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シーン6


「あいつは……晴夜はどうにも他人の事を考えすぎるのがな……」

 時坂家の縁側で、隣に腰かけそんな事を言う冬子を見上げていた。

 晴夜の事も気になるが、そっちは春香達に任せるといい残ったのは、四季の事も彼同様に気になるからと言った。 そんな事に、彼女は今でもみんなのお姉さんなんだと感じた。

「僕は……晴夜を困らせたいわけじゃなかったのに……」

 それも間違いのない本音だが、晴夜が悩んでくれるのをうれしく思う自分がいるのも分かり、そんな自分が少し嫌な子に思えていた。

「だが、ああも迷えるのが晴夜でもある……と言うか、迷いもせずにお前と別れるなんって言ったら私は叱っていたさ」

「あなたも十分に人の事を考えすぎですよ? それが大事な幼なじみ達であったとしてもです」

 黒猫の姿に戻り四季の膝の上で丸くなるアインの説教めいた言いように、「……かもな?」と肩を竦める冬子だ。 

 晴夜や四季の事はもちろん、先ほどの春香の呟きも気になってしまっている。

何か言いたそうなで言えないという感じだった。 春香がこんな時に無意味な事を言いだそうとするとも思えず、しかし、晴夜や四季に関係する事なら遠慮するとも思えないのだ。

 つまりは晴夜と四季ではなく、おそらくは四季と春香の問題なのかも知れない。

 「それにな……正直言って私も迷っている……お前の望みを叶えることがあいつらの幸福に繋がるとは理解できてもな……」

「……晴夜と四季、どんな形であれ二人が一緒にあるのもまたひとつの幸せじゃないか……って?」

 ギョッとなって顔を上げて振り向くと、少し休むと言って奥へ引っ込んだエターナが戻ってきていた。 先ほどアインに聞いたところ、簡単にやっている風に見えて四季の実体化や結界の魔法はエターナにしても負担が大きいらしい。

「ええ……そうも思えます」

 エターナは黙ったまま、否定も肯定もしなかった。

「あなたは……エターナさんはどうするのが正解だと言うのですか?」

外見的な年齢は自分と変わらないどころか、性格的には幼くさえ感じさせるエターナだが、彼女は自分とは比べ物にならないくらい多くの知識と経験を持っていると気が付いている。

 だからこそ、絶対的な正解を持ってさえいるようの思うのだ。

「この子の望みを受け入れるのが一番の正解だよ、未来がどうなるのかは分からないけど、それで晴夜達は確実に前に進むことが出来る」

「前に進む……」

「どんなに辛いものでも過去があるから今という時間があるの、それまでの時間の積み重ねの上にある幸せもね?」

 しばし目を伏せ、それから「……でもね?」と続ける。

「正解とか不正解じゃないの、大事なのは前へと進み続ける事が出来るかどうかなのよ冬子。 前へと進み続ける限り、成功しても失敗してもその先には未来がある……そういうものだよ」




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