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流るる時間(とき)は河の如く  作者: 国府津横コツ
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Beautiful city is here

宮原駅を出発したのは、まだ空が薄暗い朝四時半のことだった。私は高梨一美。今日は久しぶりに幻想市に行って魔理沙たちに顔を合わせる予定だ。「久しぶりだからなぁ……。あの子たち元気かな」

そんなことを思いながら、朝ラッシュの始まる前、静かな高崎線の車内でただ過ごしていた。

 上野で山手線、東京で東海道線と乗り継ぎ、幻想駅に着いたのは、八時半をまわっていた。まず私は、博麗神社に行くことにした。博麗神社の境内に入ると、霊夢と紫がいた。「あ!霊夢!」

私が声をかけると、二人もこちらに気がついたようだ。「あら?久しぶりじゃない」「おーい霊夢ぅ!遊びに来たぜ!」

魔理沙の声もした。「あんたたちも来たのね」

霊夢はいつも通りの感じだった。「まあな。……ってあれ?」

魔理沙は何やらキョロキョロしている。「どうしたんだ?」

私も魔理沙と同じ方を見てみる。そこには見慣れない少女がいた。髪は赤みを帯びた金髪で、服装は巫女服だが、どこか洋風な雰囲気もある。そして何より特徴的なのは、背中から生えている羽根だ。「あなたたちは誰ですか?」

その少女は私たちに向かって言った。「私たちは幻想市の人間よ。あなたは?」

霊夢がそう答えると、「私はフランドール・スカーレットと言います」と答えた。「へぇ……。じゃあ吸血鬼か……」

魔理沙が呟いた。「えっ!?そうなんですか?」

彼女は驚いている様子だった。「まあいいわ。とりあえず中に入りなさい」

霊夢はそう言うと家の中に入ってしまった。私と魔理沙もそれについていった。「それで、何があったのかしら?」

部屋に入るなり霊夢が尋ねた。「はい。実は、レミリアお姉様がおかしくなっちゃって……」フランドールと名乗った子は悲しげな表情になった。「詳しく聞かせてもらえる?」

霊夢の問いにうなずき、話し始めた。「昨日の夜のことです。私はいつものように地下室にいたのですが、急に大きな音が聞こえてきて、行ってみると、なんとお姉様が暴れていたんです。『この世界を滅ぼしてくれるわ!』と言っていました」

彼女の目には涙が浮かんでいた。「それはいつの話かしら?」

霊夢が尋ねる。「確か二日くらい前のことです」

すると霊夢の顔つきが変わった。「ちょっと待ってちょうだい。それなら、まだ間に合うかもしれないわ」

そう言って立ち上がると、どこからか取り出した紙を机に置いた。「これは何だ?」

魔理沙が聞く。「これは私の能力で作った地図よ。ここに異変の原因があるはずだわ」

そう言いながら地図を指差す。「これって、幻想市全体のことだよな?そんな広い範囲をどうやって探せばいいんだよ?」

魔理沙が言った。「大丈夫よ。私には分かるもの。でも少し時間がかかると思うから、それまでゆっくりしてていいわ」

霊夢はそう言うと、外に出ていった。「なんか大変なことになってきたみたいね……」

私はため息混じりにつぶやいた。それから三時間ほど経った頃、霊夢が帰ってきた。「霊夢、何か分かったのか?」魔理沙が尋ねる。「ええ。分かったわ。原因はそこにあるはずよ」

そう言うと、さっきまでとは比べ物にならないほどの速さで移動していった。「速いな……。追いつけねえぞ」「仕方ないわ。ここはおとなしく待つしかないようね」

魔理沙は納得いかないような顔をしていた。さらに数時間後、ようやく霊夢が戻ってきた。「ごめんなさいね。待たせちゃったわね。もう大丈夫だから安心しなさい」

霊夢はそう言うと、またどこかへと消えてしまった。「何なんだ一体?まあ、とりあえずよかったぜ」

魔理沙の言葉に同意するしかなかった。それからまたしばらく時間が経ち、空も暗くなって来た頃に霊夢が戻って来た。「今から行くけど、準備は良いかしら?」霊夢が私たちに向かって聞いた。「ああ、いつでも行けるぜ」

魔理沙は元気よく答えた。「私も大丈夫よ」

私もそれに続いた。「じゃあ、行くわよ!」

霊夢は飛び立った。その後ろ姿を見ながら思う。今日は久しぶりに賑やかな夜になりそうだと……

「はぁ~、暇だぜ……」

俺は独り言を言うと、本棚から適当に一冊取って読み始めた。「あら?珍しいじゃない。あなたがここに来るなんて」

後ろから声をかけられた。振り返ると、そこには金髪の少女がいた。「あー!お前は!」

少女の方も俺に気づいたようだ。「久しぶりだな、フランドール」

俺は少女に声をかける。「お兄さんも元気だった?」

彼女は笑顔で言う。「まあまあかな。ところで、どうしてここに来たんだ?」

疑問をぶつける。「ううん、特に理由はないの。ただ、何だか落ち着かない気分になって来ちゃって……」

そう言って、俯く。「そっか……。じゃあさ、二人で散歩しないかい?」

俺は彼女に提案をする。「うん、したい。ありがとう」

少女の表情が明るくなった。「よし、決まりだ。行こうか」

俺たちは外に出る。そして、幻想市中を歩き回った。「こんなところあったっけ?」少女が言った。「どうだろう。少なくとも、俺が幻想市に引っ越して来た時には、この辺りは無かったな」

確かに見覚えのない場所もある。「あのさ、ちょっと聞きたいんだけど……」

少女が恐る恐る聞いてきた。「ん?どうした?」

俺は優しく答える。「私たちの他に、誰かいないかな?」

不安そうな顔だ。「どうだろう……。いるかもしれないし、いないかもしれない……」

正直な気持ちを伝える。「そう……だよね……」

彼女は落ち込んだ様子だった。「いや、そういう意味で言ったんじゃないんだよ。俺たち以外にもこの世界に住んでいる人がいる可能性はある。でも、それがどこにいるか分からないってことだ」

