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深夜のコンビニ  作者: 綿貫乃紐
1/1

冷える冷蔵庫

レジにはちょっと可愛げのある女子高生が立っていた。


客「お姉さーん、ホットコーヒーひとつ」


JK「はい、100円でーす」


客「ほい」


JK「カップでーす」


客はレジ横にあるコーヒーメーカーでコーヒーを入れる。時刻は2時半を回るくらい。昼間だが、今日も相変わらず寒い。客はコーヒーカップを大事そうに持って去っていった。



レジが混んで来たのでJKはバックヤード用ブザーを鳴らす。


JK「店長、レジお願いします」


店長「混んできたねー」


JKと店長でレジを打つ。店長は優しそうなおばさん、言葉は結構ハキハキしている。後ろの方の棚ではパートさんBが品出しをしている。今日は昼間だが3人で回す日のようだ。



店長「ここは駅に近いから混む時は混むねー」


JK「そうですねー」


人の来客は基本まばらだが、混む時は混む。今日は時期的問題なのかかなり来週が多い。



店長「客足が遠のいたらドリンクの補充お願いね」


JK「分かりました」


客足が混んだらJKがパートさんを呼び3人でレジを打つ。客足が遠のいたらJKはパートさんの品出しに加わる。基本的に3人で回すのが普通だ。



客「アイスコーヒーS」


JK「少々お待ちください」


冬場でアイスコーヒーを頼む客はあまりいないので店内には置いてない。JKはウォークインに入って、アイスコーヒーを1カップ持ってきた。


JK「100円です」


客「…」


客は特に何も言わずにお金を置いて離れた。客はアイスコーヒーを注いで去っていった。



4時くらいになり店長にドリンクの補充を任された。JKはウォークインに入り、ドリンクを補充し始めた。ときどきレジからブザーが鳴り、その時は客を捌き切るまでレジに入るルールだ。すぐにブザーが鳴りレジに入った。


JK「508円です」


客「はいよー」


JK「ありがとうございます」



客を3人捌くと、再びウォークインに戻った。ドリンクの段ボールを開け、一つずつドリンクを棚に入れる。ときどき客が棚を開けることがあり、つっかえそうになることもよくある。今回も棚が開いたが構わず補充を続けた。空になった棚にドリンクを補充しようとしたとき外から急に手が伸びた。


JK「ワッ」


JKは思わず声を上げた。


◯◯「店員さーん、このドリンクありますか?」


JK「は、はい」


JKは客が棚を開けていたことを思い出し、慌てて棚に入れる。


客「どうもー」



JKはまたレジに呼び出され、ウォークインから出てレジに入る。


客「アイスコーヒーL」


JK「分かりました」


JKは何度行き来するのかと思いながら、アイスコーヒーを持ってくる。「冷たっ」思わず声を漏らしてしまう。お会計を済ませ、次の客の接客に当たった。



JK「冬なのになんでアイスコーヒー飲むんですかね?」


パートさん「人には人なりのこだわりがあるのよ」


JK「ふーん、私は絶対飲まないな」



その後またウォークインに入り、ドリンクを入れ始めた。なんか寒い…JKは直感した。気付けばクーラーの稼働が普段より大きい。今日だって充分寒いのに…JKは疑問に思いながら補充を続けていく。少し経ったところで、クーラーの稼働が明らか大きくなった。


ガァーーーー


JK「え、何で」


ガァーーーー


複数の空調が大きな音で稼働し始める。


JK「怖い」


JKは恐怖を感じ、外に出ようとした。しかし、扉は開かない。


JK「何で」


ガタッ、ガタッ


取手を数回引いても扉は開かない。


JK「誰かー」


ドンドンドン


扉を叩いたが、外からの返事はなかった。


その間もクーラーは大きく稼働し続けていて、JKはかなりの寒さを感じていた。


JK「誰かー」


ガチャ


ドリンクの棚の扉の開く音がした。


◯◯「店員さーん、このドリンクありますか?」


JK「はぁっ」


◯◯「このドリンクないですか?」


JKは発言した人が客だとわかり、冷静さを取り戻した。


JK「ちょっと待ってください」


JKは要求されたドリンクを探し、棚に入れた。


客「ありがとうー」


クーラーの大きい稼働音は無くなっていた。それと同時に、ブザーが鳴った。


店長「ねぇー、混んできたからレジよろしくー」


JK「はい」


普通に扉を開け、レジに入っていった。JKはすっかりいつも通りに戻っていた。



帰路でウォークインのことを考え、店長の悪戯を疑った。しかし、後日店長に問答した結果からはそのようなものは匂わなかった。他にも考えてはみたが、結局何だったのか分からなかった。


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