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空砲が
赤い赤い血が流れると思った。
そして、俺はここに倒れるのだろうと想像した。
引き金を引けば、死ねるのだろう。
俺はそれを握りしめた。
幸い、ここは放置された建設途中のビルの中。誰もいない。
俺はそれの銃口を胸に向けた。
よく映画とか漫画では頭に付けてたけど、こっちの方が格好良く死ねると思った。
躊躇いはあったけど、それ以上に好奇心があった。
「死」はどういう物かという好奇心。
引き金を引いた。
パンという音がした。
けど、俺の胸から血は流れなかった。俺は冷たいコンクリートに倒れてなかった。俺は生きていた。
空砲だった・・・。