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秋編シーン1 

 


              ――???――


気が付いた時にその人は芙容ふよう 千秋ちあきの傍に現れた、それが彼――天野あまの 晴夜せいやとの出会いだった。

 彼女のお母さんはその人の事を従妹のお兄ちゃんだよって説明すれば、彼は優しい笑顔をみせてくれた。  従妹とかお兄ちゃんという言葉の意味はまだきちんと理解出来なくても、本能的に彼が優しく安心して傍にいられる存在だと理解していた。

 「俺は晴夜だ、よろしくな千秋」

 「うん、せーやおにいちゃん」

 この兄との出会いからすぐに、千秋は更に四人の姉と出会う。 青空あおぞら 春香はるか雨空あまぞら 立夏りっかにそして初雪はつゆき 冬子とうこである。

 みんな千秋には優しく、一緒に遊ぶのは楽しかった。 しかし、彼らと千秋の家は幼稚園に入る前の女の子にとっては遠く、その機会はそれほど多くはなかった。

 更に彼女が幼稚園に入った時には彼らは小学校に入学してしまう、みんなで幼稚園に通えると思っていただけにこの時はとても落胆した。 母親に対して泣きながら駄々を捏ねたものである。

 だが、その直後に星空ほしぞら 四季しきという新しい姉と出会った事には素直に喜んだ。

 彼女……四季も優しいお姉さんとして千秋に接してくれた、だから晴夜と一緒の家に暮らしているのを少しずるいとも思ったりもしたが、それでも四季の事も間違いなく大好きなお姉ちゃんだった。

 「……こんやくしゃ……って何?」

 ある時、四季と二人だけで遊んでた時に四季が晴夜の婚約者になったと聞かされた。

 「えっとね……大人になったら結婚しましょうって約束だよ千秋ちゃん」

 「へ~~」

 漠然と結婚という言葉の意味は分かっても、晴夜と四季が結婚するというものを明確には想像は出来ない。 しかし、それは嬉しい事だと千秋は感じていた。

 

   

 

 

                 ――9月10日――


 「晴夜兄ぃ~~!」

 千秋の声に振り返った黒い学生服姿の男の人は名前の千秋のお兄ちゃんだよ。 あ、お兄ちゃんっては言っても兄妹じゃなくて従妹のお兄ちゃんなんだけどね?

 「……おう、おはよう千秋」

 「おはよう千秋ちゃん」

 「おはよ~」

 晴夜兄ぃと並んで歩いていた二人の女の子も振り返る。 茶色い長い髪の方が青空 春香ちゃんで緑のツインテールの子が雨空 立夏ちゃん、二人とも千秋の幼なじみのお姉ちゃんなんだ。

 晴夜兄ぃ達は中学生で千秋は小学生だから通っている学校は違うんだけど、こうして一緒のなった時は千秋の学校までは一緒に行くんだよ。

 「……ねえ、千秋ちゃんってクラスに好きな男の子とかいるの?」

 少し歩いてから立夏ちゃんがいきなりそんな事を聞いてきてから驚いたけど、「ううん、いないよ?」って答える。 もちろん仲がいい男の子もいるけど、立夏ちゃんが言う好きな男の子ってそういう意味じゃないよね。

 「いきなり何を言い出すんだよ立夏……千秋も千秋で即答か……」

 「うふふふ」

 呆れた様子の晴夜兄ぃと意味深に笑う春香ちゃんの後ろ姿を見ながら思う、お友達には好きな男の子とかいる子もいるから千秋にもそう思える男の子が出来ても変じゃないんだとね……多分。

 「そういう立夏ちゃん達には好きな男の子っているの?」

 立夏ちゃんは少し驚いた顔になった後に「うん、いるよ」って答えた、それから今度は春香ちゃんを見たんだけど、その春香ちゃんも「わたしもだよ?」って笑顔で言った。

 「それって……」

 誰なのって聞こうとしたんだけど、その時には千秋の学校のすぐそばまで来ていたから聞けなかったんだ……。



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