シーン11
妹達が帰るのを玄関で見送った私は、扉を閉めた後に「……これで良かったのだろうか……?」と呟いていた。
「だが……あんなものを見てしまい、あんな話を聞いてしまえば目を背けられないじゃないか……」
我ながら情けない声を出しながら思い出す……。
「……今……何と言ったのです?」
思わず立ち上がって永遠さんの顔を見つめると、これまでと変わらない笑顔を私に返してくる。
「あんた……いや、あんた達に四季の心を救ってもらいたいのさ」
「四季……四季を救う……?」
この人が何を言ってるのかまったく分からない。 いや、大人のして教師をやっていれば悩みごとなどで困っている人間に手を差し伸べるような事もある、だからニュアンスとしては分からないものではない。
しかし、そこで死者の名前が出てくるとなると話は別だ。
「四季の……あの子の心はまだこの世界に留まっているんだよ。 そうだねぇ……分かりやすく言うと成仏してない……ってとこかな?」
「成仏ですか……オカルト的な言いようをしますが……」
「まあ、オカルトだね?」
永遠さんの口調に何か違和感を感じながら、「ますます分かりませんよ……」と困惑の声を返した。
「今はまだ全部は言えない、君達にとってはとても信じられる話じゃないからね。 でも、出来ればあたしを信じてほしいかな?」
「全部は話せないけど信じてとは……無茶を言います……」
私の返事を予想していたのか「だろうねぇ……」と肩を竦めてく苦笑する、そんな仕草が老婆と言うより少女のそれに感じられ、それが先ほどの違和感と気が付く。
どうしたものかと考えている風の永遠さんにアインが近づいてきて、そして主人の顔を見上げた。 永遠さんはその黒猫の紅い瞳をジッと見つめた後に、「……まあ、仕方ないか……」と頷いて立ち上がった。
それは、まるでアインが永遠さんに何かアドバイスでもしたようだった。
「話してあげるね、冬子。 四季が……星空 四季がどうして死ぬ事になったのか、そして何を願っているのか……」
次の瞬間に蒼い瞳に見つめられて言葉を失った私は、美しい銀色の長髪が風に揺れるのを見たのだった……。
冬編 終




