第3話 能力
能力について詳細に書きました~
※会話より説明多め描写少なめです
「何ともない...な。」
どうやら、どこからともなく力が湧き上がってきた~~!
とか、目の前にいる人の強さが分かったり!! する訳ではなさそうだ。
体を捻ったり目を凝らしてみたり変化は無いかとキョロキョロ探していたら、声をかけられた。
見られていたらしい。
「加護の内容は向こうで確認するとよい。
さて、ここからは能力についてじゃ。アースよ頼むぞい。」
「あいよっ! 俺の出番ね~~!」
神さまどうしにも愛称があるらしい。アポウロス様は両手を腰に当て僕にドヤ顔した。
顔はイケメン、だと思う。子犬系は好みだが、この高身長で腹筋は6パックのいかにもスポーツマンな陽キャっぽさが僕には近寄り難い。
何より声の低さが…かつての同期が遊んでいたイケメン育成ゲームを思い出させた。
(いかにも橋もっちが発狂しそうな...)
「さて君はゲーム知識が豊富そうだから、まずは大まかに説明しよう。
後で補足してく感じでいいかな?」
「あっはい!」
(いかん、あのクソゲーのせいでクサい言葉言われそうと身構えてしまう、集中集中。)
「この世界には沢山の種族が存在する。
彼らはそれぞれ固有能力を持っていてね、耳長族は遠視、
狼光族は夜目、妖狐族は変化といった感じさ。
稀に固有能力を複数持ってる場合がある、要は強い個体だ。
戦う時は注意した方がいい、そーいや英雄になった奴もいたっけなぁ?」
アポウロス様は目を瞑り、片手で顎をかきながら首を傾け懐かしそうにしている。
戦う前提で話が進むので、戦争でもしているのかと怜は不安に駆られていた。
いくら漫画やアニメみたいでワクワクしても、実際に戦うのは僕自身、そして
平和ボケした所でも負け組のように人生を謳歌出来なかった、という事実が、
僕のドキ胸ワクワクさえも喰らい、かろうじて冷静でいられた。だから不安になれた。
「ちなみに人族に固有能力は無い、その代わり繁殖率が高いから
集団戦は厄介って感じかな~。」
先ほどからアポウロス様は戦いの話しかしていない。戦うのが好きなのだろうか、
若社長のように丁重に扱うが吉、嫌われないように上手く懐に入らねばと考える怜であった。
そんな怜の心中を知らないアポウロス様は、なんだか楽しそうだった。
「次に能力ね~、こっちは誰でも平等に獲得出来るのが特徴。
中には条件や相性なんかもあるんだけど… まぁ比較的簡単なものから
裏技みたく獲得出来るのとか色々あるから、自分で見つけて楽しむといい。」
「人族には生まれ持った能力は無いんでしょうか?」
戦闘好きな一面を見てしまい、つい敬語を使ってしまう。
「いい質問だ。
人族は5歳になると神授の儀で能力を授かるとされている。
性格には5歳で発覚するって事だ、皆生まれてすぐ能力持ちさ、
神授の儀は5歳から、というのは人族が決めた事だから、鑑定なんかが使えるとすぐ分かる。
もっとも、鑑定は珍しい能力だから皆教会へ行くんだろうな~」
生まれつき能力があるなら、少なくとも能力無しと貶される心配は無さそうだ。
もちろん能力差や種類にもよるだろうが… それに頑張れば獲得出来るという点も大きい、
たとえ5歳で周りと差があったとしても、努力次第では補えるのは有難い仕組みだ。
まぁその仕組みを理解出来る5歳児は居ないだろうけど…
「能力を使うには魔力というエネルギーが必要なんだ。」
アポウロス様は空中で胡坐をかき、ホログラムのようなモノと長い棒?を出す。
(一体どこで覚えるんだろうその能力は… 先生とか呼ぶべき?)