俺は慌ててフォローを入れる。「そうか……。じゃあ、探してみようよ」

彼女からは先ほどまでの暗い表情が消えていた。

 一方、私一美は、魔理沙と共に幻想市の街中を歩いていた。「なあ、本当にこっちなのか?」

魔理沙が尋ねる。「ええ、そうよ」私は自信満々に答えた。「なんか、だんだん寂れてきてないか?」

魔理沙が心配そうにしている。「大丈夫よ。きっとすぐに着くはずだわ」

私たちはひたすら歩いた。しかし、一向に異変の原因らしきものは見当たらない。「おい、霊夢、まだつかないのか?」

魔理沙が焦り始める。「もう少しよ。ほら、見えてきたわ」

私は前を指差す。その先には、大きな洋館があった。「あれって、まさか……」

魔理沙は驚いていた。「そうよ。紅魔館よ」

私は言った。「でも、何であんなところに?」魔理沙が質問する。「それは私にもわからないわ。とにかく行ってみましょう」

私はそう言って駆け出した。魔理沙もそれについてくる。

私たちは走って洋館に向かった。「なんか嫌な予感がするぜ……」

魔理沙は小声でつぶやくと、私の横に並んだ。「大丈夫よ。私がついてるわ」

私は魔理沙を励ます。「ありがとよ。頼りにしてるぜ」

魔理沙はそう言うと、スピードを上げた。「さすがね……」

私も負けじと走る速度を上げる。しばらくして、私たち二人は館の門の前に辿り着いた。「お嬢様、お客様です」

メイド長の咲夜が、玄関の前で叫ぶ。「通してあげてちょうだい」

扉の奥から返事が聞こえる。「かしこまりました」

咲夜は恭しく礼をすると、私たちに道を開けた。「失礼します」

私たち二人は中に入った。そこにはレミリア・スカーレットの姿があった。「久しぶりだな、二人とも」

彼女は微笑むと、椅子から立ち上がった。「お久し振りですね」

私も挨拶をした。「今日はどういったご用件で?」

魔理沙が尋ねると、彼女は少し困ったような顔をした。「うーん……、まあ、座ってくれ」

私たちは彼女の言葉に従い、席に着いた。「単刀直入に言うが、お前たちに頼みがある」

彼女は真剣な表情になる。「何でしょう?」

私は尋ねた。「実は最近、幻想市の一部で、吸血鬼狩り(ヴァンパイアハンター)たちが暗躍しているという情報が入ったのだ」

彼女は答えた。「なるほど、それで私たちに退治してほしいということですか?」

今度は私が聞いた。「ああ、そうだ。頼めるか?」

彼女は言った。「もちろんですよ」

私は即答した。「いいのか?霊夢は……」

魔理沙は私を見た。「ええ、構わないわ」

私は笑顔で言う。「ありがとう。では、よろしく頼むぞ」

彼女は満足げに言った。「わかりました。任せてください」

私たちは部屋を出て、外に出た。「なあ、霊夢、本当に大丈夫なのか?」魔理沙が心配そうな表情をしている。「大丈夫よ。何とかなるわ」

私は余裕の笑みを浮かべる。「なら良いんだけどさ……」

魔理沙はまだ不安そうな顔だ。「安心しなさい。あなたには私が付いてるんだから」

 その頃、俺和樹は、フランと一緒に幻想市中を走り回っていた。「ねえ、かずき、どこに行く?」少女が聞いてきた。俺は答える。「とりあえず、色々と見て回ってみようか」

俺は提案する。「うん!」

彼女は元気よく答えた。そして俺たちは歩き始めた。「何か面白いことあるかなぁ」

彼女が呟く。「どうだろうな……。でも、きっと楽しいと思うよ」俺はそう言うと、「うん!楽しみ」と言ってくれた。

俺たちはしばらく歩くと、公園を見つけた。「ちょっと休憩しようか」

俺は彼女に提案した。「分かった。私飲み物買ってくるね」

彼女は走り出す。「いや、待って。俺が行くよ」

慌てて追いかけようとする彼女を止めた。「ううん、平気だよ。すぐそこだから」

そう言うと、彼女は行ってしまった。「ふぅ……」

一人になった俺はベンチに腰掛ける。空を見上げると、太陽が沈み始めていた。「もうこんな時間か……。早く戻らないと」

時計を見て、急ごうとした時だった。「キャァアアッ!!」

女性の悲鳴が聞こえてきた。「まさか……」

嫌な予感がする。「大丈夫ですか!?」

俺は急いで声の方へ走った。そこには、血まみれで倒れている女性がいた。「しっかりしてください!!何があったんです?」

俺は倒れていた女に声を掛ける。「わ、私、吸血鬼に襲われて……」

彼女は必死に話す。「分かりました。すぐに救急車を呼びますから……」

俺は携帯を取り出し、119番通報しようとした。「ダメッ!!!」

突然、背後から誰かの声がした。振り返ると、そこには見覚えのある姿があった。「フラン……ちゃん?」

俺は目の前の少女に声をかける。「やっと見つけたよ……」

彼女はそう言うと、ナイフを構えた。「どういうことだ?」

俺は状況が理解できずにいた。「私の邪魔をする奴は殺す……」

彼女はそう言うと、こちらに向かって走ってきた。「クッソ……」

俺は彼女から逃げるため、その場から逃げ出した。しかし、彼女は俺を追いかけてくる。「逃げても無駄だよ」

彼女は楽しそうに笑いながら言った。「なんでだ?どうしてこんなことをするんだよ」

俺は疑問を投げかけた。「そんなの決まってるじゃん、私が吸血鬼だからだよ」

彼女は当たり前のように答えた。「じゃあ、君は人間じゃないのか?」

俺は再び質問した。「違う。私はれっきとした人間だ。ただ、半分だけだけどね」

彼女は笑った。「何がおかしい?」

俺は怒りを抑えきれずに言った。「だって、あんたが人外だっていうのは、今ここで証明してあげるからさ」

彼女はそう言うと、右手を俺に向けた。その瞬間、彼女の手から炎が現れた。そして、それは巨大な火の玉へと姿を変えた。

「怪符-リフレクター」俺はスペルカードを発動させ、咄嗟に避けることができた。だが、火の玉はそのまま直進し、後ろにあった木々を燃やしてしまった。「お前は一体何者なんだ?」

