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四季編 シーン1




             ―12月24日―

 クリスマス・イブである今日は、学生達には冬休みの初日でもある日だ。

 自宅の縁側で冬空を見上げる老婆の名前は時坂ときさか 永遠とわといい、その隣で丸くなっている黒猫はアインといった。

「……来たね?」

 永遠が顔を向けた先には少年と二人の少女の姿がある。  

少年の名は天野あまの 晴夜せいや、彼女の隣に住む中学三年生である。 特に秀でた何かがあるわけではないが、大事な人のためにはがんばれる事の出来る少年である。 

彼がこの家に来るのはそう珍しいことでもないが、その表情は少し緊張を感じさせるものだ。 彼女にはまだ四季の名前は出さないでと言ってあるので教えてはいないだろうが、これから自分が何かを為さねばならないのを本能的に感じているのかもしれない。

 その晴夜の隣に立つ少女の一人、髪の長い大人しそうな彼女の名は青空あおぞら 春香はるかだ。

 永遠と同様に晴夜のお隣さんであるが、彼女とは違い春香は物心ついた時からずっと晴夜の一番近くで一緒にいる少女であろう。 優しい性格で誰にでも穏やかに接する、家事も得意で面倒見もよいほうとなると、男の子の理想のような女の子だろう

 もう一人の少女、雨空あまぞら 立夏りっかは春香とは違い明るく元気な雰囲気でツイン・テールの髪型でなければ少年とも感じさせるかも知れない。 さりとて、男勝りのお転婆な女の子というわけでもないのが、立夏という少女だ。

 そこへ、更に女の子と女性がやって来る。

 女の子の名は芙蓉ふよう 千秋ちあき、もうじき中学生になろうかという年齢だが、やや幼い外見と一人称が自分の名前ということもありまだ小学校の中学年くらいにも見えなくもない。

 晴夜の従妹である彼女は、そんな見た目程に子供でもなく、兄や姉達に追いつくべくがんばっている。

 最後の一人、初雪はつゆき 冬子とうこはただ一人の大人である。

 教師でもある冬子は、その自覚は確かにあるが弟や妹達を何より大事に思っているのは、決して悪い事ではない。 教師であってもすべてのニンゲンを平等に大事にできる程にヒトとは万能ではないのだから。

 その冬子が一番緊張しているように見えるのは、彼女にはある程度のことは話してあるからであろう。

「……じゃあ……」

 永遠の声にアインが膝から飛び降りると、「……始めようか?」と立ち上がった時の声は、老人のそれではなく若々しい女性……いや、少女のものとも聞こえるものだった。

 冬子以外が驚きの表情をする間に、白く短い髪が伸びながら銀色へと変わっていく。

 曲がっていた腰が真っすぐになり、身長も成人女性並みへと伸びた時には、皺だらけだった肌も同じように若々しく艶のあるものへと変化していた。

 唖然となる少年少女達を、いたずらを成功させた子供のようにしてやったりという顔をした永遠は、足元の黒猫へと顔を向ければ、アインも顔を上げて紅い瞳で主人の蒼い瞳を見返しながら頷く。

 次の瞬間にその身体と同じような黒い闇が包み込んだと思うと、一気に肥大化しはじけた後には、猫ではなく少女の姿があった。 紅い瞳の色と髪の毛の色こそ同じだが、メイドのような服を身に纏い、頭部と腰からは猫の耳と尻尾が生えている。

「自己紹介は二度目ですが……改めまして、私の名はアイン……そして……」

「あたしはエターナ、”永遠の魔女”のエターナだよ?」




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