「魔力は全員持ってるし空気中にも地面にも、いたるところに存在している。
そうだな、試しに使ってみようか ん-とまずは魔力を感じるところからか…
両手を前に出して肩の力を抜け、ほんで集中しろ。体の中心から全身に魔力が広がってく
感覚を掴むんだ。」
(いきなり言われてもな… 僕は間隔派だから分かり易いっちゃ分かり易いけど、魔力が分からん)
言われた通り目を閉じて両手を前に出した。すると、不思議な事にすんなり魔力が分かる。
「え、分かる。なんで???」
僕は天才とかいう類では無いし、頭も良くない。だけどそんな僕でも、勝手に出来てしまった。
身体が覚えている、そんな感じだ。歩けっていうのが言われなくても出来る感じでごく自然に。
「ククッ 不思議か?」
僕が戸惑っていると、アポウロス様は丁寧に教えてくれた。
「君は、ここに来るまでに何度も此処に浮かんでいる個達に魔力を当てられていたんだ。
普通はこんなに魔力密度の高い空間に、しかも長時間なんて居れない。属性の相性もあるし、
大量の魔力を当てられると、魔力酔いと言って、気分が悪くなる。
つまり、俺の加護を持つ君は魔力量が普通の奴よりあって、君はとっくに魔力が馴染む身体に
なっている、ってわけさ!」
(なるほどな、この浮いてるの、精霊か何かとは思ってたけど、要は魔力の塊で色は属性って感じか)
試しに触ろうとしてみるが、すり抜けてしまった。
アポウロス様によると、
基本属性は火<水<土<風<火 光⇔闇 の6個で、その他に無属性があるらしい。
無属性は、異世界の魂を持つ者と、100万人に1人の確立で人族に適正があるらしい。
つまり僕は全属性持ちという事になる。
ちなみに今教わったのは魔力操作という基礎の能力らしい。
「君は魔法に興味があるようだな ま、初めて見るなら当然か。
さっきも言ったけど、魔力には相性がある。例えば火属性の魔力を持つ者は
火の操作がごく自然に扱えるようになったり、魔力を火に変化させる事で
火魔法が扱いやすくなる。さっき君が魔力操作を簡単にこなせたみたいにな。
逆に水属性の魔力を持つ者とは相性が悪いから、雨が降ってたり水辺で火魔法を使うと、
魔法の威力が落ちる、とまぁ使いどころが大事なわけだ。」
(火は水で消えるし、当然っちゃ当然か)
「うんうん、飲み込みが早くて助かるな~!!」
アポウロス様はニッコニコでホログラムのようなモノを動かしている。
「次に能力レベルについてだが、これは鍛えて上げたり、使い続けて上げたりと色々あるんだが、まぁ生きてりゃ勝手に上がるもんだから説明は省かせてもらう。
此処までで質問はあるか?」
「大丈夫です。」
怜はもちろん即答した。
最初の印象は面倒くさがりと思っていた、ところがアポウロス様は案外面倒見が良い。
口調も柔らかいし、仕事になると切り替えができるタイプなんだろう、とにかく好印象だった。
(これが俗に言うモテる奴か…)
「クククッ 俺に惚れたかい?」
「いいえ全く、1っミリも ときめきませんね。」
アポウロス様はよく心を読んでくる。どうやら冗談も言うらしい、僕の中で一段階アポウロス様の評価が下がった。なんというか、愉快でイケメンだけどダルい神さま、という感じだ。
「そうか残念だ。
クククッ 君の反応は面白いな、見ていて飽きない人間だ。」
(僕のどこが面白いんだ)
怜はアポウロスという神さまがイマイチ掴めないでいた。結果的に気に入られた気がするので、
上々だろうと分しつつ、眉を顰める怜を見て、アポウロス様は心底愉快そうに笑っていた。
いかがだったでしょうか~
アポウロスのイケメンオーラ隠せなかった…!
次回『第4話 精霊』お楽しみに~