俺は聞いた。すると、彼女は答えた。「私はフランドール・スカーレット。あなたの敵です」

彼女はそう言うと、またもや攻撃を仕掛けてきた。「クソッ……」

俺は仕方なく戦うことにした。「いくよっ!」

彼女は俺に向けて突進してきた。「くそっ……」

俺は攻撃をかわす。そして、反撃のためにスペルカードを使おうとした時、彼女は俺の横を通り過ぎていった。「え?」

俺は思わず振り向いた。「隙ありぃーっ!!」

次の瞬間、俺の腹部に衝撃が走る。俺は吹っ飛ばされ、木に衝突してしまう。「ぐはぁあっ!!」

あまりの痛みに耐え切れず、俺は地面に倒れたまま動けなくなってしまった。「とどめだっ!!」奴の叫び声が聞こえた。その時だった。

「こんなとこで一体何暴れてんのよ。」

背の高く、赤い服を着た緑髪の女性がそこにはいた。「幽香さん!?」

俺は驚いて声を上げた。「あら、和樹君。久しぶりね」

彼女は笑顔で言う。「どうしてここに?」

俺は聞いた。「畑で育てる花の種買いにここ通ったら、いきなり攻撃されたのよ」

彼女は答えた。「ちぇ、もう来ちゃったか……。仕方ないなぁ」

彼女は舌打ちをして、俺から離れていく。「待ってください!」

俺は立ち上がり、彼女に話しかけようとした。「残念だけど、今はあなたと戦っている暇はないんだよね」

彼女は俺の言葉を無視して、そのままどこかへ行ってしまった。「待ってくれ!!」

俺は叫んだが、返事はなかった。「あいつは何者なんだよ……。それに、あの能力はいったい……」

俺は呟きながら、フラつきながらも歩き出した。「お待たせ~」

飲み物を買いに行った彼女が戻ってきた。「大丈夫だった?」

彼女は心配そうな顔で聞いてきた。「うん……なんとかね……」

俺はそう言うと、「早く帰ろうか」と言った。「そうだね……」

俺たちは再び家へ向かって歩き始めた。

 霊夢はヴァンパイアハンターを探して街中を駆け回っていた。「どこにもいないわね……」

辺りを見渡すが、それらしい姿は見当たらない。「もうすぐ日が暮れるわ……。早く見つけないと……」

彼女は焦りを感じていた。「キャァアアッ!!」

近くで女性の悲鳴が聞こえる。「この声は……」

聞き覚えのある声だと思った。「急がないと……」

彼女は走り出す。「大丈夫ですか!?」

現場に駆けつけると、そこには血まみれで倒れている女性がいた。「しっかりしてください!!何があったんです?」

彼女は倒れていた女に声をかける。「わ、私、吸血鬼に襲われて……」

彼女は必死に話す。「分かりました。すぐに救急車を呼びますから……」

彼女は携帯を取り出し、119番通報しようとした。「ダメッ!!」

突然、背後から誰かの声がした。「フラン……」

彼女は目の前にいる少女の名を呼ぶ。「やっと見つけたよ……」

彼女はそう言うと、ナイフを構えた。「どういうことなの?説明して」

彼女はフランに問いかける。「そんなの決まってるじゃん、私が吸血鬼だからだよ」

フランは当然のように答える。「じゃあ、あなたがあの時言っていた仲間というのは嘘だったわけね」

彼女は言う。「違うよ?私はただ、人間の味方をしているだけだよ」

フランは答えた。「じゃあ、何が目的で人間を襲うのよ?」

彼女は聞いた。「そんなの決まってるじゃん、私が吸血鬼だからだよ」

フランは当たり前のように答えた。「じゃあ、あなたはどうして人を襲うの?」

彼女は再び聞く。「そんなの簡単だよ!私が吸血鬼だからだよ!」

フランは答えた。「ふざけんじゃないわよ!!」彼女は激昂する。「どうして怒るの?」

フランは不思議そうに聞いた。「だって、理由になってないもの」

彼女は答えた。「なるほどね。でも、これならどう?」

彼女はそう言うと、手から炎を出した。「怪符-リフレクター」男はスペルカードを発動させた。弾かれた火の玉が木々にぶつかり、たちまち大炎上した。

霊夢はこの後どうなるか、直感でわかっていた。男がフランの攻撃でやられようとしたところに幽香が現れ、返り討ちにしてフランを正気に戻す、と。

安心できることが分かると、再びヴァンパイアハンター探しに戻った。

 私一美と魔理沙は、紅魔館にいた。「う~ん、なかなか見つからないなぁ……」

私は呟く。「まぁ、まだ探してないところがあるかもしれないぜ?」

魔理沙は言う。「そうだよね……」

私は同意して、歩き始める。「おや、咲夜じゃないか」

不意に後ろから声をかけられた。振り向くと、そこにはメイド服を着た銀髪の女性がいた。「あら、魔理沙じゃない。珍しいわね、ここに来るなんて」

彼女は笑顔で言った。「ちょっと用があってな」魔理沙は答える。「そういえば、最近この辺でヴァンパイアハンターっていう怪しい奴がいるらしいんだが……」

魔理沙は話題を変えるように話し始めた。「えっ!?本当なの!?」「ああ、間違いないと思うぞ」

彼女は言う。「そいつの特徴とか分かるか?」

私は質問をした。「特徴ねぇ……。確か、金髪で青い瞳だったかな」

彼女は答えた。「その情報があれば十分だ!」

私たちは礼を言うと、急いでその場を離れた。「やっと見つけたぜ」

俺は目の前に立つ男を見て言った。「また会ったね」

彼は笑顔で言う。「今度は逃がさないぞ」

俺はそう言って身構える。「それはこっちのセリフさ」

男はそう言うと、懐から拳銃のようなものを取り出した。「喰らえ!!」そして、引き金を引く。銃口から発射された弾丸が俺に向かって飛んでくる。「遅いんだよ」

俺は素早くかわし、男の方に近づきながらナイフを投げた。「ぐわあっ!!!」

見事命中したようで、男は地面に倒れた。「ふう……」俺は息をつくと、「お前は何者なんだ?」と聞いた。「ふふ……」

男は不気味に笑う。「僕はヴァンパイアハンター、名前はヴァンプ・オブ・ザ・ブルームーン……」

そう言うと立ち上がり、再びこちらへ近づいてきた。「君にはここで死んでもらうよ」

そう言い終わると同時に、男は何かを投げつけてきた。「うおっ!?」

避ける暇もなく、それが顔に当たる。「これは……煙幕か!?」

辺り一面真っ白だ。「しまった!!」

完全に視界を奪われた。「これで終わりだよ……」

男の笑い声だけが聞こえる。「まずい……」

俺は焦った。「死ね!!」

男はそう叫ぶと、剣を振り下ろしてくる気配を感じた。「危なかった……」

間一髪のところで避け、反撃する。「くっ!!なんのこれしき!!」

男は負けじと攻撃してくるが、全て避けられているようだ。しばらくすると、徐々に目が慣れてきて相手の姿がぼんやり見えるようになった。「そろそろいいか……」

俺はナイフを構え、一気に駆け出した。「今度こそとどめだ!!」

男はピストルを構えて、不気味なほど落ち着いて、しかし脅すように言った。「食らえ!!これが僕の切り札だ!!」

男はそう言うと、引き金を引こうとした。「なに!?」

その時、突然横から何かが飛び出してきた。「なにをする!?」

男が驚いている隙に、俺は男の後ろに回り込んだ。「なにをしているのですか?」

フランは静かに尋ねる。「邪魔するんじゃない!!」

男はそう叫び、振り返って攻撃をしてきた。「無駄です」

フランはそう言って、手に持っていた槍で防いだ。「くっ!!」

男は悔しそうな顔をする。

「これまでか……とでもいうと思ったか?」男はニヤリと笑みを浮かべると、再び攻撃を仕掛けようと前に出た。「はあぁっ!!」

男は雄たけびをあげ、飛びかかってきた。「なに!?」

男はフランの槍を掴み、そのまま押し倒そうとする。「ふん、そんなもの!!」フランは力いっぱい振り払おうとしたが、全く動かない。「馬鹿め、この距離なら外さんよ!!」

男はそう言うと、再び引き金を引いた。「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

銃口から放たれた弾丸が命中した瞬間、凄まじい光が発せられた。一貫の終わり……と思われたが、

「みぃつけたぁ」

聞き覚えのある声が聞こえた。

「散々フラン達を可愛がってくれたわね。」

そこには、霊夢、魔理沙、咲夜、一美がいた。「うぅ……」

ヴァンプはうめき声をあげたかと思うと、いきなり苦しみ始めた。「ぐうぁぁあっ!!」

そして、爆発するように体が大きくなっていく。「なにが起きたんだぜ?」

魔理沙は呟くが、すぐに異変に気付いた。「まさか、あいつ……」

大きくなっていった体が縮んでいき、最終的には元の人間の姿に戻った。「どうやら成功みたいね」

霊夢は言った。

「なるほど、ヴァンパイアハンターが吸血鬼だったのか」魔理沙が納得したように言う。「そういうことね。だからあの時もあんなに強かったんだわ」咲夜が言った。「とりあえず一件落着だな!」

私は言った。「やったー!」

私たちは喜んだ。「うっ……」

ヴァンプが目を覚ました。「あれ?ここは……?」彼は周りを見回すと、「ああ、負けたんですね」と言った。「えぇ、あなたが勝ったのよ」「そうでしたか……。おめでとうございます!これであなたがこの世界の支配者ですね!」

