シーン16
林の中の暗闇を進むには懐中電灯の明かりだけでは少し心もとなく不安はあるけど、別にお化けが怖いとかそういうのない……はずだ。
人がどうにか二人は並んで歩けるくらいの幅の道は舗装はされれいないが、歩きにくくもない。 さっさと目的を果たして戻りたいが、だからといって急ぐのも少し危ないか……。
「……ん?」
前方を照らす光の中に明らかな人工物が現れた、おそらくあれが目的の祠だと思った直後だった……。
「にゃぁああああああっ!!!!」
どこからか現れた人影が奇声を上げたのである。
「どわぁぁああああああっ!!!?」
思わず大声を上げて数歩後ずさった俺の頭に浮かんだのは姉さんが先回りしていたというものだった。 しかし、姉さんにしては小柄に思えるのを変に思いながら人物の足元から照らしていく。
黒っぽい服に白いエプロンとい奇妙だがどこかで見た服装だ、更に見て行くと紅い瞳をもった見覚えのある女性の顔……。
「……って、四季……じゃない、アインさん?」
自分でもすぐには気が付かなかったが、してやったりという風だったアインさんの表情が怪訝なもの変化したのでようやく理解出来た。
「……四季……俺は四季って言ったのか……?」
アインさんは何も答えずに再び笑顔になった。
肝試しも無事?に終わった時には、始まる前より二人増えていた、言うまでもなく、アインさんとエターナさんだ。 種明かしをすると、姉さんとエターナさんで結託して肝試しを計画して、アインさんが脅かし役をしたという事だった。
「それにしても……どうしてその服なんです?」
春香のが何を言いたそうにしてるかは分かる。 おそらくは化け猫のつもりなのだろう、頭と腰に猫の耳と尻尾の飾りを付けて今ではいいが、着ているのがなんとメイド服なのである。
「……だから言ったんですよ?」
「あははは、ついね~?」
どうやらエターナさんの思い付きらしい、暗闇から化け猫と思いきや正体は猫耳メイドさんだった……とかそんなオチのつもりだったんだろう。
「でも……尻尾も耳も本物みたいだけど……どこで買ったんですか? まさか手作りとか?」
立夏が感心しているのも分かる、こうしてみると実際本物にしか見えない。 もちろんゲームのような獣人なんているはずもないのだから、どんなにリアルでも精巧な作り物には違いないだろうが。
「秘密だよ?」
エターナさんが人差し指を口に当てる仕草をしながら言うと、「え~? 千秋もほしいな~」と不満そうだ従妹の少女。 俺にはそういう趣味はないが、確かに千秋が付けると可愛いかも知れないなとは思う。
「ごめんね? ちょっと事情があってね?」
「ぶ~~」
どういう事情かは気になるが別に無理に知る事もないだろう。
「まあ、もうそこそこの時間だ。 肝試しは大成功という事で今日はお開きとしよう」
姉さんの言葉は肝試しだけでなく、実質的に今回の旅行が終わった事を示していると思えて、少し寂しい気分になった。




