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片想いが終った瞬間

「へっ!?」

私は真面目な顔でそう言う拓海のことを凝視した。

「だからさぁ‥‥その‥‥‥そこまで言っといてそれはないだろ。」

「え‥‥」

「俺の気持ちもて遊んでんじゃないよ‥‥俺‥‥‥」

そういって拓海はうつむいた。

拓海の顔が赤い。

初めて見る表情に私の心臓は一層早く鼓動する。

そんな顔が私に向けてのものだったらいいのに。

私は言った。

「ごめんね。千秋がいるのに。私、それ知ってて告白なんかしちゃって、ごめん。」

すると拓海は急いで顔をあげる。

「はっ?」

顔が真っ赤だ。

私はそんな顔見てられなくて、もう一度目をそらす。

そんなに千秋のことが好きなんだね。

でもね、ごめん。

私も多分同じくらい拓海のことが大好きだよ‥‥

好きな人の好きな人が私だったら良いのに。

なんど思ったことだろう。

すると拓海はこんなことを言ってくる。

「意味分かんない‥‥千秋が、なに?」

私は「言いたくない」とつぶやいた。

「‥‥よく分かんないけどさ、‥‥でも、俺お前のこと好きだよ。」


一瞬時間が止まった。

私は大きく目を開いて拓海を見た。

「え?」

「だからぁ、俺、梨花のことが好き。ただそれだけ。‥‥じゃ。」

そういって拓海は教室を出ようとした。

後ろ姿からでも、耳まで赤いのが分かる。

そんなぁ。

信じられない。

これって、現実??

「ちょっと、待って!拓海!」

気づいたら私は拓海の腕を掴んでいた。

「ちょっ。お前!」

拓海は驚いた様子で私を見下した。

そういえば1年前よりも身長がかなり高くなっている。

2年のクラス発表の時よりもずっと。

私は拓海の胸くらいの高さしかない。

可愛い男子から、大人の男になった拓海に、ドキっとする。

「拓海!」

私は拓海に抱きついた。

片想いが終った瞬間だった。

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