ヴァンプは笑顔で言う。「え、どういう意味ですか?」「言葉通りの意味ですよ」

男はそう言うと、私の方を向いた。「さて、もうすぐあなたの主人が来ますから、待っていてください」

そう言うと、彼はどこかへ消えてしまった。「ご苦労だった」

後ろの方から声をかけられ、私は振り返った。「これはこれは……」

そこに立っていたのは、金髪の美女だった。「久しぶりだな」

彼女は言う。「はい、お久しぶりです」

私と彼女の出会いは、また別の機会に話そう。

僕はヴァンプ・オブ・ザ・ブルームーン。

ヴァンパイアハンターだ。

僕には、ずっと探し求めていたものがある。それは、『永遠の命』だ。

僕はある研究をしていた。その研究の過程で、不死身の肉体を持つ生物を発見したのだ。

それが、吸血鬼である。

しかし、いくら調べてもなかなか手に入れることができないでいた。そこで、ついに僕は実験を始めた。

まず、ヴァンパイアハンターとしての才能がある者を探し出し、自分の血を飲ませる。すると、たちまち彼らは凶暴化し、自我を失ってしまう。

その後、彼らを殺していくのだが、不思議なことに、僕の体は傷一つつかないどころか、体力すら消耗しない。

そこで、僕は気付いた。僕の体には、特別な力が宿っているということに。

それからというもの、僕は自分と同じ能力を持つ人物を探すことにした。

最初に見つけたのが、この少女だ。彼女を見つけたとき、すぐにピンときた。彼女となら、きっとうまくいくだろう、と。

しかし、予想に反して、僕の力は彼女には全く通用しなかった。

だが、諦めるわけにはいかない。なぜなら、僕の目的は『永遠』なのだから。

その後も何人も試したが、結局全て失敗に終わった。

そして、今日ようやく成功したようだ。

「みぃつけたぁ」

突然、背後から声が聞こえた。「なに!?」

振り返ると、そこには、先ほどまで戦っていたはずのフランがいた。「フラン!!なぜここに?」

思わず聞いてしまった。「ふふっ」

フランは不気味に笑う。「どうしてって、私が本物の吸血鬼だからだよ?」

フランは答えると、こちらに向かってきた。「なっ!?」

慌てて逃げようとするが、足が動かない。「なにをした?」

フランは答えず、ゆっくりと近づいてくる。「お前は誰なんだ?」

そう聞くと、「私はフランドールスカーレットよ」

と答えた。「じゃあ、君は本当に吸血鬼なのか?」

僕は尋ねる。「そうだよぉ。だから、これから君を食べるんだよ」

フランは言うと、さらに一歩近づいた。「くっ……」

なんとかして逃げる方法を考える。「無駄だってばぁ」

フランはそう言って、僕を抱きしめた。「ぐぅぁぁあっ!!」

僕は叫び声をあげるが、痛みはない。やがて、意識が薄れていき、そのまま気絶してしまった。「うぅ……」

目が覚めると、そこは薄暗い部屋だった。「あれ?」

起き上がると、なぜか手足が縛られていることに気づいた。「お目覚めかしら?」

声が聞こえた方を見ると、霊夢達が立っていた。「みんな……」

僕は呟く。「よかった、無事で……」

霊夢達は安心したように言った。「いったいここはどこなんですか?」

僕は聞いた。「わからないわ」

霊夢が答える。「とりあえず、ここから出ましょうか」

咲夜さんが言った。「そうね、ここがどこかも知りたいし」

魔理沙が言う。「それでは行きますよ」

一美ちゃんの声とともに、僕たちは歩き出した。「ねえ、今気づいたんだけどさ……」咲夜が口を開く。「なに?」

魔理沙が聞き返す。「あの子、ヴァンプよね?」

一美が答える。「うん、そうだと思うよ」

フランはヴァンプだと言っていたが、確かに彼女の容姿はヴァンプの特徴と一致していた。「でもさ、あいつ人間の姿だったぜ?」

魔理沙が不思議そうに言う。「そうなのよね……。それに、私にはヴァンプが吸血鬼だと思えなかったわ」

霊夢も言う。「どうなってんだぜ?まあいいか」

魔理沙はそう言うと、扉を開いた。「んー、やっぱりダメね……」

レミリアは言った。「そうですか……、ありがとうございました」

僕は礼を言うと、部屋を出た。「あら、もういいのかしら?」

レミリアが言う。「はい、大丈夫です」

そう言いながら、出口へと向かう。「ねぇ、あなた達、ちょっと待ってくれないかしら?」

突然後ろから声をかけられた。振り向くと、そこにはフランがいた。「えっと……」

僕が戸惑っていると、「ヴァンプ・オブ・ザ・ブルームーンに会いに来たのでしょう?」

フランは笑顔で言う。「ああ、そうだが」

僕は答えた。「彼は私と一緒にいるわ」

フランは答えると、ついて来いと言わんばかりに歩き出す。「行くしかないみたいですね……」

僕は言った。

フランについていくと、フランは一つの部屋の中に入っていった。「フラン様!」

中にいた少女が叫んだ。「紹介するわ、彼女がヴァンプよ」「はじめまして」

フランは言うと、僕の方を向いた。「この子が?」

僕は尋ねた。「そうよ」

フランは答えると、「ほら、自己紹介なさい」と言った。「はい!初めまして、私はヴァンプ・オブ・ザ・ブルームーンです。よろしくお願いします」

彼女は元気よく挨拶する。「こちらこそ」

僕が握手を求めると、彼女はしっかりと握り返してくれた。「よかったな、フラン」

僕が言うと、フランは微笑んでくれた。「フラン、そろそろ時間だ」

男が部屋に入ってきた。「わかったわ」

フランは答えると、「また会いましょう」と言って、部屋を出て行った。「あの人は?」

僕は聞く。「フランドールは、私たちの仲間だよ」

男は答えてくれた。「仲間って?」

僕は聞いた。「ヴァンプには二つの種族がある。一つは普通のヴァンプ、もう一つは吸血鬼として覚醒したヴァンプなんだ」

男の説明は続く。「そして、フランは吸血鬼としての力を制御できていない。だから、ヴァンプの中でも特別な存在なんだ」

男は説明を終えると、「じゃあ、私たちはこれで失礼させてもらうよ。」

と、紅魔館をあとにした。

 その日の晩、博麗神社で……

「異変解決、おめでとうございまーす!」

文屋の声が聞こえる。「いえ〜い」

霊夢や紫など、幻想市の有力者たちが宴会を楽しんでいた。もちろん僕も参加しているのだが、まだ気になることがあってあまり楽しめていなかった。「なぁ、一美ちゃん」

僕は小声で話しかける。「はい?」

一美ちゃんが反応した。「さっきからずっと考えてたんだけど、ヴァンプってなんのことだろう?」

僕は聞いた。「うーん、わからないけど……」

一美ちゃんは考える仕草をする。「まあ、気にしないでおこうぜ」魔理沙が言った。「そうだね」

僕は答えて、再び料理に手をつける。「あっ、そういえば、お前ら明日も仕事あるんだっけか?」

魔理沙が言った。「うん、そうだよ」

僕は答える。「私は暫く休み取ってるしもうちょっとここにいたいかな。」と一美が言う。「そうか、んじゃ俺だけ帰ろうかな」

魔理沙は言った。「え?なんで?」

僕は尋ねる。「なんかな、今朝から嫌な予感がしてしょうがないんだよ」

魔理沙は答えた。「そんなことないぜ。お前ももうちょっとどうよ?」魔理沙は言った。「ううん、俺は帰るぜ」

ヴァンプはそそくさと帰っていった。

 私は博麗神社の厨房で、得意のパスタを作っていた。(宴会でパスタも大概だが)すると、突然扉が開いた。「こんにちはー」

聞き覚えのある声だ。振り向くとそこにはフランさんがいた。「あら、フランじゃない。どうかした?」

霊夢が言う。「今日は泊めてくれないかしら?咲夜がいないから、一人で寝るのは寂しいと思って……」

フランさんが言った。「別にいいですよ」

私は答える。「本当!?ありがとう!」

フランさんは笑顔で言うと、奥の方へと歩いていった。「あんた達、ご飯食べてる?」

霊夢が聞く。「えっと……」

私は答えに困った。「それなら、私が作ったのをあげるわ」

霊夢が答える。「助かるわ」

私は答えた。その後、フランさんの分も含めて三人分のパスタを作った。「できたぞ」私は言うと、テーブルに運ぶ。「美味しそう!いただきます!」

フランさんは言うと、勢いよく食べ始めた。「ん〜、おいひぃ!」

フランさんは笑顔で言う。「そう言ってもらえると嬉しいわ」

私は答えると、誰かが何か言っている。「お〜い一美〜、白鶴持ってきてくれ〜。」萃香だった。「はいよ〜」

私は答えると、倉庫へと向かった。「よいしょっと」

私は棚に積んである酒瓶を下ろしていく。「ふぅ……」

一息つくと、後ろから足音が聞こえてきた。「手伝おうか?」

フランさんの声だ。「大丈夫です。それより、お風呂沸いてるんで入ってください」

私は答える。「ありがと」

フランさんは礼を言うと、浴場に向かっていった。「はい、お待たせしました」

一美ちゃんが、白い陶器のお猪口を持ってきた。「おっ!待ってました!!」

魔理沙は嬉しそうな表情になる。「はい、これ」

私は言いながら魔理沙の前に座ると、「じゃあ乾杯!」と言って、お酒を飲んだ。

宴会場にて……「ねぇ、君たちの名前はなんていうの?」

紅美鈴は言う。「私は一美だよ」

私は答えると、「俺は和樹だ」

和樹も続けて言った。「よろしくね!」

紅美鈴は笑顔で言う。「ところで、二人はどうして幻想市にきたの?」

紅美鈴が聞いてくる。「えっと、それは……」私が口ごもっていると、魔理沙が代わりに答えてくれた。「俺たちはこの世界とは違う世界の人間なんだ」

魔理沙は言う。「へぇ、じゃあどうやってこっちの世界に来たの?」

美鈴が聞いた。「一美の方は春ごろに旅のつもりで電車を降りたのがここだったらしいぜ。和樹の方は詳しいこたぁわかんねぇんだよな。」魔理沙が言う。「まあ、俺の場合は普通に気がついたらここにいたって感じかな」

和樹は答えた。「ふーん」美鈴は答えた。「美鈴さんはここで何してるんですか?」

私は聞いた。「私は門番をしてるよ」美鈴が答える。「門番ですか……」

私は言った。「うん、そういえばまだ名乗っていなかったね」美鈴は言うと、立ち上がった。「私は紅魔館の門番をしている、紅美鈴よ。あ、紅美鈴の念能力、拳法講座やってるから興味あったらきてみてね〜。」美鈴は手を振った。「はい!」

私たちは返事をした。「ところでさ、明日からどうするの?行く当てはある?」

美鈴が聞く。「えーとね、色香にあるタワーマンションの一室借りれたから暫くそこで暮らそうと思ってね。」

私が言うと、

「あそこ幻想市内最強の国府津さんって人いるから、揉め事になっても私らじゃ到底止められないよ。くれぐれも気をつけることね。」と霊夢が言った。「うん、わかった。」

私は答えると、「あの、今更だけどなんで霊夢たちはここにいるの?」私は尋ねた。「うーん、この世界に異変が起きてるみたいなんだけど、私たちにはどうしようもないから、とりあえずここで待機してようと思ってね。」霊夢が答えた。「そっか、なんか大変そうだね」

私は答えた。「うん、本当に大変なのよ……」霊夢がため息をつく。「でも、あんた達がいるだけで心強いわ」霊夢は笑顔で言う。

 その日の晩、GERの終電も近い頃になって、宴会はお開きになった。後片付けをして帰る頃には夜もすっかり更けて音は風に揺れる木の葉の音と、電車の音だけだった。

「まもなく1番線に、妖山区役所前行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください。この電車は、最終です。お乗りのお客様はお急ぎください。」アナウンスが流れる。

「あれっ、もうこんな時間!?」

私は時計を見た。すでに時刻は12時を回っている。

「やべぇ!急げ!!」

魔理沙が叫ぶ。

「きゃぁぁぁあぁぁあ!!」

悲鳴が聞こえたので振り返ると、

「ごめん、足挫いちゃって……」

咲夜が言う。

「紛らわしいことすんなよ……」

魔理沙は呆れている様子だった。

なんとかドアが閉まる前に乗り込めた。

「次は幻想です。お出口は左側です。東海道新幹線、JR東海道線、方急線、地下鉄線と、幻想市電はお乗り換えです。」

魔理沙達と別れた私は、一人、パークタワーの36階へ向かった。

 翌朝、今日は魔理沙が幻想市を案内してくれるらしい。待ち合わせの場所まで歩いて行くことにした。「おはよ、待ってたぜ!」「ごめんお待たせ〜」「よし、じゃあまずは、ここだぜ」

魔理沙が言った。「ここは?」

私は尋ねると、「ここは、妖怪たちが住んでるところなんだぜ」

魔理沙が答える。「へぇ〜、意外」

私が言う。「だろ?ほら、入るぞ」

魔理沙が言ったので、私たちは中に入った。「いらっしゃいま……なんだお前か」「久しぶりね」

魔理沙が言う。

そこには、いつもの金髪の女性がいた。「あなたは誰?」

私が言うと、女性は答えた。「私は八雲藍、ここの主よ」

女性が言う。「主ってことは、まさか、九尾の狐とかそういう類の人?」

私は恐る恐る聞いた。「そうよ」

女性、もとい、藍は答える。「あぁ、だから尻尾があるんだね」

私は納得した。「おい、早く行くぜ」

魔理沙が言う。「はーい」

私は返事をすると、

「じゃ、またね」そう言って、私たちと別れた。「さて、次いくか」

魔理沙が言う。「うん、次はどこ?」

私は聞いた。「それは着いてからのお楽しみだぜ」

魔理沙が言う。

しばらく歩くと、大きな屋敷があった。どこか寝殿造の貴族の屋敷みたいだ。

「ここは白玉楼だぜ。隣の同じ名前のレストランは妖夢っていう半人半霊のやつがやってる店なんだ。」魔理沙が説明してくれた。

「あ、魔理沙さん!こんにちは!」

後ろから声をかけられたので振り向くと、桃色の髪の少女がいた。「おぉ、幽々子じゃないか。元気にしてたか?」

魔理沙が言う。「はい!ところでそちらの方は?」

少女が聞く。「はじめまして、私、高梨一美といいます」

私は自己紹介した。「えっと、初めまして、西行寺幽々子と申しますわ。よろしくね。」

少女が答える。「こちらこそよろしくお願いします」

「妖夢〜、妖夢〜、みょ〜ん?」

「はいはい只今〜。」「妖夢ちゃん、お客さまだよ。」

「はーい、お待たせいたしました」

そこにいたのは銀髪をボブにした可愛らしい女の子だった。「あれっ?魔理沙さんじゃないですか。どうしたんですか?」魔理沙が答えようとした瞬間、妖夢が口を開いた。「あっ、この方ですね。幽々子様から話は聞いています。ようこそいらっしゃいました。私は魂魄妖夢です。以後お見知り置きを」

妖夢が深々と頭を下げた。「は、はいっ!よろしくお願いしますっ!」

私は慌てて挨拶をした。「それではごゆっくりして行ってください。」

妖夢は笑顔で言うと、厨房に戻ろうとした。「あ、ちょっと待った。」魔理沙が呼び止めた。「何でしょうか?」

妖夢は振り返りながら言った。「こいつ、幻想市に来たばっかりで、いろいろ教えてあげて欲しいんだけどいいかな?」「もちろんですよ。喜んで引き受けさせていただきます。」

