シーン3
夜中に目を覚ました俺はどうにも寝付けないでいた。
幼なじみの女の子達が俺に恋愛感情を持っているなどと、快斗の好きなゲームの中のような話が、今実際に起こっているみたいなのだ。
「……俺の自意識過剰ってならな……」
絶対とは思わないが、いくら俺でも周囲を取り巻く空気とか雰囲気とか……そういうものの変化に気が付かない程に鈍感じゃない。 冬子姉さんと千秋はともかく、春香と立夏にはそういうものを感じ取れるのだ。
だけど、それが具体的に何なのか理解出来ない……俺の対して何かを言ってくるでもなく、しかも姉さん達も何かしら関わっているようにも思えるのだ。
「それに”彼女の願い”って……何だよ?」
隣の家の永遠さんの言葉を思い出す、あれから何度聞いてみてもはぐらかされてしまっているのだ。
「一番ありえるのは春香か立夏だが……」
当たり前だが”彼女”と言うのだから女の子、あるいは女性には違いないだろう。 俺とは無関係な”願い”という可能性もなくもないが、話の流れと言うか状況というか……それを考えるとほぼ俺に関係してくるもののはずだ。
そうなると後方としては幼なじみの彼女らしか思いつかない。
そうなると……という思考は、不意に聞こえた”声”に中断させられた。
「……!?……声……女の子……!?」
僅かにあった眠気が吹き飛び、上体を起こして暗い室内を見渡すが、当然と言うべきか誰もいない。 壁を挟んだ隣の部屋で寝ている立夏の寝言という冗談もないだろう、そうなると単なる幻聴となるのだろうが、どうにもそうも思えない。
「……女の子の声……不気味な声……知っている声……!?」
自分の言葉に驚く、そうだ、確かに知っている女の子の声だった……が誰のものなのかが思い出せない。 春香じゃない立夏でもなければ、千秋でも冬子姉さんでもない……。
だが……。
「……”晴夜くんは渡さない”……って言ったのか……?」
……知ってると感じる声は、しかし知らないようなゾッとするような怖さをもって確かにそう言っていた気がした……。




