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王女サヤカの思い(幸せな星)  作者: 藤村 次郎
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第8話 花火に挑戦したかった

 けむり玉に使う砂糖を炭に変えれば、火薬ができるかな?。

うーん。これは魔法使いではなく錬金術師の範疇でしょうか?。まあ拘ることはありません。できれば良しとしましょう。でも、この世界の魔法は、何もないところから何かを生じさせるものではありませんので、錬金術とよく似ているようです。着火するのにちょっと魔素を輝かせます。それを魔法と呼びます。


 花火づくりに挑戦しました。

でも、これって、間違えると火薬、危ない、鉄砲へと傾れ込まないでしょうか?。

やっぱり、止めようかな!。

線香花火程度ならばとも思いましたが、線香花火をたくさん筒の中に詰めて暴発した事件があの世界にありましたね。予期せぬことはあるものです。煙玉もヒントになりかねないので、自重しましょう。



 前世の知識を持ち込むのは良くないですよね。特に産業革命や軍事につながるものは、絶対ダメと思いますわ。

でも、誰かが発明しないものなのでしょうか?。周りに聞いてみても、爆弾や鉄砲の類は無さそうですし、蒸気機関も無いようです。技術は自然発生するものと思うのですが?。


 とにかく電気というものがないのです。明かりは、魔法で室内全体がほんのりと明るく、手元用には魔石が埋め込まれたスタンド風のものがあります。う・魔石?。聞いてみると、特定の石には光の魔素を貯めることができて、それを利用しているとのことです。電線があって電気が通ってくるものではないようですね。


 魔石に魔素を貯めるのは、ただ、黄色い太陽に当てるだけで良いそうです。だから、町中の家も道も明るいのです。家の中がほんのり明るいのは、壁紙などには、その魔石が粉にされて混ざっているからだと。日中に魔素が供給されて、夜は放出の繰り返しになります。便利なものがあるのですね。


 テレビはありません。ラジオをありません。映像や音声を保存したり再生したりする魔法はないそうです。魔法学園で長年研究しているとのことですが、未だ形になるのものは無いそうです。


 それから、情報の保存伝達の立役者、本ですね。これはあります。しかし印刷は魔法による複写という手段が取られます。そして、手作業です。輪転機はないです。ガリ版印刷もありません。まあ、魔法複写があるならばガリ版印刷は必要ないですね。大量に印刷する技術がないので、本は高価です。多くは魔法学園の図書館にあります。個人や団体ギルドなどで持たれているものもあるそうです。


 そうそう、複写魔法には、紙とインクと複写元の本と複写膜が必要です。特に複写膜は、川に生息している”ナマズン”の胃袋を乾かして、膜状にしたものです。一枚の複写膜に20匹のナマズンが必要です。そして、術者は1ページごと、複写膜を介して新しい紙に複写してゆきます。もちろん複写魔法は中位魔法で一万人に一人ぐらいが使えるそうです。まあ、やたらとできないので、本は高価なのです。



 そう言えば、雷とか静電気のバチバチとかは、この世界にもあります。電子とか原子とかの物理もほぼ同じです。しかし、電気は文明レベル4からですので、この世界では使えません。だから、その知識を持っていたとしても広めてはダメなのです。もちろん電気で動くパソコンやスマホは無いです。

しかし、後に分かったことですが、魔女の設備には電気が使われています。特別区でレベル7です。



 魔法学園というのがあるそうなんです。8歳から入園できるそうなので、私も来年は通えるかも。2歳上のアンズちゃんに、どんな様子か聞いてみましょう。前世は中学生でした。小学生をもう一度経験するって楽しいでしょうか?。


今日も、縁側にロッキングチェアを出して、うつうつとしているのです。


「サヤカちゃん、私に聞きたいことがあるの?」

「えっ!」


 横の椅子にアンズちゃんが座っていました。なぜか、アンズちゃんは私の心が読めるみたいなのです。だから、あの入れ替わったことも知っているようで、時々”あの子は身体が弱かったよね!”って同意を求めてきます。で、”あなたはだれ?”とまでは、聞かないところがアンズちゃんの優しいところです。


「あのー。アンズちゃん、魔法学園って楽しいですか?」

「うん。楽しいよ。お城の外に出られるし、広場の屋台にも行けるよ」

じゃあ、楽しみに待ちましょう。



(恵さん。こちらにも学校がありました。コミショウの私も行ってみたいです。アンズちゃんは二つ上のお姉さんで、私の心が読めるようなのです。はっと気が付くと横に居たりします。でも、とっても優しい人です)


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