妖夢が微笑む。「ありがとうございますっ」

私はお礼を言った。「じゃ、後は頼んだぜ。」

魔理沙が言う。「はい、お任せ下さい。」

妖夢が答えると、魔理沙は帰って行った。「さて、行きましょうか。」

私は妖夢の後に続いた。「はい、わかりました!」

私は答えた。

「ここは旧都街道です。」「おや、あんたかい。久しぶりだねぇ。」

「あらぁ、妖夢ちゃんじゃなあい。」

たくさんの妖怪たちが話しかけてきた。「あはは……」

私は苦笑いするしかなかった。「皆さんこんにちは。」

妖夢が言う。「そうだ、ちょうどよかった。これあげるよ。」

妖怪の一人が何かを差し出した。「これは?」

私が尋ねると、「地底名物の、鬼まんじゅうだよ。」「へぇ〜、美味しそう」

私は呟いた。「はい、一つどうぞ」

妖夢が差し出す。「ありがとう。じゃあ遠慮なく。」

私は饅頭を口に運んだ。「うん、おいしい!」

私が言うと、

「だろ?ここらは温泉があってな、いわゆる温泉饅頭なんだ。」一人の男が話した。「あぁ、なるほど」

私は納得した。

「あ、そろそろ時間なので失礼しますね。」

妖夢が言う。「あぁ、引き止めちゃって悪かったね。」

一人が言うと、みんなも口々に謝っていた。「いえ、全然大丈夫ですよ!それじゃまた会いましょうね〜」妖夢はそう言い残して去って行った。「あ〜面白かった」

私が言うと、魔理沙が言った。「まぁ、ここならそんなに危険はないから、安心してくれよ。」

魔理沙が言う。「うん、わかった!」

私は答えた。

「お腹空いたでしょう?ご飯食べて行かない?」

さっきの女性が声をかけてくれた。「あ、是非!」

 そこは意外にも料亭だった。「ここは、居酒屋お食事処『橋姫』よ。うちはお酒もあるけど、あなたたちは未成年よね?」

女性は言う。「いえ、私は22なのでもう飲めますよ!」

私は答えた。「えっ!?そうなの?」

彼女は驚いた顔を見せた。「はい!私は22歳です!でも、飲酒経験はまだありません。」

私は言う。「あら、奇遇ね。私も同じ歳なの。私は水橋パルスィ。よろしくね。」彼女が自己紹介をする。「はい!よろしくお願いしますっ」

私は元気よく返事をした。「ふふ、面白い子ね。さぁ、座ってちょうだい。」

私たちは席についた。「それではご注文は?」

店員さんが来た。「えっと、おすすめは何ですか?」私は聞いた。「そうねえ、この河童の唐揚げなんてどうかしら?味は保証するわ。」

パルスィが答える。「はい、それでいいです!」

私は即答した。「あと大吟味ある?」妖夢が聞く。「ありますよ。」

店員さんが答える。「じゃあそれもお願い。」

パルスィが言う。「かしこまりました。」

しばらくして料理が運ばれてきた。「おおっ!おいしそうっ!」

私は感動した。「ふふん、美味しいでしょ?」

パルスィが得意げに言った。「はいっ、とってもおいしいです!」

私は言った。「それじゃ、いただきましょうか。」

パルスィが言う。「はい、いただきます!」

私は手を合わせた。

「ん〜、おいしいっ!」

私が言うと、「そう言ってもらえると嬉しいわ。」

パルスィが微笑んだ。

「ごちそうさまでしたっ」

私はお店を後にした。

しばらく歩くと、大きな建物が見えてきた。

「あれは地霊殿の地下部分ね。」

妖夢が言う。

「あら、妖夢さんに魔理沙さんじゃないですか。」

「ご無沙汰しておりますさとりさん。」妖夢が頭を下げる。「こちらこそ、お久しぶりです。今日はどちらに?」

さとりと呼ばれた少女が尋ねる。「地上観光だよ。」

魔理沙が答えた。「へぇ、珍しいですね。」「まぁな。」

魔理沙が言う。「そういえば、この人は誰ですか?」

私は魔理沙の方を向いて尋ねた。「あ、申し遅れました。私は古明地さとりと申しまして、ここの地霊をやっております。以後、お見知りおき下さい。」

さとりが言う。「あ、はい。よろしくお願いします。」

私は挨拶する。

 さとりと別れて私たちは、山瀬通商店街の方に来た。

香霖堂に入ると、

「おや、魔理沙に一美、妖夢じゃないか。どうしたんだ?」そこには店主の霖之助がいた。「あ、こんにちは」

私が挨拶すると、

「ようこーりん!ちょっと用事があって来たぜ。」「それはちょうどよかったな。」

二人は会話を始めた。「ところでこーりん、これは何だ?新商品かい?」魔理沙が尋ねる。

「あぁ、これか?これは『妖怪メダル』と言ってね。最近幻想郷に入ってきたものだ。まぁ、簡単に言えばお守りみたいなものだよ。」

霖之助が説明してくれた。「あれ、これ私が外の世界にいた頃に持ってた!」私は言った。「あぁ、それなら君にも渡しておこう。きっと役に立つだろう。」

霖之助がくれたのは緑色のメダルだった。「ありがとうございます!大切にします!」

私は礼を言う。

「さて、僕はこれから仕入れに行くから、これで失礼するよ。」そう言うと霖之助は店を出て行った。

「そうだ、せっかくだから神社に行ってみないか?」魔理沙が提案してきた。「え?なんで?」

私は不思議に思った。「いや、特に理由はないが……」

魔理沙は歯切れが悪い。「ふふ、行ってみたらわかるかもよ?」

妖夢が笑った。「う〜ん……まあいっか!行きましょう!」

私も行くことにした。

私はてっきり博麗神社だと思っていたが、まさかの守矢神社だった。

「はぁはぁ……この石段どこまで続いてんの……?」

山瀬通商店街から電車で10分、満員電車に揺られて相当疲れ切っている最中、とても長い石段が目の前に現れて少々疲れていた。

「ちょ……魔理沙……少し休も……」

妖山の中腹、九天の滝の前で私は言った。「もうだめなのか?まだまだ余裕なんだが……。」

魔理沙は息一つ乱していない。

「あなたは体力ありすぎなのよっ!」

私は叫んだ。「そんなことないぞ。一美だって元気じゃん。」

魔理沙はけろっとしていた。

「まぁいいや、とりあえず休憩しましょう。」

私たちは滝つぼまで降りてきて腰を下ろした。

「それにしてもこの滝凄いわね〜!」

私は目の前に広がる景色を見て言った。

「そうか?」

魔理沙が答える。「そりゃそうでしょ。こんな高いところから水が落ちてくるなんて、普通じゃ考えられないわ。」

私は言う。

「確かに、ここは風が気持ちいな。」

魔理沙が呟いた。

「そうそう、お菓子作ってきたから食べない?」私はカバンの中からお菓子を取り出した。

「おっ!食べるぜ!」

魔理沙が目を輝かせた。「はい、どうぞ。」

私はクッキーを手渡す。「いただきますっ」

魔理沙が口に放り込むと、

「うんめぇ〜!!」と叫びながらガツガツ食べ始めた。

「おいしそうですね。私もいただいてもよろしいですか?」

妖夢が言う。「もちろん!はい、どうぞ。」

私は妖夢にもクッキーを渡した。「ありがとうございます!では、いただきます!」

そう言って妖夢はクッキーを頬張る。「うぅんまいです!美味しいですよ!」

妖夢の目が輝く。「ほんとに!?よかったわ〜」

私は嬉しかった。

暫く腰掛けていると、下流から河童が泳いできた。

「うわ、河童だ!本当にいるんだ!」私が興奮気味に話すと、

「ん、おお、にとりか!よお!」魔理沙が声をかけた。「おや?魔理沙じゃないか。珍しいねぇ、こんなところに人間が来るとは。」「ちょっと観光だよ。」

魔理沙が答えた。

「へぇ〜、珍しいこともあるんだなぁ。」

にとりは私たちを見回した。

「ところでにとり、お前は何やってんだ?」魔理沙が尋ねた。「あぁ、今ね、ここで魚を釣ってるんだよ。」

にとりは自慢げに話し始めた。「あぁ、ここの川は綺麗だからね。お嬢ちゃんも何か釣ってみたらどうだい?ここの鯉は絶品なんだ!」にとりが勧めてきた。「え、でも道具がないわよ?」私が聞くと、

「あぁ、それならここに……」

にとりが言いかけたところで、「ちょっと待った!」

魔理沙が遮るように大声で言った。「何だね?」にとりが怪しげな顔をする。「釣り竿は、私が持ってるぜ。」魔理沙は自信満々に言った。「ほう、それはすごいね。どれ、見せてごらん。」

