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王女サヤカの思い(幸せな星)  作者: 藤村 次郎
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第7話 いたずら盛りのサヤカ

 中庭にある池のカエルを手前に呼んでみました。

「ちょっと、そこのカエルさん、こちらに来て!」

言葉が通じるわけもありませんが、こちらにやってくるイメージをカエルに投げることで、操ることができました。

よし、よし、ちょっと大きくしてみようか。


「おおきくなーれ すくすく」と、なんとなく唱えてみました。

おぉぉ!。親指ぐらいのカエルが拳大になったのです。


 この世界は、女中たちが確かに魔法を使っているのを見かけます。ひょっとしたらと思い試したら、できたのです。イメージが大事なようです。

うーん。も少し子犬ぐらいにしましょう。大きすぎると皆が怖がりますからね。

よし、できました。



 そう、”かえるのうたがーー”って歌いながら、馬車に揺られる。

周囲のカエルに追従の魔法をかけまくる。げーっこ、げーっこ、げーっこと、それはもうカエルの行列が馬車の後ろや横に引っ付いている。


「おーっ。カエル姫だー」と沿道の人や子供たちが騒いでいます。


 それだけでは、済ませません。

今日は、少しカエルを大きくしてみました。中型犬ほどに。

数十匹の大きなカエルが「げーっこ、げーっこ、げーっこと」飛び回ります。


「わーっ、きゃーっーーーーー」と慌てふためく沿道の人々。


わたしは、馬車から顔を出して、ケラケラと笑う。


 それ以来、しばらくは「かえるひめがきたーっ」って言われましたわ。

それでも、今日もカエルたちを引き連れて、馬車が行きます。



そして、今日はね。煙幕で驚かせてやろうと、昨日作った煙球を取り出しました。


 小さな鍋に硝酸カリウムと砂糖を入れて、熱を加えてよくかき混ぜます。ドロッとしてきたら重曹を少し加えます。小出しにしたところへ赤や黄色、青の顔料を加えて色付けする。指先で大豆ぐらいの大きさに丸めます。乾いたら出来上がりです。着火は魔法でしますので、導火線は不要です。安全だよ。

硝酸カリウムや重曹は、意外と町に売ってました。


 赤色を、馬車の後ろに投げて、魔法で着火します。

モクモクを赤い煙が立ち上り、風に煽られて東の方に流れます。

次は、青色だ。

次は黒だ。

と、次々と沿道に投げ込み、着火、煙幕。


わたしは、ケラケラと笑う。


 人々は、小さな王女の所業と大目に見ていました。というか文句は言えないですね?。

図に乗って、私は時々暴れるのです。

だって、退屈なんだもの。学校もないし、コンビニもないし、なーんにもない。


 でも、プチダンジョンというものがあって、その中は遊園地もあるらしいです。でも、行ったことないし、誰も誘ってくれないし、王女なんて自由がないのです。

せめて、魔法を使って楽しまなくっちゃ。



 本当に、この一年はリハビリが大変でした。侍女のイネには感謝に堪えません。最初は、筋肉のない骨ばかりの足を根気よくマッサージしてくれました。立ち上がれるようになると、ゆっくりと支えながら前へ進んでくれるのです。ここまでが3か月。

それからは、めきめきと足腰がしっかりしてきて、半年後には伝え歩きで城の中を行ったり来たりできるようになりました。父の仕事場も覗くことができ、馬車で一緒に巡回にお供をさせていただくようになりました。まあ、お父様が私に甘々のせいもあります。


最近は、もう悪戯盛りです。侍女のイネも喜んでいます??。


(恵さん。ここにきて一年が経ちました。年甲斐もなく悪戯に明け暮れています。なにせ、テレビもスマホもネットもコンビニもありません。退屈で死にそうなのです。いや、それはごめんなさい。一度死んだのですね。あの頃は、なぜか毎日が苦しくって、山に逃げていました。生きる苦しみが贅沢なことだと、ここにきて感じました。生きるって、素晴らしいです)


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