エピローグ ミーナ
ネズミが群れで暮らす下水道にて
相も変わらず集団から遠く離れた場所に彼はいた
「チュー!」
「一日一回俺に会うの…… すっかり習慣になってるよなミーナ」
「エッヘヘヘ!」
「なんだよ気持ち悪い……」
「うわっ そういうこと言うんだ チュー最低!!」
「……何か良いことでもあったのか?」
「うん! あった!」
ミーナはチューの隣に座り そっと頭を肩に乗せる
稀な行動だったのでチューも鳥肌が立つ
「今日は中心地に行って 花柄の布を探すんだろ?」
「そうだね…… でも今日じゃなくていいや」
「はぁ?!!」
「今日はチューとずっとこうしていたいなぁ!!」
「なんだよそれ……」
斜め下から見せてくるミーナの笑顔に
いつもと何か違うなと察したチューは調子が狂って仕方ない
「……あのさ チューの夢を教えてくれる?」
「それは前にも言ったけど 馬鹿馬鹿しいんだよ
食うか食われるかの生活に何を期待してるんだか……」
「えー……」
「……そう思ってたけどよ
いざ考えても目の前の生き死にがチラついてな……
だからまぁなんだ…… お前の夢と一緒にするよ」
「えっ?!」
「良い部屋に住んで オシャレして 仲間を作って……
簡単じゃねぇけどやってみるよ」
「……うん それがいいと思う!!」
この日は特別な日でも何でも無い
だけどミーナは勿論のこと チューにとっても
少し変わった幸せを味わえる一日でもあった
おわり