にとりは魔理沙の持っている竿を見た。

「うーん、見た感じ普通の竹で作ったものだね。これじゃあすぐに折れちゃうんじゃないかい?」

にとりは言った。「まぁ見てなって!」

魔理沙は不敵な笑みを浮かべると、おもむろに針に餌をつけ始めた。そして川に糸を垂らすと、いきなりリールを巻き出した。

「え、うそ……速い……!」

私は思わず呟く。

「これは驚いた……こいつぁ凄い……」

にとりも驚いていた。

「ほら、これで文句ないだろう。」魔理沙は得意気に言った。

「ふむ……まあいいだろ。じゃあ私は帰るとするかな。」

にとりはそう言うと帰っていった。

「さて、もう一本いくか!」

魔理沙は再び釣りを始めた。「ちょっと魔理沙〜、いつまでこうしてんのよ〜」私は飽きてきていた。「もう少しの辛抱だ。」

魔理沙は答えた。それから30分ほどしてようやく釣れた。

「やった!でかいぞ!」魔理沙はとても喜んでいた。「うわぁ!でっかいわね〜!今日の晩御飯は鯉の煮付けよ〜」私は喜んで言った。

「うっし!んじゃあ早速焼いて食うか!」

魔理沙が言った。

「そうだな。」

妖夢も同意した。

「……とりあえず神社、行こうか。」

私は提案した。「ああ!早苗の奴驚かせてやるぜ!」

私たちは石段を再び登っていく。途中何度も休憩しながら登ると、やっと神社の境内に着いた。「ふぅ〜疲れたわね。」

私は汗を拭いながら言う。「おや、ここに客人とは珍しいねぇ。早苗、歓迎してやってくれ。」突然後ろから声をかけられた。「誰?」私は振り向く。そこには金髪の少女がいた。「おっ!諏訪子じゃん!久しぶりだな〜!」

魔理沙が嬉しそうな顔で少女に近づく。

「あんた、誰だったかしら?」

私は聞いた。「おい、忘れたのかよ!」

魔理沙が答える前に妖夢が言った。「あっ!この人は諏訪子様ですよ!」

「あぁ!思い出した!そういえばそんな名前だったわね。」

私は納得した。

「ん?諏訪子、客人かい?」神奈子が尋ねる。「えぇ、まぁ。」

諏訪子は少し気まずいような顔をしていた。

「おお、お前さんか。よく来たのう。ゆっくりしていくといい。」

神奈子は笑顔で言うと、家の中に入ってしまった。

「まぁいいや、早く釣りしようぜ!」

魔理沙が言う。

私たちは池の前に立った。水面には太陽の光が反射している。とても綺麗だと思った。

「よっしゃ、始めるか!」

魔理沙は意気揚々と竿を振り下ろした。

「え、ちょ、また〜?」私は思わず言ってしまう。「お?もう一匹釣れるかもな!」

魔理沙が答えた。「あぁ!釣れました!」

妖夢の方に目をやると、すでに鯉を釣っていたようだ。「あら、早いのね!」

私は思わず言った。

 日は傾き始め、遠くに見える海がキラキラと光を反射している。街の方は明かりが灯り始めていた。「よし、今日はこのくらいにしとくか!」

魔理沙が満足げに言った。

「結局1匹しか釣れなかったわね……」

私は残念に思った。「まあ、仕方ないさ。」

魔理沙は苦笑いする。

「とりあえず展望台にいこっか」

私は言ったが二人には聞こえていなかったようで、今度はもっと大きく、

「来ないと置いてくからね〜!」と言う羽目になってしまった。

二人は急いで私を追いかけてきた。

展望台に着く頃にはすっかり暗くなっていた。頭上には満天の星が瞬き、街明かりはさらに明るく輝いていた。「きれい……」

私は思わず呟く。

「幻想市ってこんなに星が見えるんだな。」

魔理沙も感動していた。「あぁ……何度見ても美しいですね……」

妖夢も見惚れているようだった。

「帰りにさ、温泉入って行きましょうよ!」

妖夢が言う。「そうだな。」

魔理沙は同意した。

「あ、そういやさっきの話の続きだけどさ……」魔理沙は言いかけた。「ん?」

私は聞き返す。「あ、いや……何でもないぜ。」

魔理沙は慌てて誤魔化した。

その時…… ドーン!! 大きな音と共に夜空に花が咲いた。「花火だ!」

妖夢が言う。

「花火!?」

魔理沙が驚いたように言った。「へぇ〜、初めて見たわ!」

私は興奮気味で言った。

「ほぉ〜、なかなか風情があるじゃないか。」

神奈子も感心していた。「ほんと、綺麗ね……。」

霊夢は花火を見上げながら言った。

その後も次々と色とりどりの花が咲いていった。

「つーか霊夢、お前いつの間に来たんだよ?」魔理沙が言った。「ついさっきよ。」

霊夢は答えた。「そうだったのか!まあいいや、とりあえず一緒に見て回ろうぜ!」

魔理沙は嬉しそうだ。「いいわねそれ!賛成!」

最後に花火が上がって、音のない不思議な世界が訪れた。

「さて……温泉行くか!」魔理沙が言った。「えぇ〜!もう帰るんですか〜?」

妖夢はとても残念そうな顔をしている。「まあまあ、また来ればいいじゃないですか!」

早苗がフォローする。「それもそうですね。じゃあ行きましょう!」

私たちは5人ぞろぞろと温泉街に入っていった。

「妖山原温泉へ、ようこそ!」番台のお婆さんが元気よく言った。

「ふぅ〜」

私は湯船に浸かる。体が温まり、疲れが取れていく気がした。

「お、結構広いな!」

魔理沙の声が聞こえる。

「おっ!ここ露天風呂もあるぜ!」

魔理沙が大声で言った。

「えっ!?」

私は思わず声を出してしまう。「おい、今すぐ行こうぜ!」

魔理沙が言った。「まあ、いいけどさ……」

私は答える。

「よっしゃ!」

露天風呂から見る街の風景は、さっきとはまた違った風情があった。遠くにひときわ高く聳えるメロディアスタワー魂魄、栄繁華街の煌めく建物、何よりほのかにする硫黄の匂いが、さらに非日常を感じさせた。

「う〜ん、いい景色だな!」

魔理沙が言った。「うん、すごく綺麗ね。」

私は答えた。

「ところでさ、ちょっと気になってたんだけど……」

魔理沙は言う。「何よ?」

私は聞き返した。「霊夢のあの話って、結局なんだったんだ?」

魔理沙は少し心配そうに言った。「え?ああ、あれね……」

私は思い出す。

「別になんでもないわよ。」

私は素っ気なく答えた。

「いや、でも……」

魔理沙は食い下がる。「だから何でもないの!」

私は語調を強めに言った。

「あ、あぁ……」

魔理沙はそれ以上何も言わなかった。

「はいはい、ここまで来て喧嘩しないの。せっかくのお酒が台無しじゃない。」

「霊夢お前風呂でも酒呑むんだな……」魔理沙は呆れていた。

「あ、私も呑みます!」

妖夢は手を挙げる。「お!ノリがいいな!」

魔理沙は笑った。「あ、じゃあ私も。」

諏訪子が言う。「あんたら二人とも未成年でしょ……」

霊夢は溜息をついた。「いやいや、これはただの水ですって!」

妖夢は必死に言い訳している。「まあいいわ、今日だけ特別よ。」

霊夢は苦笑いして言った。

「ふう、熱くなってきちゃった。ちょっと水風呂行ってきます。」

「おう、いってら。」私は立ち上がり、水風呂に向かう。

その時…… ザバーッ!! 突然背後から大きな音が聞こえた。振り向くとそこには、大きな波紋が広がっていた。「なんだ!?」「どうしたの!?」

みんなが驚いている。

「あら、ごめんなさいね。」

後ろの方で声がした。そしてその主はこちらに向かって歩いてくる。「あなた……誰?」霊夢は警戒しながら聞いた。

「私?私はこの温泉宿の女将よ。」

彼女はそう言って微笑んだ。

「女将さん?」

魔理沙は聞く。「えぇ、よろしくね。」

彼女は笑顔のまま答えた。

「で、一体何が起こったんですか?」早苗が尋ねた。「それがねぇ、湯船が古くなっていたみたいで、ついさっき溢れ出しちゃってたから修理してたのよ〜。」女将さんは頭を掻きながら言った。「そ、そうだったのか……。いやーびっくりしたぜ。」

