表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スローライフ,  作者: 佐々木照
準備中.
5/5

第5話 契約

お待たせしました~


精霊!ついに登場!!

「精霊召喚は簡単でね、魔力があれば誰でも出来るの。

その魔力が美味しければ美味しい程、呼びやすいし、

魔力量が多ければ多い程、呼べる階級が上がるわ。人に好き嫌いがあるように、

精霊にも好き嫌いはあるのだけど、怜ちゃんなら皆好きだと思うわ~。」


 急にヴィーナ様からノリと勢い的な雰囲気を感じ取り不安になりつつも、少し楽しみだった。

よくある、というか漫画とかアニメにある魔法陣タイプか詠唱系か、頭の中は様々な

妄想が飛び交っていて、やや興奮状態だった。もちろん表情は冷静さを保っていた。

もっとも、神さま相手に意味は無いのだが… ちょっとした癖という奴だ。


「はぁ、自信は無いですけど… どう接したらいいんでしょうね?

僕、友達とは全然上手くいかなくて… けどその…契約とかは少し楽しみかも…?」


(キモイ、我ながらなんてキモイ、なんで今女が出た? うわあああああああ)


ヴィーナ様はそんな怜を見て目を細めた。


「精霊は魂の色を視ると言ったのを覚えているかしら。

人族のように言葉は必要としないから、召喚と言っても畏まった儀式や堅苦しい言葉

は要らないのよ~ ふふふ。

おいで~とか、遊ぼ~とか、怜ちゃんなりに好きに呼んでみて。」


 ヴィーナ様の方を見ると、首を(かし)げて目を瞑り、左手に密度の濃い魔力球が浮かばせた。

途端に無数の下級精霊達がヴィーナ様の左手に集まり、気付けば綿あめサイズに膨れ上がっていた。


(魔力を餌に、なるほどな。)


 契約と言っても主従関係は遠慮したい。上司と部下みたいな関係は気が休まらないし、

(かえ)って疲れる。面倒な恋人みたいに束縛もしたくないから、

契約してくれる精霊は変わり者か世話焼きか、あるいは暇つぶし辺りか、

と考えながら、無意識に両手に皿を作り魔力を込めた。


「精霊さん、僕と契約してくれる?」


【喜んで。】


 お願いすると、頭の中で声がした。

すると、両手が暖かい光に包まれた。その光を、淡い水色の渦が3本ほど回り、

両手には重さの無い、手乗りサイズの精霊が乗っていた。


「おお… なんて言うか、可愛い?」


(白狐の赤ちゃんみたいで可愛いなぁ)


「召喚に応じたのはその子だけなのね…」


ヴィーナ様は頬に手を当てておかしいわ なんて言っているが、

沢山来られても僕が困る。それに、いかにも戦闘好きだぜ任せとけ!

タイプの精霊じゃなくて正直安心していた。


「ふふ、言い訳は…様子見かしらね…」


 すると急に空気が冷たくなり、僕は身震いしてヴィーナ様の方を振り返った。

だがそれは一瞬だったようで、すぐに快適に戻った。

ヴィーナ様の方を見ると、何事も無かったかのように微笑んでくれた。

触れてはいけない事だと瞬時に悟った僕は、手の上にお座りしている精霊に視線を戻した。

召喚された精霊は、僕の腕をテクテク歩いて、肩まで登ると、

ウロチョロして、やがて右肩に収まった。


(軽い、ってか花粉でも付いてんのかってくらい違和感無いな)


【失礼だな。】


「お。 ふふ、君も僕の心が読めるのか~」


顎の下を撫でてやると、満更でも無いようで、気持ちよさそうに目を細めた。


「了承してくれたようね、ふふ。

怜ちゃん、その子に名前を付けて上げて。」


「名前ですか? 名前か…」


(小動物みたい、そいやキャンキャン鳴くから苦手意識あったなぁ)


ガーーーン。

怜の指先で撫でられていたそれは固まってしまった。


「ん?あそっか聞こえんのか、ははっ 犬の話だよ、犬。小型犬ね。」


「グルゥ~」


精霊はまるで抗議しているかのように低く唸った。


「白くて綺麗だよなぁ、ここら辺んとかなんか光ってるし。ルシーダ…


(たしか輝くとかって意味だったな)


いいじゃん、ルシーダなんてどう?」


精霊は怜をジッと見つめると、身体から光を放った。

精霊召喚の時とは違い、眩しさは無かった。


【ルシーダ。気に入った。】


「うふふ、契約出来たようね。

精霊に名前を与える、すなわち契約。

これでその子と怜ちゃんは魔力を共有できるようになったわ。

意思の疎通も出来るはずよ。 って…あら、

ふふふ 説明は要らなそうね。」


ルシーダは名前を貰って嬉しいのか、怜の顔に頬をスリスリと擦り付けている。

精霊だからか重さを感じないけど、触れるしむしろモフモフしていて抱き心地が良い。

 鼻もつまめる。

人差し指と中指で小さな鼻をつまんでみると、フガッと可愛い顔から

とんでもない声がして楽しかった。味を占めた僕は、顔だけ逃げ回るルシーダを

2本指で追いかけたが、ガブリと喰われて楽しい時間は終わってしまった。


【いつまでそうしている。】


 本来ペットとはこうやって楽しむのだろうか、何かを飼うという経験が無い怜は、

何とも言えない恍惚感(こうこつかん)に浸っていた。


 念話というのは強く念じる事で相手に伝わる能力(スキル)らしい。

僕はまだ持っていないので出来ないはず、なのだが、

何故か神さまも、ルシーダにも伝わっている。初めは気のせいかと思ったが、

ルシーダには一言一句理解しているように見える。そんな事を考えてる事さえ

バレていたらしい。


【声がデカい。】


(うん、こいつズバズバ言うタイプだ。)


【簡単、魔力を減らせばいい。】


「魔力を減らす… どうやって??」


【魔力抑えればいい。】


「力加減ならぬ魔力加減か、なるほど。」


感覚派なので上手く言えない。

多分だが、今僕は椅子を持ち上げている。これをマグカップ持つくらいにしろ、

という事らしい。そんなに魔力を込めていたのかと少々慌ててしまった。

 どうやら魔力操作は繊細さが求められるらしい。

繊細さを求める世界線、一気に不安になった。


「できっかなぁ。」


(今思えば、指から魔力出したり、引っ込めたり、

全体に巡らせたりはしたけど、減らすっていう頭は無かったな)


とりあえず深呼吸した。なんかヤバいと思ったらまずは深呼吸、

一先ず落ち着いた。それから身体全体に(よど)みなく流れている魔力を

内に溜めこむイメージで、巡っているのは全体の1割程度になるように、

2割になりそうになっては呼吸を整え落ち着かせて、を繰り返した。




いかがだったでしょうか?


次回『第6話 自己紹介』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