわらと降り立つ5人。車の荷室を開き、長靴にゴム手袋に雑巾、ほうきと塵取りゴミ袋など取り出す。荷室には小さいスコップ、草刈り鎌も備えている。

それぞれ長靴、とゴム手袋を装着する。

「まず、今回は私が1階、田辺さんが2階、百道さんが階段、渡辺さんが駐車場で、岡村さんがゴミ場。百道さんは持ち場が終わったら岡村さんを手伝う段取りでよろしく。そのあとの時間は全員鎌持って草取りです。いつもと同じ、1時間で終わらせます。以上。」

八代がてきぱきと支持を出すと静かに作業開始。

1階と2階の人は家ほうきを器用に使って、天井の煤や埃、蜘蛛の巣などを払って落とす。

次にほうきにと濡れた雑巾をうまく巻き付けて壁やドアの上側、照明の笠などの埃を落とす。

落とした埃等々を掃き集めて塵取りで摂る。

ドアや手すりなど、雑巾で汚れを拭きとる。

階段の人は、天井の煤等々落としていきながら階段を上り、埃等々掃き落としながら階段を下る。

手すりを拭いて終わり。

ちなみに使う濡れ雑巾はその日の作業後にまとめて洗い、干さずに畳んでバケツに収納。作業のたび汚れたものは汚れ入れのバケツにぽいと入れておく。

駐車場の人駐車場だけでなく建物回りも掃き掃除するため木の葉や花びらが舞う時期は手間のかかる作業になる。

「今日はよかった。」

と渡辺はいっているが、雑草取りはまだ残っている。

ゴミ場の人はゴミ回収BOX周りが散らかってないか見て散らかっていたら掃き掃除。中のゴミが散乱していないか分別できているかのチェックをしながら片付けていく。

「岡村さん、どうですか?」

「おお、ももちゃん、今回は混入がすごいから袋ごと全部出して見ているよ。こっちは分別済のやつ」

岡村が片隅の2袋を指さす。

「じゃあこっちの残り手伝いますね」

「ありがと、よろしく。」

二人での作業再開となる。

あとの三人はというと、

「そこまで生えてはいないけど、やっとく?」

と田辺が八代に聞いている

「そうねぇ、一週間来ないうちに伸びそう。時間までにちゃちゃっとやりますか」

と八代が言いながらほうきと塵取り雑巾を車内に置き鎌をもつ

「はい」

「了解」

二人は倣って道具を鎌に持ち替える。

5分ほど草取りをしていると、ゴミ場の二人が合流してきた。

しばらく草取りをしていると、ピピピッと小さくアラーム音がする。

「はい、終了。撤収。」

取った草は袋にまとめて、ゴミ回収BOXへ出しきれいに後始末を終えて皆車へ戻っていく。

車に乗り込み『物件』を離れてから

「このあたりにコンビニ在ったね」

と八代。

「この角左です」

と百道。

「トイレと水分補給の休憩行こう」

と食い気味に田辺。

「行こう行こう」

「喉乾いた」

渡辺と岡村もそれぞれ喋りだす。

「ハイハイ、わかってます」

と八代苦笑。

コンビニに到着する。

ぞろぞろと車から降りていく5人。

ジュースを選んだりトイレに行ったりそれぞれだ。

「俺、アイスにした。」

「岡村っち、アイス好きだなー」

早々に車に戻ってる渡辺と岡村。

「そんなに早食いして頭痛とか起きないの?」

「なにそれ?」

「ほら、アイスクリーム頭痛って聞いたことない?」

「それ、かき氷で起きるやつでしょ名前は『アイスクリーム頭痛』だけど」

「そうなの?」

「そうそう」

そんな話をしていると、残りの三人が車に戻ってくる。

「ぼちぼち次の現場行きましょうかね?」

と八代。

「えー」

と岡村。

「もう?」

と渡辺。

「仕方ないなぁ」

と百道。

まあ、口々に言っているがもちろん冗談だ。本気で言っているわけではない。

『物件』に到着すれば目の色が変わる。そつなく作業をこなすプロの集団だ。

「はい、着きましたよここが終わればおいしいお昼ご飯の時間ですよ。」

と八代。

「昼飯をおいしく食べるために頑張りますか?」

と田辺。

「おおっ!」

と叫ぶ岡村。

「いえいっ!」

と調子に乗る渡辺。

慌てた八代が、

「しーっ!」

騒ぎすぎである。

「じゃ前回、岡村さんがゴミ場だったから、今回は階段。百道さんは一階で、田辺さんが二階。駐車場は私。ゴミ場は渡辺さん、以上。」

八代が指示する

「「「「はい」」」」

皆が返事をする。

この現場の駐車場の横は雑草地帯が割と広めに在る。そこも草取りをするよう会社から指示されているのだが、何しろ広大なため、一度の作業で取り除くことができない。4分の1位が精々。しかも次回来た時には作業あとにもうっすらと草が生えてるという何とも泣かせる現場なのである。

八代が黙々と草取りをしているところへ建物の掃除が終わった加勢組が参戦。

「相変わらずきっつい現場ですよねぇ」

と百道

「モモちゃん、大きな声で言わないよおまんまの食い上げになっちまう」

とこそこそ言う田辺。

「何ですかその時代劇みたいな言い方?」

「ぷーっ」

「クスクス」

「はははは・・・」

「しーっ!」

ピピピッと小さくアラーム音がした。

「さあさあ、ひと笑いしたところで上がりましょうか」

「「「「はーい」」」」

道具を手に手に車へと戻る一同。

「はぁ~おなかすいた。」

と百道。

八代が聞く

「みんな、お弁当は持ってきたの?」

「いやぁ、まさかまさか。」

「作るのも面倒で。」

「車内に置いたままだと痛むしねぇ」

「暑くなりますもんね。」

「どっかで買った方が早いっす。」

とそれぞれが返事。

おもむろに岡村が、

「そういえばこの近くに美味しい弁当作ってるスーパーができたらしいっすよ。」

と言うと、即座に皆反応。

「行きましょう!!」

「いいですね」

「そうしましょう」

「是非に」

ワイワイガヤガヤとスーパーへ向けて発進である。

いざスーパーへ到着。

明るい店内を弁当コーナーへまっしぐらの一同。

「どれにしようかな」

と迷う百道。

「俺はカレー一択」

と迷わず手を伸ばす岡村。

「この唐揚げうまそう」

とほくほく顔の渡辺。

「僕はかつ丼がいいな」

と田辺。

「幕内が楽しそう」

と手に取る八代。

そして各々飲み物を買い込み車へ戻る。

「移動も煩わしいから、ここで昼食にします」

と八代。

「「「「了解」」」」

「で、結局モモちゃんは何の弁当にしたの?」

岡村が聞くと、

「たこ焼きと焼きそばがセットになったやつです。それとコーラ」

百道が答える。

「それもいいね!」

「アツアツの出来立てですよ美味しいそう」

すると田辺かつ丼の蓋を開け

「このカツボリューム感いいな」

「わ、こっちはカレーのいい香り!」

それぞれに味わいながら、

「この店当たりですね」

「来週もここでいいです。ほんとは毎日ここでもいい」

「明日は現場が違うから無理だけれども。」

「それを言っちゃぁおしまいよ」

「また面白い言い回ししてる」

「フフフ」

「アハハ」

和気あいあいとした食事である。


食事も終わりひと段落したところで、八代が

「次の現場も草だらけなんで、頑張っていきましょうね」

「「「「はい」」」」

次の『物件』へと向かう一同。

晴れ渡る空、この日の作業はまだまだ続くのであった。


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