魔理沙は胸を撫で下ろしている。「ほんと、心臓止まるかと思ったわよ。」

霊夢は怒ってるようだ。

「まぁまぁ……」私は宥める。「とりあえず、私たちもう上がりますね。」

早苗が言った。「えぇ〜!まだ来たばっかりじゃないですか!」妖夢は抗議する。

「ほら、早く出るわよ!」

霊夢は急かすように言った。

「急がないと魂音泉饅頭買えないでしょ〜?」諏訪子はニヤリとした。「あっ!そうだった!急いで上がろうぜ!」

私たちは慌てて脱衣所に向かった。

 先に脱衣所を出て待合室でぶらぶらしていると、「お待たせしました〜」という声と共に、妖夢が出てきた。

「おおっ!」魔理沙の声が響く。「いい体つきしてんじゃねえか!」

確かに、彼女の体は引き締まっていて、とても魅力的に見えた。

「まあ、日々鍛錬していますから!」

妖夢は自慢げに言った。

「よし!次は私の番だぜ!」

魔理沙は勢いよく立ち上がる。「ちょっと待てよ!」

私は制止するが遅かった。「いってきます!」

魔理沙はそのまま走って行ってしまった。

「あ〜、魔理沙が行っちゃいましたね……」

妖夢は残念そうだ。「あいつ、結構足速いのよね……」

私は答える。「あれ、どうする?」

魔理沙は往来のど真ん中で竹刀を振っている。危ないことこの上ない。「仕方ないな……」

私は溜息をつく。「私が止めてくるよ。」

私はそう言い残し、人混みの中へと消えていった。

「おぉ、なかなかいい勝負じゃないか。」

魔理沙は言った。

「いやぁ、やっぱり強いですね。」

妖夢は汗だくだ。

「そりゃあ、鍛えてるからな!」魔理沙は笑った。

その時……

「ちょっと!危ないでしょこんな往来のど真ん中で……いくらなんでもやりすぎよ!」霊夢が走ってきた。

「お!霊夢もやるかい?」

魔理沙は不敵に笑う。「やらないわよ!」

霊夢は怒った様子で言う。「おいおい、そんな怒んなよ……」

魔理沙は少し反省しているようだ。

「まったく、もう少し周りを見て行動してほしいものね。」

霊夢は呆れていた。

「いやぁ、すみません……」妖夢は申し訳なさそうにしている。

「まあまあ、無事だったんだしいいだろ?とりあえず魂音泉旅館行こうぜ。」魔理沙は言った。「まあいいわ、行きましょうか。」

私も同意して歩き出す。

「うぅ……悔しいです……!」

妖夢はまだ落ち込んでいるようだ。「大丈夫だって、また今度やればいいじゃん。」

 魂音泉旅館は、鬼達の憩いの場、もとい巣窟だった。「へぇ〜、中々雰囲気のある建物ね。」

霊夢は感心していた。「おぉ……これは凄いな……」

魔理沙は驚いている。

「じゃあ入りましょう。」私はみんなを促した。

ガラガラッ……

「ようこそ!心躍る魂の楽園へ!」

番台のお姉さんもどうやら鬼のようだ。「ふむ、ここは温泉宿だから、宿泊客以外は入浴料がかかるぞ。」

受付にいたお爺ちゃんは言う。「えぇ〜!お金取るんですか!?」「当たり前だろう?ここの温泉は無料ではないんだから。」

「ちっ仕方ねぇなぁ……」

 今回もさっきと同じように気持ちよかった。

「魂音泉饅頭、ある?」

「ほらよ、5つね。」

一足先に上がった私は全員分の饅頭を買った。「はいこれ、みんなの分。」

私たちはそれを食べながら部屋に戻ることにした。

「うん、美味しい!」

霊夢はご満悦の様子だ。「いやぁ、生き返るぜぇ〜!」

魔理沙は嬉しそうに食べた。

「鯛の煮付け……明日にしよっか。」

「そうだな。」私たちは夕飯について話し合っていたが、その前に寝ることにした。「そろそろ寝るか。」

魔理沙は欠伸をしながら言った。「賛成〜」諏訪子も賛同する。

「では、布団敷きますね。」妖夢がテキパキと布団を敷いた。その姿はまるで仲居さんのようだった。そして私たちは眠りについた。

「う〜ん……」

私は目覚めた。時計を見るとまだ朝の4時だ。「早起きしちゃったな……。」

私はそう呟きつつ、部屋の外に出た。

「あれ、霊夢がいない。珍しいこともあるもんだなぁ……」私は少し散歩することにした。

「おっ、魔理沙がいるじゃないか。何してるんだろう?」私は声をかけた。

「あぁ、咲夜か。実は朝風呂に入りたくなってな。」

彼女はタオルを持っていた。なるほど、そういうことね。

「どうだ?今日はどこ廻る?」

魔理沙が聞く。

「うーん、今日はまず春桜渓谷見に行きたいかな。」

「まだ電車も動かねぇし朝もここで食ってくか!」

私と魔理沙は食堂へと向かった。

朝食を済ませた後、私たち3人は駅へ向かった。

「やっと着いたぜ……」

魔理沙が言った。「なんか、懐かしい感じするわね。」

霊夢は駅のホームを見ながら言った。

言われてみれば、この駅のホームはどこかレトロな感じがあって、風情がある。「よし、じゃあ行くぞ!」

魔理沙が元気よく歩き出した。

「待ってよ〜!」

霊夢は急いで追いかけていく。

「1番線に、臨時快速幻想ダイレクト号 東京行きが参ります……」

「へぇー。ここから東京まで直通列車があるんだ〜。」

入ってきたのは白い車体に斜めの深緑の帯が入った古い特急電車だった。

「この電車は、『春桜渓谷には止まりません』。」

「は?」

3人の声が揃った。

「ちょっと待って?止まらないってどういうことよ?」霊夢は焦っている。「いや、そのままの意味だよ。」

「まじかよ……」魔理沙も困っていたようだ。

「まあ次ので行こうぜ!」

魔理沙は楽観的だった。

「……ねぇ。これで本当に次ので行くと……?」

時刻表曰く、次のは30分は待つことになる。

「嘘だろ!?」魔理沙は絶望したようだ。「まあ仕方ないよね……」

私たちは諦めることにした。

「あ〜暇だぜ〜。」

魔理沙は退屈している様子だった。

「あ、そうだ!これ見てみないか?」

魔理沙は鞄から何かを取り出した。それは古ぼけたアルバムのようだ。「なんですかそれ?」

妖夢は興味津々だ。

「ふふふ、これはなぁ……私が子供の時に作った秘密基地の写真だ!」

「へぇ〜、面白そうですね!見せてください!」

妖夢の目は輝いていた。

「おういいぞ!じゃあまずはこれが……」

魔理沙の話はとても面白く、時間を忘れるほど夢中になって聞いていた。……………………

「おい、もうすぐ着くみたいだぜ。」

「一番線に、快速 湯河リゾート行きが参ります……」「あ、これ乗れるんじゃねぇか!?」

「やった〜!」

私たちは喜び勇んで乗り込んだ。

「GER線をご利用いただき……」「なんだそれ?日本語喋れよ。」

魔理沙が言った。確かにその通りだ。

「まあいいや。それより、神秘的な渓谷!楽しみだなぁ……」「そうだね!」私はワクワクしていた。

「はい!」

「……次は、春桜渓谷です。」

「おっ、降りるか!」私たちは席を立ち上がって列車を出た。

「うおぉおお!!」魔理沙のテンションは最高潮に達していた。「すげぇえ!!めっちゃ綺麗じゃん!」

そこには山や川などの自然が広がっており、空は青く澄んでいた。切り立った崖はどこまでも深く、この地球の裏まで貫いているような気がした。「凄いわね……。」霊夢も感嘆の声を漏らしていた。

