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ミオの家のインターフォンが鳴り響く

その子はドアを開くミオの母親が出迎えるなり一歩引いて軽くご挨拶

「あらラシーネちゃんいらっしゃい!」

「遊びに来ました!」

「どうぞ入ってって!」

「いいえ汚れますし……　今日はミオちゃんと外で遊ぶ予定なので!」

母親とラシーネの会話は二階のミオの部屋にも届き

慌ててカードを片付けると着替えてお外へと跳び出して行った

「ごめんラシーネ待った?」

「大丈夫!　今来たところ」

「じゃぁママ行ってきます!」

二人の今日の目的は夕暮れになるまで公園で遊ぶこと

最近の子は洋服が汚れることを嫌ってあまり外で遊ばなくなったのだが

ミオとラシーネだけは意気投合して　時代の雰囲気に囚われず街中という小さな世界を駆け巡る

「チューさん達と何か遊んでたの?」

「カードゲームだよ!　今流行りなんだって～～」

「……ミオちゃんもやってるの?」

「うん!　アオに手解きして貰ってたんだけどもうザンパイ!」

「……ちょっとこの先のお菓子屋さんで待っててくれる?」

そう言い残してラシーネは裏町の自宅へと猛ダッシュで姿を消す

ミオはより取り見取りの林檎飴が並ぶ近所のお店で待機していると

息を切らして彼女は戻ってくる

「ジャジャジャーン」

「……ラシーネも持ってるんだ!?」

「そう!　昔から男子の遊びの方に興味が湧いてねぇ

ハーメルンからせがまれちゃって〝スターターデッキ〟を二個買っちゃったの」

「スターターデッキって?」

「始めから70枚が構築されているデッキが一括で売られている状態のことよ

初心者は大体こういうのから手を付けて始めてくいくの!」

「知らなかった……　ラシーネってお金持ちだね!」

「アハハハ!　金持ちだったら裏町に住んでないわ!

まぁ……　普通の子より一足早く働いてるってだけよ」

「へぇ……　どこにお勤めしてるの?」

「工事現場を転々としてるだけ……　危ないから来ちゃダメだからね?」

「うんわかった……」

ミオは改めてテーブルに置かれた二種類のデッキに目をやると

攻撃に特化した物と守りに特化した物　まさに対象的なデッキだ

「〝攻めのラウルデッキ〟と〝守りのメモルデッキ〟だ

ラウルデッキはその名の通り攻めを売りとする赤と緑で構成されている

反対にメモルデッキは黄色と青で徹底的に防御を固めて反撃のチャンスを伺うんだ」

「ふーん……　なるほどぉ」

「……で　ただミオちゃんに見せびらかしに来たわけじゃない

私と勝負して勝てたらどっちかをあげるよ」

「えぇぇ?!!!　ママに怒られる!!」　

「大丈夫大丈夫!　ちゃんとママさんには私から説明するから

カードゲーム仲間が欲しかったんですって説得すれば余裕よ」

「……そういうものかなぁ」

「でもまだ貰った気でいないでね　勝(・)て(・)た(・)ら(・)が条件だから」

「うーん　私のは寄せ集めだしなぁ　それに家まで戻らなきゃだし」

「大丈夫!　勝負の際もどっちかのデッキを使わせあげる」

「ホントぉ?!」

話がまとまったところでゲーム開始の火蓋が切られた

先攻はミオ　後攻はラシーネ

お店のテーブルを借りてデッキ配置を作り　バトルフィールドを展開させる

先攻ミオ　ターン1　魔蛍（ラル）0　手札五枚　城壁（シールド）五枚

「魔蛍をチャージ!　……えっ?　赤以外でもコスト1のカードあるんだ」

「手札を整える為の魔法カードが主だけどね」

「へぇ……　じゃぁコスト1で呪文!　記憶取扱説明書（ノートメモリアル）!

手札から一枚をデッキの山札の一番下の置く　そして次のターン二枚ドロー出来る!!

ターンエンド!」

後攻ラシーネ　ターン1　魔蛍（ラル）0　手札六枚　城壁（シールド）五枚

「魔蛍をチャージ　ターン終了よ」

「えっ?」

「ラッキーだねミオちゃん!」

先攻ミオ　ターン2　魔蛍（ラル）2　手札六枚　城壁（シールド）五枚

「コスト2で医療見習いダルタを召喚!　これは守護（ブロッカー）!　見るの初めて!」

「ミオちゃんの構築デッキには他にも様々なブロッカーカードで固められてるよ!」

「よし!　ターン終了!」

後攻ラシーネ　ターン2　魔蛍（ラル）2　手札七枚　城壁（シールド）五枚

「じゃぁこっちも速攻のお披露目と行きますよ!

コスト1で凶弾ボルマーを召喚!　そして魔法カード炎豪の蛍火（フレアム・ラルファレイス）!

魔法の効果でミオちゃんのダルタを破壊だ!」

「一気に攻めて来たぁ?!!」

「これでもハーメルンと一緒に毎日バトルしてるんだからね!　ターンエンドだよ!」

先攻ミオ　ターン3　魔蛍（ラル）3　手札六枚　城壁（シールド）五枚

「コスト3で切愛のモガルシュカを召喚!」

「そのカードは強いよ!　アタックすれば手札からコスト五以下のブロッカーを出せるから!」

「へぇ!　ターンエンド!」

後攻ラシーネ　ターン3　魔蛍（ラル）3　手札六枚　城壁（シールド）五枚　場1

「それじゃぁコスト3で城壁一枚を海甘砂漠（マリン・デザート）に要塞化だ!

これにより場にいるキャラクターがバトルに勝てば他のキャラのパワー+1000を付与出来る!!」

「……でもボルマーじゃモガルシュカには勝てないよね?」

「フフフフ……　後々分かるよ!　ボルマーで城壁を破壊!　ターンエンド!」

先攻ミオ　ターン4　魔蛍（ラル）4　手札七枚　城壁（シールド）四枚　場1

「よしじゃぁ多分私の切り札!!　コスト4で召喚だぁ!　放浪の魔道士メモルをバトルゾーンに!!

……えぇっと激レアカードだからそこそこ書かれてる能力が多いなぁ

デッキから千年孤軍の魔道士メモル・ノートを手札に加えていい!!?

超激レアカードを引っ張ってこれるんだ?!」

「じゃぁここいらで進化カードについて説明するよ!」