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スローライフ,  作者: 佐々木照
準備中.
4/5

第4話 精霊

美と愛欲の神 ヴィーノスア様が登場します。

確か食べ物を抱えた残念女神… 果たしてどんな神さまでしょう~


精霊話と共にご注目ください~


「さてと、次は精霊についてだ。」


言うなりアポウロス様は展開していたホログラムを消してヴィーノスア様の方をちらりと見た。

どうやら神さまも役割分担しているらしい。人間味があって馴染みやすい。ヴィーノスア様は

食べている手を止め、ハンカチで口元を拭うと、ゆったりとした口調で微笑んだ。


(今の今までずっと食べてたんだろうか…)


呆れ半分だった怜だが、その目を見た瞬間その考えは吹き飛んだ。


「怜ちゃん初めまして、わたくしはヴィーノスア、ヴィーナと呼んでね ふふ。」


3柱が1神、美と愛欲の神ヴィーノスア様は美しかった。見た目もそうだが、どこか所作が

貴婦人という感じがして、慈愛に満ちた目をしている。この目で見つめられると不思議と安心する。


「怜ちゃんは、精霊というのを聞いたことはあるかしら?」


すっかり怜ちゃん呼びが定着しているのはさて置き、精霊は漫画やアニメでよく聞くので

存在すると言われれば、なんら不思議はない。魔法が存在するのだから精霊という存在は

すんなり受け入れられる。


「実際に見たことは無いけど、漫画とかアニメでなら聞いたことありますね。」


(魔法と精霊 同時に存在するのって、とんでもない世界線(パラレルワールド)だな~)



ーーこの時、怜は知らなかった。真に世界に影響を(もたら)すのは自分なのだということを。



「まず、精霊は基本属性7つに分けられます、無属性はありません。

精霊は魔力で育ち、基本的には精霊界と現実世界を行き来しています。

大量の魔力の集まる場所あるいは契約者の傍を好みます。精霊使いは精霊に魔力を与えることで

力を貸してもらうわけですね~」


カチャリ。 と音はしないものの、ヴィーナ様は何処からともなく現れた紅茶セットで

すっかりくつろいでいた。お皿には山盛りの見たことない、おそらく食べ物。 が盛られていた。


「それから精霊は魂の色を視ます。悪しき者は、契約は愚か近付けば魔力暴走を起こします。

精霊の悪戯(いたずら)ですわ ふふふ。」


(綺麗な顔でさらっと怖い事言ったな…これはあれだ、怒らせたらあかんタイプの女性だ)


 怜は恐ろしく見る目が無かった。食べ物を沢山持ち歩いていた最初の印象から、ヴィーナ様が

一番安牌(あんぱい)と考えていた。いまこの瞬間から、残念女神という認識を改めたのだった。


「それで精霊とはどうやったら契約出来るのでしょうか?」


怜は精霊が好きだった。

理由は簡単、契約は裏切らないからだ。聞いた時から是非とも精霊と契約したいと考えていた。


「ふふ、怜ちゃんはわたくしの加護で精霊を視る目をもっているわ。

契約したい精霊がいたら、魔力を与えて契約したいと願うの、

下級精霊まではそれで契約できるわ。中級精霊は…意思があるから相手が了承してくれたら

契約完了よ。上級は…怜ちゃんならひょっとしたら、ふふふ。」


【上級精霊は癖の強い子達ばかりだけど、怜ちゃんならぱぱっと契約しそうね~ うふふ

あの子達も、たまには住処から出て欲しいものだわ~】


魔力を与えて契約というのは正直予想通りだった。

ただ気になるのはどの程度魔力を与えれば契約出来るかだ。

 アポウロス様に魔力操作を教わったお陰で、手に魔力を集めたり、

足に集中させたり、全身を魔力で覆ったり色々できるようになっていた。

僕は神さまの話を聞きながらひっそりと 否、ガッツリ練習していた。

ここで出来た方が遥かに時短で効率がいいと思ったからだ。

 アポウロス様はそんな僕が面白いのかクスクス笑っていたが、何も言って来なかったので、

説明を受けている間はこうしてずっと魔力操作を練習している。

アポウロス様は加護で魔力量が多くなっていると言っていた。普通は加護なんて大それたモノ、

貰えないだろう。僕はアポウロス様の加護には期待しつつ、精霊との契約には大量の魔力が必要、と

頭の中にメモした。


「そうね、ある程度精霊力のある子達は自分の住処に居たりするわ。

空気の澄んでいる森や、自然豊かな土地で(まつ)られていたり、

誰も近寄らない場所なんかに行ってみると、案外向こうから話しかけてくるわ。」


(契約したくば探せ、か。 とりあえず最初の目標が決まったな)


「契約というのは一体のみでしょうか?」


返答次第では、契約は慎重にしないといけない。僕の知っている漫画やアニメなんかは

複数契約して冒険してるイメージがあるが…


「ふつう(、、、)は一個体のみね、というか契約自体、膨大な魔力量が必要なの。

精霊階級が上がれば、求められる魔力も多いわ。契約者の魔力量が少ないと、

精霊も力を発揮出来ないからつまんないのよ~ 人族に精霊使いが少ないのは、

人族の持つ魔力量が少ないからなのよね~ その点、耳長族(みみながぞく)なんかは

個々の魔力量が多い、自然豊かな土地に暮らしていて精霊も住みやすい。

耳長族(みみながぞく)ほとんどが精霊使いで、一番精霊と近い存在と言われているわ。」


これには良かったと言わざるを得ない、僕はアポウロス様の加護があるし、

2体くらいなら契約出来ると信じる事にした。魔力量だって増えるかもしれないし、

仮に一体だったとしても、裏切りの心配が無い精霊は僕の安心材料になる。

 そんな僕の心を読んだのか、ヴィーナ様は慈愛に満ち溢れた瞳で僕を見て微笑むと、

こっちこっちと手招きした。


「怜ちゃんにはわたくし達の加護があるわ。

心配せずとも、上級精霊とだって契約できる魔力を持っているのよ。」


 ヴィーナ様の近くへ寄ると、ふわりと抱きしめられた。知らない花の香りがした。

花には詳しく無い、けどきっと僕の見たことない花だろう。控え目で独特な甘い香りが

僕を安心させた。

 きっと、僕はこんな風に抱きしめられたかったんだ。ずっと寂しかった。

両親には褒められたことが無い、強がっていた自分はいつだって話を聞く側だった。

 不意に一粒の涙が、乾いた僕の頬を伝った。

 少しして、ヴィーナ様がクスリと笑った。


「ふふ、そんな怜ちゃんに、今から精霊召喚をしてもらいます。」


ヴィーナ様の一言により、僕の身体は色んな意味で衝撃が走った。

いかがだったでしょうか、女神さまの本質は意外だったのではないでしょうか~


次回『第5話 契約』


お楽しみに~

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