第13話 魔女見習いは箒で空を飛びました
着物モドキは、どうも動きづらいですわ。
子供の時、着ていたあれが欲しいのです。
黄色いオーバオールと白のブラウス。
「あの、アカネさん。動きやすい服が欲しいの。服作りの人を呼んでくれない?」
「かしこまりました」
「お呼びいただきありがとうございます。裁縫係のマキともうします。よろしくお願いいたします」
(おぉ・・きましたよ。年のころは12歳ぐらいでしょうか? えっ。子供じゃないの?)
「サヤカ様、一番年の近いものを見繕ってまいりました。マキはこう見えても、しっかりしています」
石板と石筆を駆使して、オーバーオールを説明してゆきます。私の知識にあると思われてはいけません。適当にマキが思いつくように誘導してゆきます。確かにマキの頭は柔軟で、私の希望をくみ上げてくれました。
横で、聞いていたアカネは感心するばかりです。
いつもの、アンズちゃんとメグちゃんもしっかりと仲間入りして、採寸をしてもらっていました。抜け目のない子。
「それでは、一週間ほどをいただけますでしょうか?」
「よろしくお願いしますね」
「ありがとうございます。後ほど仮縫いでお持ちします」
二週間ほどかかって、やっとオーバーオールがやってきました。
黄色いオーバオールに白のブラウス、赤いズックと幅広の茶色の魔女用帽子をかぶった小さな少女が出来上がったのです。ピンクがかった銀色の髪は3つ網にして、それを左右の下方に団子にする。魔女の帽子に邪魔にならないように。
アンズちゃんは、水色のオーバオールにピンクのブラウス、ピンクのズック。帽子も同じ魔女風の帽子。
メグちゃんは、ピンクのオーバオールに白のブラウス、ピンクのズック。帽子も同じ魔女風の帽子
そう、このスタイルは、歴代の魔女が子供の時の服装となったそうです。
そのほか、オールインワンも作ってみました。
どうもスカートタイプは、やんちゃな私には、ちょっと似合わないよ!と。
これから、ホウキで飛びたいし、パンツ見えたら恥ずかしいから。
魔女と言えば、ホウキで空を飛ぶのです。
私の記憶では、魔女はホウキで空を飛びます。そして黒い猫を友に。
「ジジ、確か、魔女はホウキで空を飛び、御供は黒い猫が定番だよ。」
「さよか。ホウキはどこにあるねん?」
「これから、作るの」
側仕えのアヤメを呼んで、ホウキを持ってこさせました。もちろん新品を。
そのまま跨ると痛いです。座布団を巻いて座る部分をセットします。
そういえば、横乗りしている絵も見たことがあるけど、細いところに座ると痛いのには変わりないと思います。
ここは、やはり座布団ですよ。ちょっと不格好ですが、お尻は大切にします。
早速、箒を調達できました。庭で練習しましよう。
重力遮断魔法をホウキと自分の周りにすこしづつかけてゆきます。続いて、下から風を送ります。
「おぉぉ! 浮いたよ。ジジ」
「おぉぉ! 怖いよーサヤカー」
「揺らすなよーー揺らすなよーー。わざとだな! わざとだな! この猫め!」
争っていると、バランスを崩してひっくり返りました。
「あ・い・た・た・た。練習しないとな!」
私は、少し浮いた状態で、廊下を行ったり来たりして、次第にその勘を掴みました。
中庭を巡っている廊下を、猛スピードで駆け抜けます。
よし!。これから、庭に出ましよう。そして外へ?。
外へ出るのは目立ちすぎます。また、お父様から小言を聞かされる羽目に。
「おーい。サヤカ。もうやめようよ! 身体中、松葉が刺さっていたいよ」
「ごめんごめん。もうやめる」
前身の宮之前サヤカ18歳にとっては、とっても楽しい魔法のホウキでした。そう、”魔女の***”的な楽しみに胸を膨らますのです。
「わたしも乗りたい!」
「わたしも!」
アンズちゃんとメグちゃんが、わがままを言ってきました。
「うーん。魔力が一杯必要なので、アンズちゃんやメグちゃんにはちょっと無理かも?」
アンズちゃんが頬を膨らませて、ジト目で見るのです。でもこれだけは・・・。
「一緒に乗る?」
「うん」
今日も、姦しく騒ぐのでした。
よし、今日は噴水のある広場まで、行進してみましよう。メグちゃんとアンズちゃんは置いてきました。今日は畑の子分たちを従えて、久しぶりのカエル姫を演出することにします。
東の隅にある裏木戸を出て、右に折れると噴水広場に向かう大通りに出ます。
準備は良いかな?
黄色いオーバオールに白のブラウス。と赤いズック、幅広の茶色の魔女用帽子をかぶった小さな少女
そして、ホウキと先端に座る黒い猫ジジ。
もう一つおまけに、近在の犬猫、小鳥たちを引き連れて大通りに向かいましょう。
「さあ。行こう!」
ワンワン、ミャアミャア、ピロロと騒がしく私の後ろに続く僕たち。
「「おぉぉ・・」」
「「きゃあぁぁ・・」」
「カエル姫がきたぞーー」
「ホウキに乗って、浮かんでいる??」
いや、今日はカエルはいませんが?。
私たちは、ゆっくりと大通りを南へ、噴水広場に向かって進んでゆきます。
「サヤカ、すごっく目立っているよ」
「おっと・・、執事たちがやってきたよ。ジジ、逃げるよ!」
「ひめさまー。お待ちをー」
噴水広場を一周して、近在の犬猫、小鳥たちを解放しました。
いやー楽しかった。空高く舞い上がって、城に帰りました。
しばらくすると、いつもの通りお父様がやってきたのです。
「サヤカが元気になって、わしはうれしいぞ」
いつものように、”高い高い”をして、
「まあ、それでだな。アケチどもを、あまり困らせぬようにな・・・」
アケチは、執事の長です。
(恵さんへ。イヤー、楽しいです。15歳までは勉強や習い事で、こんな自由なことはありませんでしたね。それから、魔女には箒と黒猫です。飛びました。それとオーバーオールをしつらえました。これで、もっと活発に動けます。皆の意表を突く楽しみ。でも、迷惑にならないよう、ほどほどにしないと、お父様に叱られますからね。恵さん、お父さん、元気にしていますか。ユズキやアツシさんはどうしていますか?。私はこんなに元気です)




