失恋
分かってるよ。
私だって分かっている。
多分、拓海は千秋と付き合うんだと、そう思う。
所詮私は片想い。
拓海を恨む資格も、千秋を妬む資格も、無い。
だけど悲しむ資格はあるよね。
私は授業中に楽しそうに千秋と話す拓海を見つめた。
絶対に睨んじゃいけないと自分を押さえつけながら、千秋のことも見つめた。
凛は次の日、私に手をついて謝った。
「悪い。なんかめっちゃ傷つくこと言っちゃったみたいで。ごめん。」
凛は悪くない。
馬鹿正直なだけだ。
だけど凛さえも憎んだ瞬間だってあった。
それ、普通私に言うか?
って、凛を憎んだ。
こんなに人を悲しませて‥‥‥。
でも憎んだって、恨んだって、妬んだって、なにも変わらない。
そうよ。
ちゃっちゃと告白しなかった私が悪かったのよ。
このままで良いとかキレイごと言って。
姿を見てるだけで幸せとか。
確かに幸せだけど、でも‥‥拓海が誰かのモノになるのなんて見てられない。
だったら見ない方がマシだ。
そして拓海の姿を見られなくなった私には、なにも残らない。
クソ‥‥‥
私はどうすればいいの?
片想いって苦しい。
胸が痛い。
すごく、痛い。
あ‥‥‥また涙が。
授業中に泣いたのって、あの日以来かな。
そして、休み時間に、拓海に「大丈夫?」って心配されたんだよね。
懐かしいな。
そう思うとますます涙はこぼれ落ちる。
あの時に戻りたい。
玉木と、拓海と私だった班に戻りたい。
あの、他愛ない会話をもう一度したい。
幸せ、だったんだな。あの時は。
涙が止まらない。
でもこの涙は、諦めの涙じゃないことは自分でも分かっている。
ただ悲しいから泣いているだけ。
私の前の方の席で、手紙を交換している千秋と拓海を見るのがつらい。
悲しい。
あの手紙が私に宛てたものなら、どれだけ嬉しいのだろうか。
涙が止まらない。