「さて、どこに行く?」魔理沙は私に聞いた。「うーん、そうだなぁ……」

私は辺りを見渡してみた。すると少し離れたところに、洞窟のような穴が見えた。

「あの洞窟は?」

「あぁ、あれか。あれはなぁ……」魔理沙が説明しようとしたその時、「きゃあああ!!!」という悲鳴が聞こえた。「何だ!?」

私はその声の方角へと進んでいった。

「待ってください!」

妖夢が慌てて後を追いかける。私と霊夢もそれに続いた。

「どうしたんですか?」

私たちが尋ねると、女の子は震えながら答えてくれた。「なんか、変なものがいて……」

見ると、そこにいたのは幽霊でもなんでもなく、管理している人が悪戯でおいたらしいマネキンだった。「こんなもんにビビッてちゃダメだぜ!」魔理沙が言った。

「そ、そうよね。」

霊夢はホッとしたようだった。

「ところであんたら、どこから来たんだ?」

「あっちのほうよ。」「あっちってどっちだ?」

私たちは指差して言った。「あっちかよ!?」

「うん。」

「こりゃ大変だぜ!」

魔理沙は走り出した。「待ってよ!」

「待って!」私たちも後を追った。「はあ、はあ……」なんとか追いついた。「よし、ここから先は危険だから気をつけろよ!」

魔理沙が注意してくれたのだが、私たちは早速やらかしてしまったようだ。

目の前には深い谷があった。下を見ると底は見えないほど暗い。

「なに……これ……?私らが入った時はなかった気がするわ。」

「暗くて見えなかっただけだろ?」「そんなことないと思うけど……?」

霊夢の言葉にも一理あるかもしれない。しかし、この暗さだ。いくら目を凝らしても何も見えず、不安になるだけだった。

「……行こうぜ!」魔理沙は先陣切って歩き始めた。

「ちょっ!危ないですよ!」

妖夢は心配してくれているようだ。「大丈夫だって!」

魔理沙は全く気にしていない様子でどんどん進んでいく。

「仕方ねぇなぁ……」

私は魔理沙の後について行った。「ちょっと!待ちなさいよ!」

 洞窟の外に出ると、光が眩しかった。

「やっと出れたのか……!」

「うぅ……気持ち悪いぜ……」

魔理沙は酔ったようだ。

「あ〜、もう!早く行きましょう!」

妖夢はかなり焦っている様子だった。

「お、おう……」

私たちは再び歩みを進めた。

「一番線に停車中の電車は、10時30分発、普通妖山区役所前行きです。」「うぇえ……」魔理沙は完全にダウンしてしまっている。「仕方ないですね……」

妖夢が魔理沙を背負い、私たちは歩き続けた。

やっとの思いで改札に入ると、

「1番線のドアが閉まります。ご注意ください。駆け込み乗車はおやめ下さい。」

というアナウンスが響いていた。

「急ぐぞ!」「はい!」

私たちはホームに飛び込んだ。ギリギリ間に合った。「ふう……」

安堵のため息をつきつつ、魔理沙を見た。「うっぷ……きもちわりぃ……」

「ちょっと、電車の中で吐くのはやめてよね。」霊夢が釘を刺した。「わかってるぜぇ……」

魔理沙がフラフラしながら立ち上がった。「ふぅ、ようやく着いたか。」

私たちは駅のホームに降り立った。

「ここは……どこなんですか?」

「幻想駅だ。ここからは地下鉄で行くぜぇ〜。」魔理沙はフラフラと歩き出した。「待ってください!」

私たちはその後をついて歩いた。すると、階段を降りてすぐのところに改札口があり、そこが出口になっていた。

「さて、これからどうする?」

霊夢が聞いた。「無縁塚を見せてやりたくてな。」魔理沙が答えた。「無縁塚?」

「あぁ。この近くに墓地があるんだけどな。そこには妖怪たちがいっぱいいるんだ。」

「へぇ……」

「お前らも興味ありそうだな。じゃあ行ってみるか!」

「はい!」

「そうね。」

地下鉄で無縁塚に来て改札を出たとき、遠くから地響きのような音が聞こえてきた。「なんだ?」

「地震か!?」

「違うわ!」霊夢が叫んだ。「あれを見て!」

霊夢の指差す先には、大きな生き物がいた。

「うおっ!でかい!」

それは象のような形をしていたが、鼻が長く、背中には巨大な甲羅を背負っていた。

「何だあの生き物は……?」

「わからない……。」

私たちが唖然としていると、「グオオオォッ!!」という雄叫びを上げながらその生物は突進してきた。

「危ない!」

私たちは何とか避けた。

「大丈夫!?」

「あぁ、なんとかな……」

「こいつ、一体どこから来たんだろう……?」

「まあ、とりあえず倒してみるか。」

見た目とは裏腹に弱かったので楽勝だった。「よし、これでいいだろう。」

私は手際よく解体を始めた。

「すごいわね……こんなに大きいのに……あっという間じゃない。」霊夢が感心していた。

「へへん!もっと褒めてもいいぜ!」

魔理沙が言う。

 無縁塚に着くと、そこでは、夏なのに季節外れの桜が咲いていた。桜は紫色で不思議に輝き、花びらは透き通るような白色をしていた。

「綺麗だな……」「本当ですね……」

私たちがその美しさに見惚れていると、突然後ろで声がした。「あら?誰かと思ったら霊夢さんに魔理沙ちゃん!それに妖夢まで!」

振り返るとそこには金髪の女性がいた。「誰だ?」

魔理沙が言った。「私は八雲藍、この近くの九尾狐の式神です。」

「へぇ〜」魔理沙は物珍しそうに見ていた。「あんた、紫のおつかいか?」「えぇ、そうですよ。」「ふーん……」

「ところであなたたちはどうしてここに?」

「私達は、ここにあるっていう無縁仏を探しに来たんですよ。」妖夢が答えた。

「無縁仏ならそこにありますよ。」

「えっ?」

「ほら、あそこのお墓です。」

「えぇっ!?」

私たちは驚いた。まさか本当にあるとは思っていなかったからだ。

私たちは早速、無縁塚で見つけたお墓の前にやってきた。「これが無縁塚の無縁仏か〜。」

きれいな桜と、無縁塚には似つかわしくないような立派なお墓を満喫した私たちは、無縁塚をあとにした。

「紅魔館行こうぜ。あそこならレミィがお茶くらい出してくれるだろーしさ。」魔理沙が提案した。

「そうね。行きましょうか。」「うん!」私たちは再び歩き出した。

「おい、お前たち、ちょっと待ってくれないか。」

後ろから呼び止められた。振り向くと、黒いスーツを着た男が立っていた。

「すまんが色香ってどっちなんだ?」

「ああそれなら、南北線に乗って幻想駅に行けばいいぜ。」

「ありがとな。」

「私らも行くか。」

お隣、紅魔北駅にやってきた私たちは、住宅街を抜けて森の中に入っていった。暫く歩くと開けて、巨大な赤い屋敷が見えてきた。「あそこだぜ!」魔理沙が叫んだ。

門をくぐり抜け、玄関に行くと赤髪の少女がいた。彼女は美鈴と言い、この家の門番をしているらしい。「こんにちは〜。今日も元気ですか?」

「はい!私はいつも元気ですよ!」

そんな会話をしながら、奥へと案内された。そこは広いホールになっていて、とても豪華だった。

しばらくするとメイド長が現れて紅茶を出してくれた。そしてお菓子を出してから部屋を出て行った。「さてと、」魔理沙が切り出した。レミィが出てきた。「ようこそ我が家へ。霊夢、魔理沙、一美、妖夢。」「久しぶりだな。」

「おひさ。」

「どうぞ、座ってちょうだい。」

私たちが席につくと、「早速だけど、頼みたいことがあるの。」

「何だよ?」

「実は、うちで働いてる妖精メイドたちのことなんだけど、最近少しだらけ気味でね。このままだと怠けてストライキを起こしかねないのよ。そこであなたたちにその解決法を考えてほしいと思って呼んだわけ。」

「なるほどな。でもなんで私たちに頼むんだ?」

「それはあなたたちが優秀だと思ったからよ。」

「でもこのメンツ、妖夢以外従者経験ないぜ?」「そうなのよね……。」

「だったら、とりあえずやってみてダメだったらやめればいいんじゃないか?」

「それもそうね。じゃあ、よろしくね。」

こうして私たちは、今日紅魔館でメイド体験をすることになった。正直疲れた。

 終わったのはもう昼下がりだった。

「ありがとね。また来なさい。」

霧湖の前で腰掛けていた私は、魔理沙に声をかけられた。

「釣りしようぜ。」

「またぁ〜?」私はため息混じりに言った。「たまにはいいじゃんか。ほら、竿貸してやるよ。」

渋々ながら私は釣り糸を垂らした。

「うぅ〜ん……」

「まだ釣れないのか?」魔理沙が言った。「うるさいな……!今やってるところだから黙ってて!」

私はイラついてしまった。「ごめん……」魔理沙が謝った。「あっ……えっと……」私は気まずくなった。「まあ、あれだ。」

魔理沙は話題を変えようとした。

それから2時間後、ようやく1匹目の魚がかかった。しかし、なかなか引きが強く、私は必死に引き戻そうとした。だが、全然ビクともしない。

諦めかけたその時、突然、私の体が宙に浮いた。誰かが助けてくれているのだ。やがて足がつくようになると、私は下を見た。そこには魔理沙の顔があった。「大丈夫か?」魔理沙が心配そうに見つめてくる。

私はドキドキしていた。「ありがとう……」私が言うと、魔理沙はニコッとして「おう!」と言った。

 帰りの電車は満員だった。押し潰されそうになりながらなんとか方急幻想駅に着いた。魔理沙達とは紅魔駅で別れた。私は一人、駅前のタワーマンションへ急ぐ。

「お会計450円になります。」

共用部のコンビニで適当なのを買い、昨日釣った鯉と一緒に煮て今日はみんなで食べる。

「もしもし。」

「今から来れる?」

「あーあれか。すぐ行くぜぇ〜。」

ぞろぞろとみんなが部屋に入ってきた。

 煮付けは好評だった。

「マリカやろーぜ。」

「Switchはもう入ってきてんのね……」

「魔理沙、ちょっとは遠慮したらどうなの?ここはあなたの家じゃないわよ。」

「いいんだよ別に〜。」

ゲームを始めたものの、やはり魔理沙が強いので私と霊夢は早々に負けてしまった。

「風呂入ろうぜ!」魔理沙が提案した。

「いいけど、あんまり騒がないでよ?」

「わかってるって。」

魔理沙はバスルームへと向かった。

しばらくして、お湯を溜めた音が聞こえてきた。

溜まるまでの間、私たちはスマブラをしていた。圧勝だった。「よし、入るか!」魔理沙が元気よく立ち上がった時、お湯が溜まり始めた。

「じゃあ私先に上がるから。」霊夢が部屋を出て行った。

「んじゃ俺も行くぜ。」魔理沙も出ていった。

残ったのは妖夢さんだけになった。

「私、まだここにいてもいいかな?」妖夢さんが聞いてきた。「いいですよ。」

「ありがとう!」

しばらくすると、魔理沙が戻ってきた。続いて霊夢が出てきた。

「次、誰が入る?」

「あ、私は入ります。」

「うい。一美、早く上がってこいよ〜。」

魔理沙が言う。わかってるわよそれくらい。「わかったから待っててよ。」

「はいよ〜」

私は急いで着替えを持って脱衣所へ向かった。

服を脱いで浴室に入ると、ちょうど魔理沙が出ようとしていたところだった。

「あ、ごめんなさい。」

「ああ、いいぜ。」

魔理沙が出て行き、私は体を洗った。

少しして、妖夢が入ってくる。

「ふぅ……気持ちよかった。」

妖夢の体を見てドキッとした。

「ん?何見てんだ?」

「いえ、なんでもないです……」

私は目をそらした。

「あ、そうだ!背中流してあげるよ。」

「えっ!?︎」

私は驚いて振り返った。「そんなに驚かなくてもいいじゃんかよ。」

妖夢が笑う。「あ、はい……」私達が上がると、魔理沙は大音量でヒゲダンを聴いていた。「ねえ魔理沙、うるさいんだけど。」

「ん?」魔理沙が振り向く。「あぁ、悪いな。」と言ってボリュームを下げた。

「あのさ……ずっと聞きたかったことがあるんですけど……」私は恐る恐る言った。「なんだ?」魔理沙が聞く。

「えっとですね……その、なんで魔理沙は私を助けてくれたんですか?ただの知り合いなのに……」

「あー……」魔理沙は頭を掻いた。「なんか、ほっとけなかったっていうかさ……」

「そうですか……。ありがとうございます……」

私が言うと、魔理沙は照れ臭そうに笑った。

 今日もこの街には笑い声が響く。

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